退職交渉で悩まなくても大丈夫
ペルソナの金子です。
6・7月は転職市場の繁忙期です。
夏の賞与支給、秋の異動前といったタイミングで新天地での就業をスタートする方が多いためです。
40代の方の転職サポートをすることが多く、転職・退職交渉の経験があるためそこまで苦労されている方はあまりいません。しかしながら時々初めての転職の方がいますが、退職交渉への恐怖心・憂鬱さを抱えていらっしゃいます。
私も何度か転職をしましたし、いろんな方々の退職交渉の状況について聞いてきました。あっさり終わることもあれば、GOOD LUCK!という言葉とともに気持ちよく部下を送り出すこともあります。心配しているよりも大したことなく終わるケースがほとんどです。
でも中には、ご本人の性格やいろんなしがらみから退職交渉に苦労している方をみてきました。
そこで今回は「退職交渉で悩まなくても大丈夫ですよ」ということを、いつもアドバイスをしていることや事例を交えて書いてみたいと思います。
退職交渉が憂鬱なのはなぜ
現職で働きながらの転職活動は心身ともに疲れます。
周囲に感づかれないようにしつつ、日常の仕事をして、応募先選定、面接準備、面接といった転職活動を並行しています。人生の多くを占める「働くこと」についての大きな決断ですから、平日も週末もずっと悩みます。
いざ転職先を決めた後は、退職交渉が待っています。
・自分がいなくなることで、周囲に負担をかけてしまうのではないか
・退職を申し出た後に嫌がらせを受けた人を見てきたことからの恐怖
・期待を裏切ってしまうのではないかという想像からの申し訳なさ
上記のような心境から、退職交渉前は憂鬱な気持ちになるのではないでしょうか。あれやこれやと考えて、前日の夜は眠れないということもあるでしょう。
特に士業、コンサル業界は横のつながりが広く、どこで誰がつながっているのか、そして現職の人ともいつまた仕事で出会うか分からないため、円滑に辞めたいという方が多いです。
直近の人事評価で評価してもらったり、新しいプロジェクトを任されたりと期待されていると、退職を言い出しにくくなり胃がキリキリします。
退職交渉の三箇条
退職申し出前にお伝えしている”退職交渉の三箇条”です。
①退職の意思表示を”報告”する姿勢
上司は、部下が辞めるとなると後任探しのことが真っ先に頭に浮かびます。
特に、マネジメント層やプロジェクトリーダーのような役割を担っている部下が退職となると、社内で後任を見つけるのも、外部から採用するのも難易度が高いことを知っているからです。ひとり情シス、ひとり人事といったような、ひとり〇〇の方は、後任のことを考えると胸が痛くなるかもしれません。
いままでお世話になった上司に退職を申し出するのは、たのしいことではありません。しかし退職する意思が変わらず、転職先も決まっているのに何となくの申し訳なさで曖昧な態度をするほうが不親切です。
社内異動、外部採用など、組織や業務の見直しなど、やることは盛りだくさんです。”相談”の体ですと、上司としては引き留めることになります。やることが後ろ倒しとなり、現職での引継ぎ時間も短くなります。「〇月〇日で退職する」という報告の姿勢で毅然と伝えた方が、結果として親切です。
カウンターオファー(退職・転職希望者を引きとめるための提案)をされることもあるでしょう。それで心が揺らぎ、現職に留まることも選択肢のひとつです。
「考え直してほしい」「あなたがいなくなると困る」
これは誰のための言葉でしょうか。
悩んだとき、迷ったときは「なぜ転職するのか」を思い出し、初心に戻ることをおすすめします。
②転職先・入社日が決まっていると伝える
就業規則や円滑な引継ぎを踏まえた常識的な期間であることが前提ですが、転職先ならびに入社予定日が決まっていること、退職日については、自らしっかりと意思表示をすることが大切です。
「完璧に引継ぎしてから」と言われるケースがありますが、完璧な引継ぎなんてありません。そう言われた時点で、何をどうしても文句を言われることは目に見えています。
クライアントワークをしていたとある方は、上司に退職を申し出たが、引継ぎ先が決まらず、宙ぶらりん。有給も取れず。自分が何とかするからちょっと待ってと言われて待っていたら、担当顧客や社内に「いきなり辞めると言い出した」といわれのないことを吹聴されていました。
退職日を確定させて、それに向けて速やかに引継ぎすることに注力して建設的に進めましょう。
③転職先は言わず「落ち着いたらご連絡させてください」にとどめる
退職を伝えたら「どこに行くの?」と聞かれ、正直に伝えたときにややこしくなったケースも見聞きしてきました。
たとえば、現職で転職先に知り合いがいる人がいて「〇〇さんはやめたほうがいい(入社させないほうがいい)」と吹聴したり。代表同士が知り合いで「なんでうちの社員を引っ張るんだ」と揉めたことも。
転職先を伝えてよかったことはありません。
どこで誰がつながっているのか、どう解釈されるのか、自分ではどうしようもなく防ぎようがありません。あえてリスクを取る必要はないため、転職先は言わないことをおすすめします。
会社は自分のキャリアに責任を持ってくれない
思い出してみてください。
上司、先輩が退職したタイミングで、新たな役割、新たな業務に携わることとなり、大変さもありながらも学ぶこともあり、一皮むけて成長した経験はありませんでしたか?
たとえば・・・
もともと総務担当で、退職者が出たことから内部監査の業務を兼任するように。そこから内部監査の仕事に興味を持ち、内部監査としての専門性・キャリアを築いていきたいという方がいらっしゃいました。
ほかには、営業で、退職する先輩から優良クライアントを引き継ぎ、前任者と比較されながらも必死に食らいつき、やり続けることで血となり肉となり、身の丈に追いつくようになり、成長を実感した方もいました。
上司が退職し、マネージャーに昇格。
人が辞めることでポジションが空き、新たにその任に就くことになりました。最初は苦労もしましたが、マネジメントを経験することにより、物事の考え方、視座を上げることが身に着くようになった方もいます。
誰かが退職した後の大変さは数年経つと忘れてしまうものです。
時を経て、辞めた会社の人とあんなこともあったね、と話せるようになった人を見てきました。
終身雇用制度は崩れ、年金はいつもらえるのか将来への金銭的な不安、めまぐるしく変わる情勢に合わせたビジネスの変化など、会社も個人も必死です。会社が個人のキャリアに責任は持ってくれません。自らどうしたいのかを考え、行動して道を拓いていくしかありません。
退職申し出後に見えること
アルムナイ採用が活発化してきていますが、成功している企業は、退職申し出した後の対応が要因のひとつではないかと思っています。
辞めていく人への対応を、周囲の人はしっかりと見ています。
上司が嫌がらせのようなことをしたり、社長が冷たい言動をしたり、最後の挨拶でも目も合わせなかったり。そうなると、辞めていくときに退職理由もあとくされのないようなこと伝える人のみとなり、会社は静かに衰退していきます。
とはいえ辞めていくのは寂しいけれども頑張ってとエールを送る人がほとんどだと思います。
企業が人を選ぶ時代は終わりました。
人も企業も選ぶ時代です。
それぞれが、選ばれるような企業、人になるために自己研鑽していく。
キャリアは自らで選び、拓いていく。
そのためのお手伝いができれば幸いです。
ペルソナ株式会社 金子
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#1 ペルソナ創業の思いとこれまで
#2 ペルソナの事業や制度について
#3 若手社員から見たペルソナ
#4 業界のプロから見たペルソナ
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#5【中編】ペルソナのカルチャーと人
#5【後編】女性社員からみたペルソナ