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「#これ誰」プロジェクト発足のきっかけ。松本市役所建設部維持課に、全身全霊でお礼を伝えてきた!
気がつくと街に緑が増えていたり、道路が整備されていたり。「なんかこの街住みやすくなったな」「綺麗になったな」と思うこと、ありませんか?
誰がやっているかはわからない。だけど、人知れず私たちの住み心地を影で支えてくれる存在。
それが、街の行政の方々だ。
私たちが住む街それぞれに、ハードとソフトの両面で暮らしを支えてくれる行政の存在がある。県庁や市役所、町役場、自治体など、便利になった世の中でも暮らしを支える根底はやっぱり“人”。そうした方々が日々街を整備しているからこそ、私たちの当たり前の毎日は、当たり前のように流れている。
本企画、「#これ誰にお礼言ったらいいですか」プロジェクトでも、街や暮らしに関するお礼がたくさん届いた。
なかでも我々が注目したのは、こちら。
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実はこのお礼、「#これ誰にお礼言ったらいいですか」プロジェクト 発足のきっかけともなったもので、企画発案者のひとりであるパーソル社員の櫻井がどうしても伝えたかったお礼なのだ。
というのも、長野県松本市在住の櫻井は、ある日子どもの通学路に大きな穴があることを発見。「このままでは子どもたちの安全が……」と心配した櫻井パパは松本市役所に連絡し、道路のことを伝えた。すると、極めて短期間で埋め直しが行われ、無事子どもたちの安全が確保されたという。
この出来事を経て、櫻井は思った。
「僕がたった1回松本市役所にメールしただけで、誰かが子どもたちの安全を守ってくれた。
できることなら、携わってくれた人にお礼を言いたい……!でも、誰に言えばいいのかわからない……これ、誰にお礼言ったらいいですか!?!?」
これが今もパーソル社内で語り継がれている、「#これ誰にお礼言ったらいいですか」プロジェクト誕生の瞬間だ。
そしてついに、満を持して松本市役所へ櫻井のお礼を直接伝えるべく捜索隊が動き出した。
これまでのお礼をお伝えした記事はこちらから!
■これ、誰にお礼言ったらいいですか
我々のお礼への第一歩は検索から。松本市役所のホームページを検索し、該当しそうな課を探す。
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左の欄にある「住まい・交通」から進んでみると、「道路整備」という文字を発見。さらにその奥地へ進むと1つの壁にぶつかった。どうやら、道路関連を取り扱っている課は「建設課」と「維持課」の2つあることが判明。
建設課……維持課……どっちもありえそう。
しかし、ここで悩んでいてはお礼が進まない。まずは、可能性の高そうな建設課へ並々ならぬ情熱を込め、メールを送ってみた。
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数日後、1本の電話が届く。画面には「長野県 松本市」の文字が!
もしや、これは!!ドッドッドッと鳴り始める心臓太鼓を抑えつつ、電話に出る。
「はい、もしもし」
「お世話になっております。メールでお問い合わせいただきました松本市維持課の三浦と申します。」
(建設課じゃなくて、維持課だったか~!)
三浦さん「つかぬ事をお伺いしますが、該当する道の住所はわかりますでしょうか?」
「へっ?住所ですか?」
三浦さん「はい。道路は県道と市道に分かれているため、場所によって県の管轄と市の管轄で分かれているんですよ」
盲点~~!!
言われてみれば、まさしくだ。市内には膨大な数の道路があるため、すべてを松本市が管轄しているとは限らない。
「ちょっと確認します!」と元気よく返事をして、櫻井へ住所を聞き再度アタックを試みる。
三浦さん「ここなら市役所の管轄ですが……」
やったーー!と思う我々の気持ちに反して、電話口の向こうの三浦さんは言葉を詰まらせ申し訳なさそうにこう仰ってくださった。
三浦さん「……お礼を言っていただけるのはとても嬉しいのですが、なんというか、僕らとしては当たり前のことをしたまでです。このお電話でお礼をいただけただけで十分ですので、わざわざご足労いただくのは申し訳ありません」
そんな……なんと謙虚で、温かな ホスピタリティなのだろうか。「これは、自分たちにとって当たり前の仕事」。その言葉だけで胸がいっぱいになる。しかし本企画は、そんな「当たり前」にこそきちんとお礼をお伝えしたいのだ。
「実は、本プロジェクトは今回の松本市の道路工事の一件から生まれました。子どもたちの通学路も、そして近くに住む方々もとても助かったので、ぜひ直接お礼をお伝えさせていただけませんか?」
三浦さん「そうだったんですか!……でしたら、身に余るお話ではありますが、お引き受けさせていただければと思います」
恐縮する三浦さんへ「何としてもお礼をお伝えしたい」という情熱を伝え、取材のご快諾をいただけた。当日は、維持課の課長・羽山さんと、現場担当の技術者・林さんがお応えしてくださることに。「こんなふうに取材させていただけるなんて、なんとお礼を言っていいのか……」と逆にお礼を言われそうになり、すでにお礼は大渋滞状態だ。
■松本市役所に到着
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我々は、11時ちょうどのあずさ17号に乗り込んだ。
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窓から見る景色に癒されること2時間半。終点、松本駅に到着!
