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推しが結婚した
その日、年内中に締めたいけれど、なかなか終わらせられない仕事の話を3時間ほどZoomでみっちりやり、一息ついたところでふとパソコンを見ると、心中をお察しされたメッセージがいくつか入っていた。推しが結婚していた。
推し始めて間もないころに、におわせ写真と言われている写真の存在を知ったこと、インタビューなどで自分の子供が早くほしいとよく言ってること、9月に出た熱愛報道でとんでもない数の写真が上がっていたこと、その中で寛ちゃんが明らかに撮られていることに気づいているカメラ目線だったことなどから、「おまいら、そろそろ覚悟しとけよ」と推し様、およびLDH様から言われているような気がしていたから、心の準備はできていた。
町田啓太さん、ご結婚おめでとうございます。
それでもクリスマスにファンに対してどえらいプレゼントをしてくれるよなとは思ったが、愛する女を喜ばすためなら、それも仕方あるまいとその日を選んだところが町田くんぽいとも思う。それに逆の立場で考えてみると(なぜ逆の立場で考えてみる必要が?)ファンよりも恋人である自分を優先してくれるなんて最高の彼氏、もとい夫じゃんか。
最初にお相手のことを知ったとき、あぁ、「水の声を聞く」のあの教祖の人か、結構渋いところを突いてくるねと思った。グラビアアイドルやセクシー女優やインフルエンサーではなく(いろいろ悪意ある書き方ね)山本政志の映画に出るようなインディーズ魂のある女優を選ぶなんて、君、分かってるねぇと。そしてわたしは「ロビンソンの庭」の公開時に派手な格好をして、河原町を練り歩いてチラシを配るというチンドン屋をやったこともある元山本政志ガールズの一員である。(とはいえ、何十年か後に当時BOX東中野だったか、もうポレポレ座になってかでオールナイト上映があったときに行って挨拶したら、わたしのことは1ミリも思い出してもらえなかったというオチがつく)そんなもん親近感を抱くに決まってんだろ。
ところで熱愛報道があったときにラインをくれた友だちはこう書いていた。『熱愛報道の町田さんって寝言ちゃんの推しの人? 彼女さんは語学堪能で年上、共通点おおいね』と。
なんかね、同じ属性の人って感じがするよね。
そして入籍の報告があってメッセージをくれた別の友だちはこう書いていた。『相手の人は、寝言さん的な顔だよね。と思った。』と。
やっぱり?
実は内心、ずーーーーーーっとそう思っていた。
誤解がないように言っておくと、それほど似ているわけではない。人類の顔を10種類ぐらいに分けたときに同じ系統に属するというか、フィリップ・シーモア・ホフマンがいる川をさかのぼっていくと、いつしかディカプリオに到達するって喩えで分かりますか?
そう、わたしの川の上流に玄理さんがいる。
心に薄皮が一枚張り付いているような、かつての熱狂に水を差すようなひんやりした感情がまったくないとは言わないけれど、結局のところ結婚相手がわたしみたいな人だから、ま、いっかと許しているのである。相当狂ったことを言ってる自覚はあるが、推すってそもそも半ば狂ってるようなもんでしょうよ。
とかなんとか余裕ぶっこいたことを言ってるのは、もはやわたしが町田さんを産める年齢に達しているというのもあると思う。まだ30代とかだったら正気ではいられなかったかもしれない。
こうしてメタおばあちゃんの視点を獲得したため、今は一刻も早く町田くんの子どもをかわいがりたい。まぁ、オタクには見せてくれないだろうけれど。