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悶絶の膝小僧

愛犬のコーダにスケボーの乗り方を教えたのは2歳になった頃でした。

地面を自分の足で蹴ってスケボーを進ませることができるようになりました。まっすぐ進めるようになったあとは、どこかにぶつかったら反転して反対方向に進んで行けるように教えました。

それ以上の事を教えるには私がもっとスケボーの事を知らなければならないと思い、コーダが使っているスケボーに乗ってみました。

犬が乗るものだからと、ネットで3千円くらいで見つけたそのスケボーは人間の私が乗ってもモソモソしてスピードが乗らず地面に引っかかるようで気持ちが悪い感じ。

まともなスケボーを手に入れようと思い、ムラサキスポーツに行ってみました。

スケボーの板を買って、トラック(タイヤと板を接続させる部分)にウィール(タイヤ)をセットして、デッキテープ(スケボーの表面の素材)も選べました。最初のボードはヒョウ柄のデッキテープ。スタッフの方には犬が乗ると言う事を伝えて一緒に選んでもらいました。

値段は確か、トータルで1万5千円くらいだったと思います。でも良いものを買えばコーダとの練習をもっと頑張れると思って買いました。

新しいスケボーに最初に乗ったのはコーダでした。

今までよりも格段に滑りやすそうで、スピードも出て良い感じ。私も乗ってみましたが、今までよりも進みやすいです。モソモソもしません。

コーダの散歩はスケボーで移動してみることにしました。リードを持って、スケボーに乗って危ないところや人が見えるところでは、中年女性なので恥ずかしいのでやりませんが、自分も練習してコーダも練習できる場所まで移動するのに効率が良いのはそれに違いないと思いしばらくやっていました。

アスファルトの路面も、良いところと悪いところがあります。スケボーをやりだすと全ての道路やコンクリートが滑りやすそうかガタガタか考えてしまいます。

ある日コーダと一緒に家を出てスケボーでガタガタな路面の道をスケボーで滑ると案の定、ウィール(タイヤ)に小石がひっかかってスケボーがすっ飛び、私は勢いをつけながらムササビのように地面と平行に飛び、そのまま地面に叩きつけられました。

転んだ拍子にコーダを繋いでいたリードを手から離してしまい地面に転がりながら呻く私。「うぅぅぅ〜〜〜〜痛い〜〜〜痛い〜〜〜」膝を思いっきり打ちつけてしまったようで立つことができません。

車が通れない道なので、安心して痛がることができる場所なので思う存分のたうちまわりました。地面に転がる私の横を、若いカップルと子連れの人が通ったけど誰も目を合わせようとしないし声もかけてもくれません。

私でも多分、これ(アスファルトに寝転がりうめき悶えるデカめの中年女性)に遭遇したらなんか怪しい人なので関わるのやめとこ。と、なるかもしれませんので彼らのことは責められません。

膝が猛烈に痛いなか、あれ?コーダどこ行った?とキョロキョロすると10メートルくらい離れた場所にコーダが居て、草むらの匂いを嗅いで足を上げておしっこをかけています。まるで1人で散歩に来てたかのように。

あいつとは知り合いでもなんでも無いんです。初めて会う人です。と言う感じです。あれ・・・私とあなた、最高のバディだよね?信頼関係の2人だよね?助けてくれもしないし、こちらを見ない感じがまた一層虚しい感じ。

「コォォダァ〜〜〜、おいで〜助けて〜〜〜」と呼びもどすと、しばらく無視したのち、「チッ」と舌打ちが聞こえてきそうなタイミングでトボトボとかったるそうに負傷中の私の方へ歩いてきました。

必死にリードを持って、地面にまだ転がって痛い痛いと唸っていると、自由に移動できなくなったコーダは犬だてら「ハァ・・」とため息をついて私の顔にドンとお尻を乗せて座ってきました。

さっき、うんちしたてのコーダのお尻の穴が私の目のところに。

コーダにとって私は椅子なんでしょうか。とっても不満そうな顔で遠くを見つめながら地面に寝転がる私を待っています。道に寝ながら妹に「歩けない」とLINEすると家から助けに来てくれました。

確か、妹にコーダのリードとスケボーを持ってもらって、確か私は生きている足の方でケンケンを300メートルくらいして帰宅しました。

それからも懲りずにたまにスケボーの練習をする私でしたが、靭帯損傷、捻挫、擦り傷、青あざといつも友達です。


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