働く子育てマンが2ヶ月で3つの資格試験を突破した方法
※ こちらは「LayerX Advent Calendar」 56日目の記事です。
お世話になっております。LayerXの丸野(@peroyuki_)です。
ここ2年ほどは三井物産さん達と作った合弁会社の立上に奮闘中です。手前味噌ながら、なかなか面白い会社ですので、ご興味ある方は是非チェックしてみてください!(本記事最後に紹介あり。絶賛採用中です!)
仕事 × 育児 × 勉強 = 😇
早速本題です。私はひょんなことから、2021年10〜11月の2ヶ月で以下の3つの資格試験を受けることになりました。
① 内部管理責任者試験(10月4日)
② 宅建試験(10月17日)
③ 不動産証券化マスター Course1修了試験(11月20日)
この中でも特に宅建試験は「落とす試験」とも言われており、しっかり勉強しないと合格することができません。(合格率は15〜18%)
私は、前述の通りスタートアップでモリモリ働きながら、妻と2人の子供(4歳♂、0歳♀)がおり、例に漏れず「仕事と家庭の両立に苦労しながらもがいている」の1人です。
そういった状況にあることもあり「資格試験3つ同時期に受けるなんて、頭おかしいんですか?」という反響(?)をよく頂きます。
しかしながら、色々と工夫することで、何とかこれら3つの試験を無事合格することができました。
今回は、最も大変だった宅建を例に取りながら、自分なりに意識・実践したことをご紹介できればと思います。
みなさん資格を取る機会などあまりないかもしれませんが、少しでも忙しい方の仕事・育児を頑張るパパさんママさんの参考になれば幸いです!
動画をフル活用する
まず、書店で宅建をテキストをパラパラみたときに、私が抱いた印象は、
「なんか、漢字多いな・・・」
ということでした。聞き慣れない用語もチラホラあり、テキストだけでの学習する限界を感じました。(そういう方、意外にいらっしゃるんじゃないでしょうか?)
そして「資格学校のWeb講座」に課金しました。
働きながら子育てをしていると、なかなかまとまった時間がとれないので、自分の好きな時にできる通信は助かります。
私の以下のような判断軸で、結局TACさんに決めました。
① 実績のある資格学校(「悩む時間」>「多少のコスト増」)
② 動画がWebで見れる(「倍速」「スキマ時間」「ながら」)
③ スマホアプリ問題集がある(「スキマ時間」「ながら」)
ちなみに、資格学校選びの際は「"通い"と"通信"どちらがいいか論」があります。自分が怠けないように「通い」を選択される方もいらっしゃると思いますが、個人的には「通信(オンライン)一択」です。
理由は以下です。
動画が使える
=> 時間場所を選ばないので、スキマ時間活用して勉強時間を捻出できる
=> 倍速にすることでインプット時間を短縮できる
=> 更に"ながら"学習が可能(例:はみがきしながら勉強)
特にこの倍速は非常に強力で、単純計算でインプット時間を半分にできます。
TACは最初から倍速機能がついていたので問題なかったのですが、倍速機能なんてないよ!というモノもあるかと思います。そういった場合はChromeのConsoleから以下のコマンドを打つことで倍速にできるのでオススメです。(PCのみ。2を3にすると3倍になります。スマホは対応してないので注意)
document.querySelector("video").playbackRate=2
また「ながら」勉強もあなどれません。
僕の場合、動画やスマホアプリ問題集を活用して、以下のようにスキマ勉強時間・ながら時間を捻出しました。
【例】
・洗濯物を干しながら、iPadで動画を見る
・歯磨きをしながら、スマホアプリで問題集をやる
・自転車で子供を保育園に迎えに行く移動中、
スマホのバックグラウンド再生で動画を聞く
・子供を砂場で遊ばせながら、スマホアプリで問題集をやる
・シャワーを浴びながら、動画を聞く
・トイレでお花を摘みながら、スマホアプリで問題集をやる
オススメは「家事をしながら、動画を見る・聴く」です。
ただ勉強していることは、直接的に家事・育児に貢献できないため、やや後ろめたい気持ちがある人もいるかもしれません。
しかし、家事をしながらであれば、家庭貢献と学習を同時並行的に進めることができるため、料理・洗濯・掃除・スーパーへの買い物等をしながら、動画を見る・聴くのを多用しておりました。
