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プロジェクトの立ち上げ

今回も読み上げ動画を作ってありますので音声の方が好きな方はこちらをご活用ください。

プロジェクト実行のための条件とプロジェクト管理のための明確なルールが決定されて初めて、プロジェクトを立ち上げることができます。
(なお、PMIではプロセスの区切りが異なり、もっと前段階でプロジェクトの立ち上げプロセスに移行するのでご注意ください。)
ここまで学んできた次の内容が決まれば、プロジェクトは簡単に立ち上げられそうに思います。

  • プロジェクトの成果物が明確になる

  • マイルストーンが明確になる

  • 経営資源の配分を合意する

しかし、ここでプロジェクトを動かし始めると後々プロジェクトが破綻することがほとんどです。
プロジェクト活動実行のための条件が決まってからプロジェクトを動かし始めた方がプロジェクトの成功に近付けます。プロジェクト活動実行のための条件は次のようなものです。

  • 品質を保証する計画

  • 製品を保証する計画

  • プロジェクト管理のための明確なルール

現場の対応がプロジェクトオーナーやプロダクト側の期待と異なる場合、成果物ができてからプロジェクトオーナーやプロダクト側に確認しても手遅れです。かといって、現場の作業を事細かにプロジェクトリーダーが管理することも難しいです。
プロジェクトリーダーは「実行する予定だった全てのプロセスが実施されたことを確認」します。

品質保証体制

  • 各段階のそれぞれの活動が適切に記述されている

  • 各段階で品質チェックに関する記録が必要

品質保証体制が整っていれば、品質管理は自然な流れの一部となります。

品質保証計画

品質保証計画という文書で総括されます。

  • 様々な活動がどのように実行されるのかを定める

  • 直近の作業がどのように行われるかを定める
    ・中間的作業がどのようにチェックされるか明記する
    ・品質記録の典型的なフォームを定める
      プロジェクトオーナーやプロダクト側の人々にこうした記録を伝える方法

    品質保証に関する作業は似通ったものになるため、品質保証の一般的な部分を「品質保証マニュアル」などにまとめるという考え方が生まれてきます。
    同様に品質保証を専門で行う部隊を各プロジェクトで利用するという方法もあります。
    このような品質保証の共通点をまとめたISO9000は企業にとっての品質保証体制の基準になります。ISO9000認定を受けた企業をプロジェクトに参画させることで相対的な信用を得ることができます。

    プロジェクト計画の変更

    プロジェクト計画の変更の際には、費用や予定だけでなく、変更による影響の可能性を考慮する必要があります。

    影響の種類

    • 内部的な影響
      ・成果物のパフォーマンス
      ・コスト
      ・時間

    • 外部的な影響
      ・安全性
      ・環境面

    検討と実施

    全ての影響が正しく評価されて初めてプロジェクトの計画の変更を決定できます。
    プロジェクトの計画を変更するので、プロジェクトの立ち上げと同じくらいの重さがあります。
    あまりに変更が多いと不整合が発生するようになりますので、何でもかんでも変更を受け入れず「No」ということも必要です。

    変更の実施の際には、管理やフォローアップも必要になります。

    バージョン管理と構成管理

    全ての変更は情報を正しくアップデートし、バージョンを最新にしておく必要があります。

    バージョン管理は、プロダクトオーナーに対して最終的な製品の統一性を保証するために鍵となる要素です。
    適切なバージョン管理のために、変更の可能性がある事項をプロジェクト実行前にリストアップしておくべきです。これが、バージョン管理でカバーされるべき要素になります。

    新しいバージョンが成果物全体の質を落とさないよう、検討を行います。
    これは非回帰検証(NRV)と呼ばれています。NRVはプロダクト品質保証と製品保証が交わる重要な要素になります。

    一つの項目における変更が連鎖して他の項目にも変更が必要になります。
    「構成管理」ではプロジェクトの様々な構成要素やそれぞれのバージョンにおける一貫性を管理します。

    バージョン管理と構成管理が合わさって製品保証になります。
    製品保証はプロジェクトの品質保証に組み込まれていることが多くあります。
    また、プロジェクトの全ての部分における影響を管理することを「変更管理システム」と呼びます。

    プロジェクトの管理

    プロジェクトを円滑に進めていくための施策はここまでで計画できました。
    しかし、プロジェクトを進めていくと、問題が増えていきます。
    問題に備えて、プロジェクトの管理に関するルールの説明を関係者全員に行う必要があります。

    プロジェクト管理に関するルール

    • 進捗度を確認する手順
      ・プロジェクトの進捗状況を確認する会議の頻度
      ・会議での意思決定プロセス
      ・プロダクトオーナーとそのチームのコミュニケーションの取り方

    • プロジェクト側とプロダクト側の会議
      ・プロジェクトコントロール会議の頻度
        変更要求や成果物の再定義などについての検討会議
      ・会議が開催されるきっかけとなる状況やその頻度
        プロジェクトの方針変更やプロジェクトの中止
      ・会議での意思決定プロセス

    • プロジェクト契約の内容
      ・成果物の定義
      ・プロジェクトのスケジュール
        WBS・フローチャート・活動群・S曲線・責任分担表
      ・品質保証計画
      ・安全性と環境に関する計画
        プロジェクトが実施されている期間外も含めて計画することが多い。
      ・プロジェクトマネジメント計画
      ・プロジェクトのリスク管理

    これらが承認された後にめでたくプロジェクトが開始されます。

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