見出し画像

ペルシアの春のお正月(1)

あけましておめでとうございます🌹

お正月とともに大寒が近づいて、これから冬本番!という季節ですが、お正月を迎えると、なぜか気分はもう春に向かっていますよね。それもそのはず。実は冬至から大寒の寒さが増すこの季節には、大地の奥のほうで植物や種が息を吹き返して、春の芽吹きへと向けてひっそりと活動を開始しているから…

明治時代に日本に西暦が入ってくるまで、旧暦の伝統的なお正月はもともと春の訪れを新年のはじまりとした農事暦に基づくもので、お正月を(冬なのに!)初春と呼ぶのも旧暦の倣わし。新年を迎えたとたんに初春の気分が昂揚して、寒空の下でどんなに木枯らしが吹いていても春を想って頑張れそうな気がするのは、旧暦に込められていた日本文化の伝統が今でもちゃんと息づいているからかもしれません。

ペルシアのお正月は、そんな旧暦の初春に少し似ていて、春分の日―正確には、太陽の中心が春分点上に来る瞬間の何時何分何秒まで正確に測った時刻―に年が明けることになっています。これは数千年の歴史を持つ農耕文化と天文学の伝統に裏付けられたペルシア独自の太陽暦に基づいていて、冬から春になるまさにその瞬間に初春を祝おうという(!)とても精密に計算されたお正月。もちろん春分の時刻が毎年くるくる変わるのと同じに、カウントダウンの時刻もくるくる変わって大変だけれど、天文学的な正確さで迎えるペルシアのお正月は、春を満喫するのにとびっきり素敵な始まりの日なのです。


いいなと思ったら応援しよう!