池袋と新大久保
研究計画書を仕上げるため、苦心惨憺の日々を過ごしております。私の脳はすぐに「糖分が足んないよお!」と駄々をこねて回転を辞めてしまうので、金平糖をぼりぼり食べてご機嫌取りをしております。Pesoyamです。
池袋と新大久保と聞いて何か共通点は浮かびますか?
どちらもアジア系の移民がコミュニティを形成しています。池袋は北口方面、新大久保は駅の改札口が面する大久保通りがすでにコリアタウンですね。
新大久保は休日に行くと、私のようなお上りさんがたくさんいます(私は群馬県出身です)。垢抜けない服装や表情で何となく分かります。間抜けな面でチーズハットクのチーズを伸ばしている姿は、何だか自分が小学生か中学生の頃を見ているようで苦々しい心持ちになります。自由行動中の修学旅行生なんかも多いみたいで、大久保通りを闊歩する人たちの年齢層は全体的に低めです。
やはり韓国は多くの若者にとって憧れの的なのでしょう。韓流アイドルグッズや韓流コスメを買いあさる様子が見て取れます。韓国料理店に入るとどことなく韓流アイドルを彷彿とさせるファッションの美男美女がたくさんいて、ヤンニョムチキンやチーズタッカルビを貪り食っています。少しお値段が張る店が多いため、年齢層は若干高く(といっても20歳前後)なるようです。
池袋北口付近はどうでしょうか。なんだか、近寄り難い雰囲気です。見慣れない漢字で書かれたセンスのないギラギラした看板が並んでいて、何を提供してくれる店なのかも判然としません。意を決して店に足を踏み入れると鬼気迫る顔をしたおばさん店員から「几位??」と聞かれます。気がつけば周りをゴツゴツしたダッドスニーカーを履いた中国人に囲まれており、中川家がたくさんいるような感じです。「あう、あうう」と吃っていると、「日本人ですかぁ??」と聞いてくれるので安心ですが、メニューを見ると「漢方を煮出した茶」だの「鴨の首」だのまたよく分かりません。結局、なんだか馴染みのある鶏のカシューナッツ炒めなんかを頼み、中国人の怒号を背に始終ドキドキしながら、ろくに味も確かめずに出てきてしまいます。
とまあ、極端な例ではありますが、言いたいこととしては、大久保も池袋もアジア系のコミュニティが形成されているが、ビジネスのターゲットが違うということです。
細かい説明は省きますが、もともとは大久保もニューカマーの韓国人をターゲットに韓国の食品などを扱うスーパーや本場の韓国レストランなどが主だったようです。それが『冬のソナタ』が流行りだした頃から日本人がコリアタウンを訪れ始め、「イケメン通り」なんてものが出現したり、近年の韓流ブームにあやかってアイドルのグッズを扱う店が増えたりしたようです。ですので、オーナーや店員は韓国人でも、店がターゲットにしているのは日本人で、同胞向けに営業しているわけではなさそうです。
それが池袋ときたら完全に中国人向けの商売をしています。店の公用語は中国語で、看板も日本人を呼び込もうという意思が感じられません。しかし、中国人だけをターゲットとしてもその市場は決して小さくないのです。中国人留学生は増える一方で、日本の私立大学のお得意様です。東京近郊の大学にやってきた中国人は中華を食べるために池袋へ行き、帰りは中華物産店で食材を買って帰ります。それだけですごい人数なので、店の経営は何ら問題がないのです。店の料理の味付けも、中国国内のものです。天津飯や中華丼などという紛い物は提供していません。
以上のようなターゲットが違う、という理由で同じトランスナショナル・コミュニティでも新大久保は若者憧れの街になり、一方池袋北口には私たち日本人にとっては近寄り難い空間が出来上がっているのではないでしょうか。こちらがホスト側であるのに、むしろ私たちに対して何だか排他的なエスニック・コミュニティが形成されているという点が面白いです。
今回池袋に関してはレストランについてしか言及していませんが、在日中国人向けの様々なビジネスが池袋で展開されています。そのほか、ここでは書けないような中国人コミュニティ内の取引もあるようです。
ちなみに私は中国語がペラッペラですので(HSK8級持ってます)、池袋の中華料理店も何の不自由なく利用して本場の中華をばくばく食いますし、中華物産で中国の調味料なんかをよく買って帰ります。機会があればそんなお店も紹介するかもしれません。别羡慕我了,你也开始学中文吧!