指す順6th 自戦記(第5回戦)
〜はじめに〜
ここ最近、色んなところで雨がヤバい。
梅雨かよ…と一瞬頭をよぎったが、そういえば
梅雨明けした的なニュースを聞いた覚えがない。
だいたいこんなに天気の悪い日は決まって、
頭が痛い。どうやら低気圧とやらに弱いらしい。
なんか歯が痛いような気がする日もある。
歯が痛いと言えば、親知らずの手術をいつにするかという連絡を待って早1ヶ月くらい経過したが、
歯医者に問い合わせてようやく来週に決まった。
厳密に言うと、手術をいつにするかを決める日が決まっただけなので、手術自体はまだまだ先になるだろう。出来れば、指す将順位戦の対局に影響がない日にしたいが、別件バウワーでコロナワクチンの接種も控えている為、スケジューリングが非常に難しい。
世間一般では、『お盆休み』と呼ばれる期間みたいだが、残念ながら私は参画しているプロジェクトの都合で休めない。今日も休日出勤だった。
と言ってもテレワークなので、Huluでドラマ観たり、昼寝したり、詰将棋やったり、将棋ウォーズやったりしながら、合間に仕事しているだけなので、実質休みのようなものだ。
本題までが長くなったが、ようやくここからが
自戦記的なアレだ。最近note書いてもあんまり
反応がないので、モチベーションが低下しているのだが、これだけは欠かさず続けていきたいと思っている。たとえ勝っても、負けても。
〜前回までのあらすじ〜
『中飛車左穴熊』は私には指しこなせないので、普通?の『相振り飛車』にするのが無難…という結論が早い段階で出た為、逆に何の対策もなくなってしまった。あとはもう持ち前のガッツで何とかするしかない。正直、純粋な『向かい飛車』党と対局した記憶があまりない。さて、どうしたものかと困っているうちに対局の時刻を迎えた。
ここ数局の指す将順位戦では、運よく先手が続いていたが、今回は後手となり、少し不安だった。
何がどう不安だったのかはよくわからないが、
とにかく不安しかなかった。ちなみに以降の
局面画像は便宜上、後手を手前にする。
〜美濃囲いは美しい〜
【初手〜19手目】
▲7六歩△3四歩▲6六歩△5四歩▲6八銀
△5二飛▲6七銀△6二玉▲5八金△7二玉
▲4六歩△8二玉▲4七金△7二銀▲7七角
△9四歩▲8六歩△5五歩▲8八飛
いつも長くなるので、序盤はざっくりと飛ばす。
戦型は予想通り、中飛車と向かい飛車の『相振り飛車』となった。予想が当たったところで特にこれといった対策も方針もないので、嬉しくはなかったが、一つだけ決めていたことがある。
『灼熱のぬるま湯』でお馴染みの『地獄研』で
囲いをどうするかについて散々検討した結果、
『美濃囲い』で戦うという結論が出た。
『金無双』にする案や、玉を3九(7一)で保留する美濃囲いの案もあり、どの囲いにも一長一短があるが、『美濃囲い』で勝負することを決めた。
理由は、『美濃囲い』が美しいからで、それ以上でも、それ以下でもない。
〜銀冠はもっと美しい〜
【20手目〜44手目】
△4二銀▲4八玉△3五歩▲8五歩△5四飛
▲3八銀△5三銀▲3九玉△5二金▲2八玉
△1四歩▲1六歩△2四歩▲2六歩△4四銀
▲2七銀△3三角▲3八金△5三銀▲7五歩
△6四銀▲7六銀△4二角▲8六角△3三桂
この辺も駒組みが続くので、ざっくりと飛ばす。
こちらから仕掛けて自滅しないという方針で警戒しながら指していたので、膠着状態になってしまい、気づけば先手が『銀冠』を築き上げていた。
前も書いたが、私が一番好きな囲いはこの
『銀冠』だ。なんと言っても美しい。
正直、崩してしまうのは気が引けるが、そうも言っていられない。普段の『相振り飛車』では
早々に三間飛車か向かい飛車に振り直し、玉頭に歩をぶつけ、1歩か2歩を手持ちにしているところだが、様子見をしている間にその機会を完全に
失ってしまったのが、誤算だった。
〜志の低い狙い〜
【45手目〜56手目】
▲6五歩△5三銀▲5八飛△6四歩
▲5六歩△同歩▲同金△2五歩▲同歩
△2五桂▲2六銀△2四飛
