アッパーミドルビジネスマン
到着したドバイも、一泊のトランジット滞在を入国審査官に告げるだけで、あっさり到着ロビーから出ることが出来た。
「お帰りなさい。MR・進道」
大きな、歓喜を含んだ声に目をやると、迎えに来たアナンダンが手を振っていた。
「随分精悍に成られて・・・。イマノワと打ち合わせしてきたビジネスアタッシュケースを 手にしてなければ分からなかった位ですよ」
俺は苦笑いと共に、荷物を全てアナンダンの部下に渡して
アナンダンと「名も無き村」での日々を語り合いながら出迎えの車に乗り込んだ。
車は、アナンダンの食堂に向かい食堂奥の事務所の机の上にビジネスアタッシュケースを挟み俺とアナンダンが座った。
「お疲れ様でしたMR・進道、直に自分の面倒見ている 金の買取人がやってきます。ドバイ分の1.5Kgを取り外しますね。」
そう言いながら、イマノワと打ち合わせをしていたのだろう器用に内張りを剥がし的確な作業で加工された金を取り外した。
30分もしない内に買取人がやってきて、純度測定を行い充分満足した顔つきで、17.000$(約180万円)を支払って金を買い上げていった。
久しぶりの南インド料理を、アナンダンの食堂で労働移民たちに混じりご馳走になりその後、アナンダンの誘いで蜃気楼の街へとドライブに出た。