毒になる親 Toxic parents スーザン・フォワード 毎日新聞社
最近話題の毒親。その毒親(toxic parents)の先駆けであり、自らカウンセラーとして現場に立つ著者による本である。毒親が子に与える影響は甚大である。
毒親には以下のような特徴がある。
毒親の影響は、汚染のように広がっていき、代々受け継がれる、すなわち、毒親の親も毒親なのだ。
毒親は子供のためと言いながら、実は、親に対する依存度を大きくすることによって、自分の立場を守ろうとする自己中心的な性格。
ネガティブな感情を、本来向けなければならない対象から逸らせ、より容易なターゲットである子供に感情のはけ口を持っていく。
自分自身に強い恐怖や不安、不満があり、子供なしでは自身のアイデンティティーが確立できないので、子供が独立すると、裏切られたように感じる。
日常的かつ執拗に言葉や暴力で傷つける。時には、ユーモアの外見を纏っていることさえある。
毒親に育てられた子供の特徴は以下のようである。
親からしっかりと心を支えてもらった経験がないため、自分が生きている事の価値が見出せない。
客観的に見て毒親と判断されても、親はもちろんのこと、子供も自分の親が毒親であることに気づかないことも多い。
自分自身の達成感がなく、外からの評価軸でしか自分自身を評価できない。
親が不幸でいると、それがあたかも自分が原因と考えてしまう。その結果、罪悪感や過剰な義務感が生じ、親との共依存の関係になる。
親の期待に過度に応えようとし、親の機嫌をとることにかなりのエネルギーを浪費する。それが、本当は子供自身がのぞむものでない場合に、心身症や鬱、頭痛など様々な精神や身体症状が生じる。
親の機嫌を損ねないように、無意識のうちに自分自身に限界を設定し、親を超えることがないようにしている。そのため、出来の悪い自分を「内面化」し実現してしまう。
過度の反抗という態度も、親からの影響であるため、親からの汚染が続いていることになる。
支配から逃れようとして、自分自身が望んでいることも無視する結果となる(自己処罰)。
過去の事なのに、あたかも現在も続いているかのように感じる。親が死んだ後でさえも、トラウマに苦しめられることもある。
抑圧されたフラストレーションと怒りが心の底に溜まっており、他の人間を感情でコントロールするようになる。
毒親の配偶者はどうすれば良いのか?
毒親の、もう片方の親(夫であれば妻、妻であれば夫)も傍観者であれば、共犯者であり協力者ということになる。共犯者を避けるためには、離婚という選択肢もあるが、我が家のように子供の事を考えてなかなか踏み切れないこともある。その際、覚えておかないといけないことは、離婚は夫婦間の問題であって、子供には関係ないということである。ただ子供が物心ついてから、子供とは話合いしたい。
毒親による汚染を断ち切るために、まず、自分の親が毒親であるのか気付くことが重要である。治療はカウンセリングが中心で、過去のトラウマから本人を切り離す作業を行う。自分を守る術を知らない子供だった時に、大人からされた事に対して、子供には責任がないということを知るのが重要だ。それと、最も大事な事は、親を変えることはできないということだ。どんなにひどい家庭であっても、子供にとっては家が平和であることを望んでいるものだ。だけれど、いつかは親が変わるのではないかと期待しても虚しい結果になるだけだ。変わることができるのは自分自身だけなのだ。治療がうまくいくと、仕事で問題が生じても、それが仕事の問題なのか、自分の内面の傷が引き起こしているのか区別できるようになる。とはいえ、自分が毒親になっている事に気づいてない事が多いのだが…
このように毒親の汚染状況を知ると、子供を叱るのも怖くなるかもしれない。しかし、親子の基本的な愛情と信頼関係があれば、たまに怒りを爆発させることがあっても子供は大丈夫となのだ。間違えたり、失敗することは子供の成長にとって重要なプロセスである。自分は離婚をしないという選択をしている以上、妻と子供にはしばらく寄り添っていようと思う。