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松本市役所までは、松本駅からバスで6分、徒歩では20分ほど。国宝・松本城を中心に作られた城下町ゆえ、昔ながらの街並みを感じる道も多く、せっかくなので街歩きも堪能しながら向かう。
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「あ、あそこに松本城があるんだなー」と認識したところ、市役所はなんとそのすぐお隣にあった!
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建物に入ると、受付の方が丁寧に維持課の場所を案内してくださった。
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●爆速で道路の穴をふさいでくれた松本市の維持課へお礼を言う!
―はじめまして!パーソルホールディングスから参りました櫻井です!以前、子どもの通学路でもある近所の道路に穴が空いていた件で松本市に問い合わせたら数日で直してくださって、感動したんです!今回はそのお礼をどうしても伝えたくて、お伺いしました!
羽山さん:お気持ち的には本当にありがたいのですが……。道路管理者が道路をしっかり安全にしていくのは当たり前の話ではあるので、特段何かすごいことをしたとかではなく、私達の職務として当然のことをしただけなんです。
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早速、心からのお礼と「道路に空いた穴って、そんな“秒で”直せるの?」と驚かされた仕事をする維持課の仕事内容についても聞いた。
●道路の補修・維持をする、維持課ってどんなところ?
―松本市の維持課はどんなお仕事をされているんですか?
羽山さん:松本市の市道の維持補修をしています。道路の舗装をはじめ、側溝や縁石などの道路に付属する施設やダイヤ型の黄色いマークの看板やその他案内板などを管理するのが仕事です。
―広い市内全般を管轄するって大変じゃないですか?
林さん:今は16人の職員がいて、その中で地区担当を持っている職員が8人おり、職員ごとに担当地区が分かれています。道路や側溝、ガードレール等の補修について、各地区の担当が立ち会い現場を確認して、直すところまでの管理をやっています。
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―たとえば写真を見ただけで、これはこの辺りだろうというのはわかるのでしょうか?
林さん:維持課にいると、担当地区には詳しくなっていきますね。私たちが何か特別なテクノロジーを持っているわけではなく、写真とともに通報していただいたものについては「これ、あの辺りかな?」と検討をつけ、曖昧なものは周りの人に「これ、どこだと思います?」と聞きながら、最終的な特定を地図上で行います。
―市道は大体把握しているってことですよね。プロです!そもそも道路の修繕って、どういう段取りで行われるんでしょうか?
林さん:修繕のきっかけは、市役所へ届く要望のほか、職員がパトロールをして、市街の状況を把握するなかで見つけます。実は今回のような道路の穴埋めは、割とすぐに補修できるものなんです。補修状況に合わせて維持課が管轄している「土木センター」という部署に状態を伝え、補修に行ってもらいます。
●えっ!LINEで通報できるの?!松本市の道路修繕が速い理由とは
―「ここを直してほしい」みたいな声って、すごくたくさん寄せられそうですよね。
羽山さん:当然1日1件や2件という数ではないので、緊急度に応じて対応しています。街路樹の管理や「カーブミラーが見づらいから改善してほしい」といった要望もありますし、土木センターだけでは対応できない規模のものは業者の方に施工を依頼する場合もあります。本当に危険な場合は、即日補修するという場合もありますね。
―市民の安全を守るための仕組み化がされている!松本市独自の取り組みもあるのでしょうか?
羽山さん: そうですね……うちだけの取り組みではないですが、松本市としてはLINEでの通報に力を入れています。
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―えっ、LINEで通報できるんですか?!手軽ですね!
羽山さん:以前は「なおして!アルプちゃん」という独自のアプリで通報をお願いしていたんですが、いまは松本市の公式LINEから通報していただけるようになっています。市民の皆様は手早く通報できますし、位置情報も簡単に共有いただけます。
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―めちゃくちゃ便利だ……。早急に対応していただけるのは、そういった工夫があるからなんですね。
羽山さん:加えて、松本市が少し特殊なのは先ほどお伝えした土木センターという組織が市役所内部にあることです。他の市町村ではある程度の規模だと外部へ発注するのが一般的ですが、松本市では組織内にある土木センターが対応するため、対応スピードは速いかもしれません。
―だから、あんなに素速く対応していただけたんですね!
羽山さん:小さなことでも、見過ごしていくことによって大きな穴になり、大事故につながる可能性もあります。松本にお住まいであれば、気になるところがあったらぜひLINE(@matsumoto_city)も活用いただければと思います!
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●大学進学で住んだ松本市に魅了され市役所へ。役立ちが目に見える維持課にやりがい
―今回、松本市の問い合わせフォームで道路の穴についてお伝えしたら、その後すぐに維持課から確認の電話がかかってきて、対応のスムーズさに驚いたんです!これまでお話をして気づいたんですが、そのお電話くださったのって、もしや……。
羽山さん:林くんが担当して、話をしたんだよね?
