[ニックス]種牡馬モーリスとニックス配合 主な活躍馬まとめ
圧倒的な能力によってアジアのマイル王者になったモーリスだが、吉田勝己氏が激推ししている種牡馬で、ノーザンファームの付けている繁殖は錚々たるメンツとなっている。
初年度から凄まじいラインナップだったが、産駒が思った以上に走らない、クラシックに縁がないなど評価が分かれる種牡馬ではあるが、ノーザンファームは依然として高い評価をしている。
2022シーズンには最高級繁殖であるアーモンドアイに種付したことからもその評価の高さが伺える。
また香港で大活躍した事により、オーストラリアにシャトルとして繋用され、現地で初年度産駒が走りまくった事により評価が急騰している。
これまでは33,000ドル〜44,000だったが、2022シーズンの種付料は82,500ドル(日本円で約750万円)に設定されており、この種付料は現地でも数える程しかいないトップレベルのサイアーの数値でその評価の高さが伺える金額になっている。
この記事では、そんなモーリスのニックス配合について紹介していきます。
プロフィール
モーリス 牡
父 スクリーンヒーロー 母 メジロフランシス 母父 カーネギー 生年月日 2011年03月02日
通算成績 18戦11勝(海外3戦3勝) 主な勝ち鞍:安田記念、香港マイル、香港カップ
北海道トレーニングセールで落札された本馬だが、セール時はスクリーンヒーロー×メジロフランシス(カーネギー)という地味な血統から評価が低く1050万円(税込)で取引された。
デビュー戦で能力の片鱗を見せた事により次戦の京王杯2歳Sでは圧倒的1番人気に推されるも6着に敗北した。
2歳、3歳戦では心身ともに若く能力を発揮することが出来なかったが、堀宣行厩舎に転厩した事をきっかけに能力を全開する事になる。
4歳になると1000万円以下クラスから4連勝で安田記念まで制覇すると、秋になりマイルCSまで勝利し日本のマイル戦線を制覇した。その勢いのまま香港に乗り込んだがそこでも勝利し、1年間無敗でアジアのマイル王者になった。
5歳になり再び香港のマイルG1を勝利しその地位を圧倒的なものにしたが、帰国しての安田記念では疲れもあったのか状態が上がって来ず2着に敗北し連勝は7で止まった。
そこから2000m路線に切り替えた初戦の札幌記念で2着に負けた事により天皇賞(秋)では距離不安から抜けた1番人気ではなかったが、結果的には完勝だった。
引退レースとなった香港Cでも狭い所から抜け出す余裕っぷりで貫禄の勝利であった。
脚質は差しなのだがスパッとキレるというよりパワーでねじ伏せるような感じで、積んでいるエンジンが違うので勝っているという印象が強くあまり見られないタイプだ。
産駒傾向
芝 5
ダート 3
勝馬率 3
重賞 4
クラシック 2
短距離 4
マイル 4
中距離 5
長距離 3
牡 5
牝 3
早熟性 2
成長力 5
#数値は1〜5まで、独自に評価。
モーリス産駒最大の特徴は晩成というところだろう。
2、3歳戦では心身共に幼い産駒が多く、折り合いを欠く、スタートで出遅れる、速い脚が使えないなどポテンシャルはあってもそれを発揮できない事が多い。
4歳ぐらいになると、競馬を覚え、身体的にも成長することで、競馬の幅が広がり使える脚の質がよくなっていき、安定感が増してくる産駒が多くなってくる傾向がある。
また、牡牝の差が激しく、牡馬が圧倒的に強いというのも大きな特徴となっています。
モーリスはロベルト系の種牡馬ですが、ロベルト系種牡馬には代々この傾向があり、父のスクリーンヒーローやその父グラスワンダーもこの傾向があります。
基本的にパワーに優れている系統のため、牡馬の方がその特徴を生かしやすく、牝馬はキレが重要になるのであまり向かないということが考えられます。
先述した通り晩成傾向が強いのでクラシック向きの種牡馬ではないですが、成長した古馬でならビッグレースを勝つためのポテンシャルはある種牡馬なので、大きな期待が持てる種牡馬となっています。
ピクシーナイトがスプリンターズステークスを勝利したこと、シゲルピンクルビーがフィリーズレビューを勝ったことなど、重賞勝利が短距離に寄っていたことから短距離種牡馬と言われることもありますが、実際はスプリントの成績はそこまで良くなく、2000mを最も得意としています。
一番得意としているのは東京2000mで(8-5-3-14)となっており
勝率、複勝率、連対率どれをとっても圧倒的な数値となっています。
モーリスは基本的にパワー型種牡馬で馬格があるのでダートも悪くはない成績です。
