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No.216 2024年9月 佐々涼子氏作品『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』を鑑賞する

 2024年8月の始め頃、アマゾンプライムで「エンジェルフライト 国際霊柩士」というタイトルの作品に関心を持ちました。他にも鑑賞したい作品があったのですぐに観ることはしませんでしたが、下旬に観始めました。この作品はNHKで「エンジェルフライト」のテーマで放送されたようです。

NHK
「エンジェルフライト 国際霊柩送還士の活躍を描く感動の物語!」
https://www.nhk.jp/p/ts/RQZ5J6K75K/
 
 私はアマゾンプライムで、6本の作品を一気に鑑賞しました。どの作品も涙なく鑑賞することはできませんでした。NHKのタイトルにある「感動の物語!」は妥当だと思いました。

シーズン1エピソード1「スラムに散った夢」
シーズン1エピソード2「テロに打ち砕かれた開発支援」
シーズン1エピソード3「社葬VSおかめ食堂」
シーズン1エピソード4「アニメに憧れたベトナム人実習生」
シーズン1エピソード5「那美VS究極の悪女」
シーズン1エピソード6「母との最期の旅」

 私は「交際霊柩送還士」という仕事に関しては無知でした。古希を迎えまだまだ未知なことがたくさんある自分に気が付いたのでした。
 2008年に公開された日本映画「おくりびと」は遺体を棺に納める納棺師を通して様々な死と向き合うヒューマンドラマでした。「国際霊柩送還士」は国際的な関係の中での仕事ですからより複雑な人間関係がからんできます。

 そんな時、驚いた情報がネットで入ってきたのです。
Microsoft Startの日刊スポーツの記事でした。
「エンジェルフライト 国際霊柩士」の作者、佐々涼子氏がご逝去されたという記事でした。9月2日の記事でした。
https://www.nikkansports.com/general/news/202409020000144.html

 私はその記事で『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』という本が出版されていることを知り、早速アマゾンで文庫本(ハヤカワ文庫NF)を買い求めました。

 目次を紹介します。
プロローグ
第1章 石巻工場壊滅
第2章 生き延びた者たち
第3章 リーダーの決断
第4章 8号を回せ
第5章 たすきをつなぐ
第6章 野球部の運命
第7章 居酒屋店主の証言
第8章 紙をつなげ!
第9章 おお、石巻
 エピローグ
 参考文献・参考資料
 解説

 解説はジャーナリストの池上彰さんでした。
 「書店で買い求めた本を、初めて開くとき。ページの間から、なんとも言えない匂いが立ち昇ってくる。思わずページの間に顔を埋め、香りを嗅ぐ。そんな行動を友人に目撃され、変質者扱いされそうになったことがあります。」というユーモアがある池上さんらしい解説で始まりました。
 「この本を読むと、日本の製紙業が、いかに心血を注いで、こうした紙を製造しているかを知ることができます。私の大好きな本は、こうした紙によって出来上がっていたのだという新たな発見。『紙の質感は繊細な調成のもとに成り立っている。紙の本の最たる魅力は、何といっても、その触感にある』(本書より)」
 触感が紙の本の最たる魅力は、読書が趣味の1つの私にとって共感できることです。
 「私が佐々さんの作品と初めて巡り合えたのは、彼女が『エンジェルフライト』(集英社文庫)と名付けた『交際霊柩送還士』の仕事を追ったノンフィクションでした。海外で不慮の事故などで亡くなった人の遺体を無事に遺族のもとに送り届けるという職業を取り上げたのです。」
 私はアマゾンプライムで観たのですが、池上さんと佐々さんの作品に出会ったのは一緒でした。

 裏表紙には次のような文章が掲載されていました。
 「8号(出版用紙の製造マシン)が止まる時は、この国の出版が倒れる時です」
2011年3月11日、日本製紙石巻工場は津波に吞み込まれた。本の紙の供給にはなくてはならない工場だ。閉鎖が噂されるほどの壊滅的被害だったが、工場長は半年での復興を宣言。その日から、従業員の壮絶な闘いが始まった。工場のため、地元のため、そして本を待つ読者のために!絶望から立ち上がる者たちのドラマを徹底取材した、傑作ノンフィクション。」

 こんな素敵なノンフィクションを書かれた佐々涼子さんの新作が読めないこと、とても残念です。


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