ついに駒がぶつかった。あわよくば角と協力して前進しようと歩に腰掛けて待機していた銀、
通称『リクライニングシルバー』が狙われた。
これはもう不本意だが退くしかない。その刹那、
飛車が中央に回ってきた。威圧感はあったが、
こちらもあわよくば隣の筋に飛車を回ろうと、
歩を突いたが、手抜いて中央の歩をぶつけられた。とりあえず一歩ゲットしたかった私は迷わず取り、それを金で取り返された。
このまま金が前進してこられると、逃げ場所に
困る可能性が高いので、飛車の可動域を広げておきたかった。『桂馬の高跳び歩の餌食』の格言通り、歩を打たれるかと思っていたが、予想に反して銀が前進してきた。ここで桂馬の後方に飛車を回ったが、これには何とも志の低い、浅はかな
狙いがあった。
【57手目〜こんな感じに進めばいいな】
▲3五銀△3七桂成▲同玉△2九飛成
飛車取りに銀が前進してきたところを、
桂馬がピョインと両王手して、あわよくばそれに気づかず▲同金とかしてくれないかな…とか思っちゃったり、思わなかったりしていた。
〜シェフの気まぐれ冷静パスタ〜
【57手目〜63手目】
▲2七歩△6五歩▲同銀△6四歩
▲7六銀△4四銀▲4五歩
だいたいの期待は外れるのが私の人生だ。
冷静に玉頭に歩を打たれて、こちらの夢は潰えた。仕方なく6筋の歩を取り込んだところを
予想通り銀で取り返してきたので歩で押さえた。
退いた瞬間、こちらも3五の地点を守るために
銀を前に出したが、歩を突かれて困った。
せっかく前に進ませた銀を簡単に退かせるわけにはいかない。ここは刺し違える覚悟で金の頭に
歩を打ったが、これがまた誤算だった。
〜劣勢を意識した中盤戦〜
【64手目〜81手目】
△5五歩▲4六金△3六歩▲同歩
△3七歩▲同桂△同桂成▲同金△5三銀
▲3五銀△2一飛▲5五金△6三金
▲5四歩△6二銀▲4四歩△同歩▲同金
銀を取られて金を取る…みたいな単純な読み筋だったが、ひょいっと横に川島さんでかなり焦った。次に質駒になってる銀を退くと、3五の歩に銀か金を出られて、飛車を逃げなきゃいけなくなると思い、先にその歩を意味ありげに突いてみた。
取ってくれたので、歩の裏側から金の頭を叩いた。読み通り桂馬で取られたので、こちらも桂馬で取り返した。これも読み通り、金で取られたので、質駒の銀を囲い側に引いた。
ハッキリ言ってしまうと、すでにこちらの劣勢を意識していた。というより、こちらから攻めるビジョンが全く見えてこなかった。飛車取りに銀を出られたところで中央に戻る手を一瞬考えたが、
桂馬を打たれて飛車を捕獲される手がチラついて、仕方なく下段に引くことにした。二段目に引こうとしたが、こちらもまた『ふんどし』が待っているので、一番下まで引いておいた。
天王山の歩を金で取られたところで、こちらは『高美濃囲い』に進化させた。追われた銀の頭に歩を打たれ、さらに囲い側に引くことになった。
次に角の頭を目がけて歩をぶつけられ、歩で取ったところを金で取り返しながら進軍してきた。
これはいよいよマズイことになった。
起死回生の勝負手を放つしかない。
〜運否天賦な終盤戦〜
【82手目〜92手目】
△2四角▲5五桂△5七歩▲同飛△3五角▲同歩△4八銀▲5六飛△3七銀成▲同玉△5二桂
角を銀にぶつけた。取ってくれば飛車で取り返した手が金に当たる。そこから敵陣になんやかんやで特攻して龍を作ってやろう的な狙いだった。
しかし、私の想いに反して相手にされず、高美濃の一番上の金、だんご三兄弟で例えると長男にあたる金を取りに桂馬を打たれた。逃げる場所はない。例え逃げる場所があったとしても、長男は逃げてはならない。
すかさず相手の飛車の頭を歩でバチコンした。
『バーチカルコンタクト』の略称ではない。
シンプルに叩いてみただけだ。『バーチカルコンタクト』ってなに?と思った方も多いと思う。
私も詳しくは知らないが、魚の『アジ』を釣る
手法らしい。この手が『アジのいい手』かどうかは何とも言えないが、狙いは成功した。飛車を
一つ前進させることができた。
