No.109 1981年~1982年 3年生・4年生社会科 社会科学習ゲームで教室は真剣&大盛り上がり
1981年4月、聖心女子学院初等科に教師として勤務することになりました。1年目は3年生の担任でした。その後担任を25年務めましたが、2年生が3回、4年生が5回、5年生が8回、6年生が9回でした。他はサバティカル(自由な研究期間)1年、教務主任4年、副担任8年で気が付けば、3年生の担任は新任の時の1回だけでした。翌年に4年生を担任しましたので、3年生から4年生の小学校中学年を続けて担任したのは教師1年目と2年目の1回だけでした。この期間いろいろな試みをしましたが、その1つが今回ご紹介する自作の「社会科ゲーム」でした。3年生・4年生の担任の時は、国語・算数・社会(2クラス)・学級活動が担当で、授業がない時間に教材研究する時間が十分に取れ自宅でもよく教材研究をしていました。
3年生・4年生の中学年の社会科は地域学習が中心です。聖心は東京都港区にありますので、3年生は港区、4年生は東京都の学習が中心になります。しかし、私立小学校の子どもたちは住んでいる地域の学校に通うことは少なく、聖心でも港区以外の東京都や神奈川県、少数ですが埼玉県や千葉県からも通学しています。ですから、3年生・4年生の社会科地域学習は公立とは全く異なる視点が必要でした。詳細は後のエッセーでご紹介しますが、今回は3年生から4年生にかけてトライした自作の「社会科ゲーム」の実践をご紹介致します。教師1年目と2年目の試みです。
3年生の社会科で学習内容とゲームを関連づけたのは「聖心女子学院の歴史・年表すごろく」でした。3年生に歴史的な学習は難しいのですが、学院の歴史を学ぶことは学院の一人として誇りを持ってほしいという願いもありました。9時間で聖心女子学院の歴史を学びました。関係者数名に第二次世界大戦の時の聖心の話を伺うこともありました。そのまとめとして「聖心女子学院の歴史・年表すごろく」を作成し実施しました。教師1年目の学習材が残っていました。1枚目がすごろく盤で、2枚目がサイコロの展開図(校章と制服・体操着の変遷)とコマが描かれています。
そして、「聖心女子学院の歴史・年表すごろく」を行っている時の写真もありましたのでご紹介致します。
4年生の社会科は東京都の学習が中心になりますが、全ての子どもが都内から通っているわけではないので、独自なカリキュラムの構成が必要になります。その中でゲームを通しての学びをつくることを心がけました。こちらは記録としての写真がありませんでしたので、ゲーム内容のみをご紹介します。
最初は「東京の区市町村じんとりぎゃくてんゲーム」です。東京の区市町村を理解する学習のまとめとして行いました。このゲームを通して、東京にはいろいろな場所があることを改めて理解したのではと思います。
次のゲームは「山手線周回ゲーム」です。現在聖心の最寄り駅になる地下鉄の白金台駅は当時ありませんでした。聖心の初等科に交通機関を使って通学するには山手線の渋谷、恵比寿、品川、田町の各駅から都バスを使うしかなかったのです。東京を学ぶには山手線一周見学がとてもいい体験になるので実際乗ってみたらと促していました。1枚目がゲーム盤で、2枚目に指示が書かれているサイコロの展開図とコマです。カットは子どもたちが描いてくれました。
3つ目のゲームは「都道府県面積じんとりゲーム」です。1枚目がゲーム盤と各都道府県の面積が書かれています。2枚目が引くカードと獲得したところに置くコマです。都道府県の名前、場所、面積を遊びながら学ぶものです。面積の広さは獲得した都道府県のデータを自分で計算して出すのです。カットは子どもたちが描いてくれました。
4つ目のゲームは「都道府県特産物 カルタ・トランプ」です。1枚目2枚目は都道府県名と都道府県花が記入されています。都道府県花は当時の『少年朝日年鑑』から引用しました。引用した書籍『少年朝日年鑑』の後継出版物『朝日ジュニア学習年鑑』を後に執筆するとはこの時は全く思ってもいなかったです。
3枚目4枚目は各都道府県の特産物が書かれています。カルタではどちらを読み札、取り札にしても遊べます。トランプではババ抜き(ババはありませんが)、しんけいすいじゃくなどの遊びができます。さらに、5枚目には都道府県の地図に特産物が書かれており、コマもありますので獲得した都道府県に置くことによりじんとりゲームもできます。4枚目には置くコマがあります。
39年間で一度しか経験できなかった3年生から4年生への引き続いての担任。それも、教師1年目から2年目のこと。素敵な能力がたくさんある子どもたちに遊びながら学ぶ学習過程を構成した試みでした。また、当時の子どもたちと一緒に学習ゲームをしてみたいですね。
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