林さん:はい。
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―ですよねっ!?林さんでしたよね?!ありがとうございます!その電話があってから「次に気づいた瞬間には直ってた」ぐらいのスピード感だったので、驚いたんですよ!
林さん:ありがとうございます。でも、通報を受ければ直すのは当たり前の話なので……。
―子どもの通学路だったので、すぐに直してくださって本当にありがたかったです。市民の安全を守る素晴らしいお仕事だと思います!林さんが、松本市役所ではたらこうと思ったきっかけはあったんですか?
林さん:私は岐阜県出身で、信州大学の農学部に進学しました。信州大学は1年生のときに松本キャンパスで学ぶのですが、その1年で松本市の街並みがすごく好きになり、「ここで暮らしたい」と思うようになりましたね。そして「暮らしに根ざす仕事がしたい」との思いから、松本市役所に就職しました。
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―「松本で暮らしたい」と思う気持ち、めちゃくちゃ共感します!僕も松本に移住してきた身なので!
林さん:そうなんですね。どうして松本に移住されたのですか?
―僕は山登りが好きで、北アルプスに魅了されました!
林さん:いいですね!
―街並みを守るなど暮らしに根差した仕事は、やりたかったことと直結していますね。
林さん:維持課はどちらかというと工学的な知識が必要ですが、当初はそうした知識がなかったので、一から勉強しました。おかげで、松本市の役に立てているやりがいがあります。大学時代から今も松本市が好きで、自分が暮らす街を良くするためにはたらけるのは、嬉しいですね。
―自分の手で一つひとつ良くしていけると、やりがいも感じられますよね。
林さん:それに、市役所は市民のためにあるものなので市民と職員の距離が近いんです。維持課では電話で「今こういう状況だからちょっと今日見に来てよ」というお電話を受けて「今日見に行きます」という距離感。特に、困っている方の気持ちを直接感じられる分、それを解決したときの喜びは大きいです。
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―印象に残っている出来事はありますか?
林さん:対応の早さで「ありがとう」という声をいただけることですね。ご高齢の方や小さなお子さんを育てられている方が、今回のように道路についてのご心配のお声をくださることも多く、それを直すことで「だいぶ歩きやすくなったよ」と言っていただけると、具体的に役立っていることがわかって嬉しいと感じます。
ーまさしく、今回は僕がその一人でした。「誰にお礼言ったらいいの!?」と思っていましたが、こうして直接お礼を伝えられて本当に嬉しいです。改めて、
「ありがとうございました!!」
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▼結論とまとめ
道路を一瞬で直してくれた松本市の維持課は「当たり前のことをしただけ」と謙虚な姿勢ながら、市民の安全を守るためのシステムと意識がすごかった!
・松本市の道路や道路の付属施設を維持補修するのは維持課という部署
・「ここを直してほしい」という市民からの通報をLINEでも受付中
・LINEで現場の写真や位置情報も簡単に通報できる
・市役所内部に、土木センターという“実働部隊”があるため、道路補修はよりスピーディー。即日補修できることも。
・維持課には、松本市に惚れ込み市役所への就職を決意した職員(林さん)がいる。
・維持課は、市民の困りごとを目に見える形で解決していく仕事なので、松本市が好きであればあるほどやりがいを感じやすい。
●松本市維持課・羽山さん、林さんのお話を聞いて
「道路」という行政が管轄する領域が安全で綺麗に保たれることは「税金を払っているから当たり前」と言われれば、そうなのかもしれない。でも、自分があげた声がすぐさま伝わり、わずか数日で改善されたことに感動した市民もいる。
公のためにはたらく人が、すみやかに現場を確認し、必要な機材や資材を用意し、補修を完了させ、安全を確認してから何事もなかったかのように立ち去り、また人知れず次の現場へ行く。
これが当たり前に機能している松本市が、いまの日本が、本当にありがたい。
しかしながら、市民がお礼を言えるような場面はなかなか見当たらない。本当は声高に「ありがとうーーー!!助かったよーーー!」と言いたいのに。
お話を伺った維持課の林さんは、大好きな松本市が目に見えて良くなる実感が持てるこの仕事に、大きなやりがいを感じているようだった。
「当たり前のことをしているだけ」と仰っていたが、それでも「ありがとう」の声を伝えることで、私たちを取り巻く社会はもっともっと良くなるのではないか。
「ありがとう」を伝えるのはタダだから、もっと伝えたっていい。そんなふうに感じた取材だった。
もし今後も、お礼を言いたいナイスな仕事を見つけたら勤労感謝の日に限らず、投稿してみてほしい。もしかしたらその先ではたらく多くの人にお礼が届くことだってあるのかもしれないのだから。
最後にはなりますが、取材にご協力いただいたみなさま、
#で投稿してくださったみなさま 、ありがとうございました!
文:「#これ誰にお礼言ったらいいですか」プロジェクト事務局メンバー