ここでぶつかっていた角で銀を取った。
金にも当たっているため、歩で取るしかないと読んでいた。狙いはその後、『割り打ちの銀』だ。
実はもう1パターン別の手も考えていたが、少し複雑になりそうな手順だったので、事故が起こらないようにサルでもわかりそうな手を選んだ。
【88手目〜プランB】
△5四金▲同金△4五桂
質駒の金を逃しながら、拠点になってる歩を払って、銀を温存しながらふんどしの桂で敵玉に迫るプランだったが、その時に飛車を4筋に寄られて
成り込まれるのが少し嫌だった。
本譜に戻って、割り打ちの銀で飛車が横に逃げる手を考えていたが、一つ前進した。予定通り王手をかけながら銀で金を取り、玉で取り返された。
ここで継続手がなければ、かなり厳しい。
残り1分の持ち時間をほぼ使い切った。
私は自陣に金取りの桂馬を打った。跳ねた先には
飛車がいる。金が前か横に逃げたら、飛車の斜め前に金を打つ。後ろに逃げたら、金に金をぶつけるつもりだった。しかし金は逃げなかった。
〜竜王に!!!俺はなる!!!〜
【93手目〜97手目】
▲6三桂成△4四桂▲7二成桂△同金▲5八飛
金を取りながら桂馬が成り込んできたが、
これは王手ではない。こちらも桂馬を跳ねて
金を取った。次に飛車を取る狙いだが、成桂が
さらに王手をかけながら銀を取ってきた。これは放置するわけにはいかないので金で取った。
質駒になっている飛車を八段目に引いたところが勝負の分かれ目になったかもしれないし、そうでもないかもしれない。
願いとしては飛車を成って竜を作りたかった。
玉頭に金を打って追えば寄せられそうな気配はあったのだが、時間もなく、あまり自信がなかったので、桂馬を重ねて打ってしまった。桂頭に逃げられると寄せづらくなる未来が見えていたはずなのに、なんとなく寄せ切れるような根拠のない
謎の自信が湧いてきた。
〜詰めろのような雰囲気〜
【98手目〜108手目】
△4五桂▲4六玉△5七金▲8八飛△2七飛成
▲4五玉△4三金▲4六金△6三金▲5五銀
△5六金
案の定、桂頭に逃げられた。ここで飛車を成る手も考えたのだが、飛車の頭に金を打つ手を選んでしまった。多分、あまり良くない手だと思うのだが、飛車が逃げてくれるような気がした。
そしてこの金が後々、寄せに働くようなスピリチュアルな何かを感じていた。
予感は的中し、こちらは飛車を成ったが、
玉が前進して、先頭の桂馬を取られた。
すぐに竜を回る王手をまず考えたが、抜け道が
ある。入玉されたら恐らく勝てなくなる。
桂馬を支える金を打った。おそらく詰めろ。
敵玉のお尻に金を打たれ、詰めろが解除された。
今度は敵玉の頭を狙い、守りの金を出動させた。
これは一種の賭けだが、これで寄せ切れなければ、どちらにしろこちらの負けだ。これもメイビー詰めろだが、天王山に銀を打たれ、またもや
詰めろを解除された。
最後の賭け、数手前に打った金を引いた。
王手ではないが、金で取れば竜を斜めに動かして詰む。なんか詰めろっぽい雰囲気の手だが、
手抜かれた時の詰み手順がわからない。
だが、これは取ってくれると信じていた。
〜信じる者はたまに救われる〜
【109手目〜110手目】投了
▲5六同金△3六龍
苦しい時間が長い将棋だったが、終盤の細い攻めが運よく繋がったことで勝ちを拾うことができた。前期の今頃は全敗だったが、今期はこれで
4連勝(不戦勝を入れると5連勝)で、まだ昇級戦線にギリギリしがみつくことができている。しかし一局として楽に勝てた将棋はなかった。次の第6回戦は残念ながら抜け番となったので、1ヶ月近く対局が空く可能性があるが、自分の将棋を見直す良い機会かもしれない。
今回の勝因は自分の『中飛車』を信じたことと、『美濃囲い』にしたこと、『駒サプリ』で
1手と3手ハンドブック2種を解き続けたことだと思う。ダメになりそうな時、それが一番大事なのかもしれない。信じるか信じないかは、これを読んでいるあなた次第だ。
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