No.103 1991年 5年生国語 学院の秋紅葉・黄葉のもと「ハイク俳句」で自然を満喫
1980年代の後半、聖心の5・6年生が校外学習で宿泊している清里清泉寮の母体のキープ協会(清里教育実験計画)で大人の環境教育のプログラムが実施されていました。その時はまだ5・6年生に環境教育プログラムは実施されていません。夏休み中のお盆の頃、「昼夜逆転プログラム」という面白い企画が確か3泊4日で行われました。いずれ子どもたち向けのプログラムの実施を思い描いていたので、まず私から経験しようと参加しました。
宿泊は清泉寮ではなく、ハリスホールを中心に活動し宿泊は2段ベッドがあるキャビンだったようです。浴室も「森のおふろ」のような名称だったと思います。その時のテーマは「昼夜逆転プログラム」である時は昼間寝ていて夜間に活動するのです。夜の森に行ってある時間静かに過ごしたり、現在のヤマネミュージアム前の芝生の広場で深夜毛布を下に敷き、星空をかなりの時間眺めていたりしていました。お盆の頃でしたが、高地にある清里は夜の寒さが現在とは違い結構きつく感じ、室内でストーブをたいて暖を取っていました。
昼も全く寝ているわけではなく、いくつかのプログラムがありました。その1つが「ハイク俳句」でした。ハイクとはハイキングの語源です。自然の景色を楽しみながら歩くということで、自然の中で散策を楽しむことを指します。「自然の中で散策し俳句をつくる」ということでしょうか。
私は季語を入れる俳句があまり得意ではなく、季語がない川柳のようになってしまうことが多かったようです。
その他、自分でテーマを決めて環境に関する働きかけをするプランもありました。私は自然の中を歩きながらゴミを拾う「エコ黄門」(このネーミングも自分で勝手に付けました)にチャレンジしました。「水戸黄門」にかけて、広い範囲の自然(諸国)を歩いて(漫遊)ゴミを拾う(悪事の成敗)ことをしてみたのです。結構ゴミがありました。「エコ黄門」と「水戸黄門」をかけてユーモアを持って環境教育に取り組みました。いずれのプランも終わったらお互いに共有する時間がありました。
1991年5年生国語で、学院の紅葉・黄葉の時期校内で「ハイク俳句」をすることにしました。定年退職後学校での活動を記録した写真を持ち帰りましたが、まだ十分にできず少しずつ整理していました。最近いくつかの写真が見つかり、本エッセーにも掲載できるようになりました。
今回の「ハイク俳句」は子どもたちが創作した俳句は記録として残っていないので写真のみでエッセーを構成します。書いた俳句はお互い発表し鑑賞しました。
学院の春は桜が見所ですが、私は秋の紅葉と黄葉が気に入っていました。とても素敵です。
2023年の11月1日は異常な高温でした。午前中自宅から徒歩数分のフィットネスクラブに行くのにTシャツ短パン姿でした。30年ぐらい前までは11月1日の初等科の入学試験日には、ボイラーを焚いてのスチームにより教室は温かい状態で受験者の子どもたちを迎えていました。「地球温暖化」ではなく「地球沸騰化」という国連のアントニオ・グテーレス事務総長の言葉が実感できました。
1991年の秋に実践した「ハイク俳句」は俳句を書くことだけが目的ではなく自然を満喫することが目的です。
そのようすを写真でご紹介致します。
校内をハイクし自分で俳句を書きたい場所を探します。
場所を決めたら、俳句づくりの構想を練ります。
それぞれの場所でそれぞれのスタイルで俳句を創作します。
紅葉・黄葉の落ち葉に埋もれて、どのような気分で俳句を創作したのでしょうか。
この「ハイク俳句」を執筆してみて改めて聖心女子学院の自然の豊かさを認識しました。都会の学校でこれだけの自然環境は他にはないのではと思います。39年間「五感教育」を実践してきて、自然環境を生かす教育は現代の子どもにとって重要な教育の1つと考えています。