ただ配合によるところがあり、後述するのですが母父ディープインパクトはニックスで、芝での軽さが強化され、芝の成績が向上する分ダート適性はかなり低くなるためほぼ芝馬になります。
また特徴から雨馬場を得意と思われがちですが、実際はそうでもありません。
ニックス配合
モーリス産駒全体
勝馬率 35.2% (101/287) 平均賞金額 782万円
上記を基準値として判断しています。
この記事では代表的な5つのニックスを紹介していきます。
#2022年6月28日現在、中央のみの数値となっています。
ディープインパクト
勝馬率 40.0% (16/40) 平均賞金額 992万円
主な活躍馬:ジェラルディーナ、ルークズネスト、ディヴィーナ、トゥーフェイス
母父ディープは主張が強く、自身の特徴である軽さや瞬発力、芝向きにする傾向があるため、欧州的要素が強く若干日本向きではないモーリスとは非常に相性が良く、両者の良さを引き継いだハイブリッド型になりやすい配合です。
モーリスの典型的な産駒は、後ろの馬に脚を使わせつつ先行し、持続力で粘りこむタイプが多く、いわゆる上がり最速は出さずに勝つパターンが多いですが、
母父ディープの場合、速い上がりを使えるため上級条件でも差しで勝負できる馬が多いです。
特に名牝が多いディープインパクト産駒ですが
ジェンティルドンナ、ヴィルシーナ、シンハライト、ドナウブルーetc
トップレベルの名牝がモーリスに付けられているが、概ね勝ち上がっており、重賞での実績馬も出てきているなど順調な成績になっている。
キンカメ+サンデー
勝馬率 50.0% (7/14) 平均賞金額 802万円
主な活躍馬:アルビージャ、レガトゥス、ノッキングポイント
エピファネイアでも成功している新時代のテンプレ配合でキンカメ+サンデーとなる事により、必然的にいずれかで名牝に遭遇する、ポテンシャルが高くバランスの良い配合系である。
エアグルーヴ牝系やディアデラノビアの牝系、ハッピートレイルズ牝系など名牝系揃いのラインナップとなる。
Halo
主な活躍馬:ピクシーナイト、ディヴィーナ、ストゥーティ、ハセドン
近年最も注目されている配合の一つであるHaloのクロス。
サンデーサイレンスの父でもあるHaloをサンデーを経由せずにクロスすることにより、芝での軽さを増幅し、瞬発力のない種牡馬からも瞬発力がある産駒が生まれる配合になっています。
Never Bend & Mill Reef & Riverman
主な活躍馬:ノースブリッジ、シゲルピンクルビー、ジェラルディーナ、ハコダテブショウ
活躍馬の多くがこの血を母方に持っており、多重しているケースも目立つ。
この3頭は3代続く父系で3頭の性質に多少の違いはありますが、基本は同じです。
Sadler's WellsとNever BendはLalunのクロスが発生する事によりニックスとして欧州で流行っていた配合系で、モーリスの母父カーネギーが既にその配合になっていますがそれに重複していく形になっています。
特にRivermanはNasrullahとPrincequilloの組み合わせによりキレがあり柔らかい性質を持っているのだが、この配合による性質はディープインパクトと同じため相性が良いと考えられる。
スペシャルウィーク
主な活躍馬:テンバガー、ルペルカーリア、マテンロウスカイ
母父スペシャルウィークは他の種牡馬でも多数活躍馬を輩出しており母父として優秀なのは有名ですが、母の父マルゼンスキーが優秀な血をまとめて持っているためと考えられています。
この配合もまさにそのパターンでNorthan Dancer、Buckpasser、Princequilloなどと相性が良いためと考えられます。
まとめ
いかがだったでしょうか。
モーリスは日本適性が若干低いものの種牡馬としてのポテンシャルは非常に高くオーストラリアでも大成功しています。
キレよりパワーに優れている点や晩成などが日本での評価を分ける所になるが、個人的には今まで日本にいないレベルの高次元のスピード能力があると思っており、とても好きな種牡馬ですね。
特にオーストラリアでスプリンターで勝負になる馬が日本馬から出る事自体大快挙であり、もっと評価されて良いのになと思っています。
その点、日本最強の生産集団であるノーザンファームの評価が高いというのはモーリスにとって追い風でしょう。
POG向きの種牡馬ではないですが、一口馬主であればとてもおすすめの種牡馬です。
当たりも比較的分かりやすいので是非この記事を参考に選んでみてください。