スーパービジョンを機能させるということ|恒吉 麻実子
11/19㈯、SCA個人サポートプロジェクトとして2回目のオンライン研修、「ソーシャルワーカーのこうなりたいを支えるスーパービジョン ~ SV経験談をきいてみよう」を実施しました。
テーマは、この1年スーパービジョンの提供や研修を実施していく中で、スーパーバイザーもスーパーバイジーにも、「スーパービジョン」に踏み出すための戸惑いや悩みを持っていることが分かった、以下のような不安を解消していくことです。
たとえば、スーパーバイザーであれば、
スーパーバイジーであれば
そのために、実際にSCA個人サポートで行ったスーパービジョンの事例をご紹介し、スーパーバイザー/スーパーバイジー共にそのスーパービジョンについて振り返るセッションを公開する形で、参加者のみなさんと「スーパービジョン」を共有しました。今回は、その開催報告です。
スーパービジョンを機能させるということ
イベント開催への想い
スーパービジョンをする側の抵抗感、スーパービジョンを受ける側の抵抗感、それを少しでも軽減し、対人援助職の方が健やかに支援に向かえるよう、スーパービジョンへのアクセスを保障していきたい。こんなアウトリーチ的な想いから、このプロジェクトに取り組んでいます。
スーパービジョンへのアクセスのしづらさを考えたとき、そこに何かしらの「権威性」があるのではないか?と思っています。
バイザー側からすると「そんな権限、責任を私が持っていいのだろうか」という抵抗感。バイジー側からすると「スーパーバイザ―の権威で自分の何かが脅かされるのではないか?」という抵抗感。
スーパービジョンも、ソーシャルワークをもとにしてた考え方ですので、スーパービジョン関係はもちろん「対等さ」を一番重視しています。そう、ソーシャルワーカーが最も得意なことです。しかし、日本の「教育」はどうしても「教える側」「教えてもらう側」といった権威的、支配的な関係をイメージするような文化になってしまっている。
そこを打破し、私達ソーシャルワーカーが最も大切にしている「対等さ」に価値をおいたスーパービジョン関係について知ってもらうために、どんな機会を提供するのが良いか?
そう考えたときに、今回は「作りこんだもの」ではなく、あえて事前準備はせず、その場でバイザー、バイジーが質問に回答しながら対等に気づきを交換していく、そんな場にするのが良いのではないか?
そんなアイデアから今回のような企画に至りました。
イベント開催
イベントが始まる直前にモデレーターから、スーパービジョンを振り返るための今日の質問を聞かされ、ライブ感満載の時間。その場で感じたこと、思ったことを素直に正直にバイザーとしてお話させていただきました。
そして、バイジー中心の価値をその場で反映させていきます。皆さんに見られている中で、バイザーとしての在り方を何よりも問われる時間でした。
一方で、仲間からは「私のリラックス度合いが1番印象的だった」と言われるほど、私が私らしくいられた時間にもなりました。私が私らしく、何にも抑圧されずに、バイザーというアイデンティティの揺らぎを感じずに、その場にいられた。
それは、バイジーさんとの関係性、私の元バイザーであるモデレーターの中里さんとの関係性、そして主催の仲間であるSocial Social Change Agencyの横山さんや森さんとの対等な関係性があったからだと思います。
スーパービジョンは特別なことではなく、そんな安心で対等な関係性を連鎖させていくもの。それがまわりまわってクライアントに届いていく。それが世の中にソーシャルワークを機能させるということなのではないでしょうか?
今回、たくさんの方にご参加いただきましたが、中でも「スーパーバイザーの役割を担っている方」からの感想が多く寄せられたことが、何よりもうれしく思いました。
スーパービジョンを当たり前に現場に機能させていくこと。そんなビジョンを持ちながら、これからもコツコツと取り組んで行きたいと思います。
ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。