【創作】ぶうめらん①
八人兄弟であった父の末弟が先週亡くなった。父は三男であるが他の兄弟及び親類はもうこの世にいない。父と共に数年ぶりに父の実家を訪れた。
遺品などの整理をしておこうということになったのだ。
車の廃車手続きやら電気、水道、ガス、携帯電話の解約役所の手続きなど思っていた以上にやることが多い。
私は週末しか手伝うことができないので二週に分けて残された倉庫の整理をすることになった。
整理を進めていくと保存状態が悪くボロボロに朽ち果てた書き物なども出てきたが、ほとんど読めるものではなかった。
二週目の日曜日午前でほとんど終わりに近づいてきたと思えるほど片付いたのだが、仏壇のような家具が最後に姿を現した。
開き戸には張り紙がされていたが中を確認するため剥がして開けてみると3~40㎝程の厳重に封をされている長方形の木箱が見つかった。
何となく触れてはいけない気がしてきたが、父はお構いなしに封を取り除き木箱を開けた。絹のような布で包まれたものが出てきた。
はっきりとは読めないが、開封厳禁のような言葉が見て取れたので、やめた方が良いと進言はしたものの父は聞く耳を持たずその包みを開けてしまった。
脇差というより短刀であろうものが中身であった。短刀の柄には家紋のようなものが描かれている。刀身はおそらく30㎝強ある。警察に届けた方がいいのではないかと父に進言したが、金になるからと一旦自宅に持ち帰ることになり、包まれていた布で包んだ後木箱に収め、父は自宅に持ち帰った。
翌日父の知り合いの古物商をされている細谷さんに見ていただいた。細谷さんも見たことがない家紋らしく、何枚か写真を撮り再度調べていただけることとなった。
翌日のニュースに父と目を合わせ血の気が引くこととなった。昨日我が家を訪れた細谷さんはその帰路で交通事故で亡くなってしまったのだ。
緩やかに右に曲がるほぼ直線の道路で電柱に激突し、即死だったそうだ。ブレーキ痕も一切なく、居眠りなのか、何かの発作が起こったのかということであった。
私はもう嫌な予感しかせず、父に再度進言したがまだあきらめていないようだ。もう関わりたくないのだけれど、父は近くのお寺の住職に相談したようだが、実はそういうのは専門の人がいるんだよねと断られたらしい。
そして、そういうものの専門家らしい菅原さんという方を紹介され、明日その菅原さんのところへ持っていくことになっている。
どうやらお祓いのようなことをしてくれるらしい。翌日の朝、父に気を付けるように告げた後、私はいつも通り仕事に向かった。
自宅に帰ると事態は一変していた。父も母も青白い顔をしており、様子がおかしい。何が起こったのか、父に問いかけた。
声を震わせながら父は話し始めた。菅原さん宅に到着後、すぐにお祓いをしていただくことになったそうだが、菅原さんが木箱を開け包みから短刀をと取り出したところまでしか覚えていないという。
気が付けば短刀を手に握ったまま立っており、菅原さんはちょうど心臓部分に刺し傷があり、血を流し既に死んでいたそうだ。
そこからまたパニックになったらしい。気が付いたらもう車を運転し家に向かっており、どうしてよいか分からないまま今に至るという。
短刀はどうしたのか聞くと覚えていないらしい。
とにかく警察に行こうと父を説得し、表の駐車場に向かった。そこであり得ない光景を目にした。
ぶうめらん②へつづく
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