【ベトナム】レッドオーシャンな進出コンサル市場について考えてみる③
日本のような法治国家でない人治国家のベトナムでは経験に基づく経営判断や対策が非常に有効であり、付加価値を生み出すと思っています。(前回)
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さて、レッドオーシャンで日々あくせく新規顧客を開拓すべく営業している日系進出コンサルはお疲れさまですと言いたいのですが、その一方でより高付加価値で生産性と創造性のある事業コンサル領域がガラ空きな理由を書きたいと思います。
1つ目の大きな理由は、日本国内で大手コンサルファームに従事していた人が東南アジアのベトナムで起業するケースがほぼゼロだからです。
これは考えればすぐ理解できますが、日本国内(主に東京)でコンサルタントとして活躍してきた人が東南アジアのベトナムにある一定期間以上滞在し、知見や人脈、経験を重ねることは物理的に不可能です。
時間は全ての人に平等で、かつ体と脳みそは1つずつしかありません。
もう1つの大きな理由は、ベトナムにある一定期間滞在している日本人が既存の業種だけでなく、さらに事業コンサル領域の経験とスキルを得ることが難しいからです。
これも考えればすぐ理解できますが、ベトナムで一般的なサービスを立ち上げるための導線(進出コンサルのイロハ)は容易に習得できます。だからこそ進出コンサルはハードルが低く情弱ビジネスと言うわけです。しかし、事業コンサル領域は経験が必要になり、これはインターネットで軽く知る程度ではカタチにできず、そもそもの顧客に対してプレゼンすることも厳しいと思います。
何故ならやったことないので、「事業コンサルの提案させてください!」と言っても何からどのように始めれば良いのか皆目検討付きません。
せっかく進出コンサルを受けたのであれば、同時に新規事業となる事業コンサルも受けるのが効率的だし、売上的も大きく変わります。僕は同時に受ける以外の選択肢を持たないので、進出コンサルのみで終わるのが理解不能です。
加えて、余程ニッチなビジネス領域でないと東南アジアのベトナムと言えども、発展途中にあるベトナムと言えども、社会主義国のベトナムと言えども、日本企業が海外進出する際に選ぶビジネスやその領域は既に存在しています。ローカル企業が展開していることもあれば、外資が展開していることもあれば、日本人が個人ででも展開していることがあるでしょう。
シェアリングエコノミーだって、仮想通貨だって、Edutechだって、Fintechだって、ベトナムには既にあります。日本にはまだないカジノビジネスすらあります。
そんなベトナムで仮にローカル企業でも、外資でも、個人でも展開してない場合は、法律に引っかかる違法な事業であるという結論に終わるかと思います。
何が言いたいのかと言うと、顧客にとっては初めてのベトナム進出であり、ハードルが高いと感じてることも、その多くはベトナムで既に存在しているサービスの1つに過ぎないことが多い。そして、その新規事業に対してアドバイスは可能だと言うことです。
例えば、実例として仮想通貨を事業領域としたケースについて挙げましょう。
(依頼)
某大手○○企業より新規事業立ち上げチームから想定するビジネスモデルを相談を受ける。
その提案内容を元にZoomで一度オンラインミーティングを設定。ミーティング内で日本側の法律を遵守した内容で然るべきライセンスを経て行うためにベトナム側の法律及び本ビジネスモデルの是非をまず確認したい。
(背景)
日本で働く多くのベトナム人が地下送金や銀行を介した送金を行っている。地下送金については違法であり、銀行を介した送金は手数料が非常に高い。
(目的)
在日ベトナム人向けに仮想通貨を利用した送金業務を低価格でスピーディーに行えるサービスを立ち上げたい。
(提案)
本ビジネスモデルを見た際に、質問をさせてもらう。
ⅰ‥ローカルのブローカーや個人が行っているようなアメリカを介して、仮想通貨をベトナムで受け取る方法はどうか?
ⅱ‥上記と異なり、仮想通貨を取り扱えるよう通常のベトナム資本の銀行と業務提携を行い、日越双方法律に沿って市場開拓を行いたいか?
僕としても大々的に参入希望であることから、ⅰ‥はリスクが高くコンプライアンス的にも不可能ではないかと伝える。
また某社は日本の都銀・地銀がベトナムの各種銀行と戦略的パートナーであったり、資本参入しているのを知っており、ⅱ‥を希望。
(調査)
仮想通貨について弊社のチームと相談し、現法に沿った判断を出す。結論としては、銀行と業務提携は可能であるが、仮想通貨を取り扱うことができず、また仮想通貨を取り扱うための業者認定の法律も2019年時点ではなく、そもそも本スキームが不可能と判断。
(結論)
上記から如何に市場の潜在的要求があったとしても、法律をクリアして事業を創造、運営することができないため時期尚早となり、本ビジネスモデルの支援は実質不可能となる。
ここで重要なのは本案件が法律的にクリアできるのかどうかであり、そこがクリアできないことには事業戦略も事業創造もないのだけど、残念ながら既出の通り法律の壁が立ちはだかり、素直に事実を伝えて先に進むことはできなくなりました。
しかし、僕が悪い人間であれば、賤しくも・・・
2021年には法律改正がなされ、日本同様に解禁され、免許制度になりますので今が参入時期としてベストです!
と話し、進出コンサル及び事業コンサルを受注することは不可能ではないかもしれません。仮に先方が根拠を質問してきても、弁護士と口裏わせてそれらしい公的文書を作ってしまい、それを日本語訳と言うことで僕が要約して力技で進めていくことも可能かもしれません。
そこで対価として、法律支援及び進出コンサル、そして事業コンサルという名目で1ヶ月200万円くらいで1年間自動更新の契約を締結し、それらしく進めていく・・・。
※ 進出コンサルは簡単なのでFIC(外資法人)設立のために書面揃えて、リアルに設立させてしまい、本来ライセンスが必要な点については当面法律施行までコンサルティング企業として据え置きましょうと伝える。
何が言いたいかと言うと、騙そうと思えば騙せるくらいのエビデンスは作れてしまい、また人治国家という背景から法律施行が遅れたり撤回してしまうことは大いにあることから、比較的時間を使わず、僕のリソースだけでそれらしく彩ることもできてしまう。
でも、これは詐欺だし一時的な売上(収入)は上がるかもだが継続性がないし、そもそも倫理的にNGですよね。ただできてしまうし、それを為すくらいの準備は簡単で、悪に手を染めれば可能なのです。