時間が「ない」中で、削り出す
このように、動画やスマホアプリがあれば、日常にあるちょっとした時間を活用しながら「スポット的な学習時間」が捻出できます。
しかし、集中して新しい知識をインプットしたり、本番形式の予想問題集を解いたりするためには、もう少しまとまった時間を確保する必要があります。
平日の昼間は働いていて無理ですし、夜は子供が寝静まった後となると22時以降になってしまい、1日頑張った"しぼりかす"のような状態では、効率的な勉強をすることができません。
休日についても、子供や家族との時間も大切なので、完全に勉強に当てることもできません。
そこで私は以下の2つを実行しました。
① 朝型に切り替える(PM 10時就寝、AM 4時起床)
② 休日の内、1日は夫婦で育児を分担し、半日は勉強時間に
特にオススメは朝型への切替です。ここは、スタートアップ経営者で朝型にしている方を参考にさせて頂きました。
朝は脳がフレッシュな状態なので、集中した学習に最適です。もちろん子供も寝ていますし、日本人の大半が寝ている時間なので「めっちゃ良い1日のスタートを切れている感」も特典としてついてきます。
朝型にすることで、毎日2〜3時間の勉強時間を確保することができました。
家族を、巻き込む
上記のような勉強時間確保には、やはり家族(特にパートナー)の巻き込みが不可欠です。
子育てはチーム戦です。パートナーにしっかりと目的・情報共有をすることで、育児分担のプランも立てやすくなります。
ワイ「あのさ、宅建受けることになったわ」
妻 「ブロックをチェーンする仕事辞めたの?」
ワイ「ブッサンさんとの合弁会社やで、不動産とか扱うのよ」
妻 「へ〜、だから最近歩いてるとビルの写真とか撮ってるんだね」
ワイ「そそ。仕事なので、落ちたらやばいやつ」
妻 「受かったらクビになっても不動産屋さんが拾ってくれるね」
ワイ「・・・」
ワイ「家事系はむしろ"ながら"使ってやるので、僕に頂戴ね」
妻 「ほ〜い」
個人的に意識したのは、完全に育児・家事を丸投げにせず、ながら学習なども活用して「こんな形で微力ながら家庭に貢献しますので、何卒よろしくおねがいします」というスタンスです。
私のパートナーは非常に理解のある女性なので、究極的には家事・育児をお願いすることもできたと思います。
しかし、親しき仲にもなんとやらです。
パートナーや家族からしたら「私が勉強すること」による直接的なメリットはありません。長期的な関係性維持のためには、こうした一工夫も必要だと勝手ながら思っております。
(余談)
嬉しい誤算として、こんなことがありました。
息子「パパが勉強しているから、僕もひらがな勉強する!」
勉強する親の姿を見て、いきなり公文のドリルをやりだしたのです。
子供は親を真似るとはいいますが、ホントだな〜と思った瞬間でした。
徹底的に自分を疑う
ここまでは「勉強時間をどう作るか」というお話をさせて頂きました。
しかし、勉強時間があるからといって、そもそも勉強しないかもしれないですし、勉強したとて合格する基準に達するかは分かりません。
そこで、私は学習に関しては、あらゆる点で自分を疑うことにしています。
具体的には、以下です。
・自分の「やる気」を信じない => 退路を、断つ
・自分の「計画性」を信じない => PM力を発揮する
・自分の「記憶力」を信じない => 強度×反復、黄金の8時間
1つ1つ見ていきましょう。
退路を、断つ
司法試験のような超難関試験と異なり、宅建試験などは勉強さえすれば誰もが合格することができる試験です。
でもこの「勉強さえすれば」が難しいのです。色々とTipsをご紹介していますが、所詮やらなければ意味がありません。
「さて勉強しよう」と思っても、日常には誘惑が溢れています。
仕事のメールやslackはもちろん、Twitterで流れてくる面白そうな記事、お気に入りの漫画の最新刊の発売、Netflixの渾身のドキュメンタリー、大好きな格闘家同士のYoutubeコラボ・・・。
こういった欲望が出てきても「勉強する確率を上げる」ために、自分を追い込みます。
私の場合、まずは周囲に受験することを明言しました。
これで「もし落ちても、誰も知らないからいいや」という言い訳を絶ちます。落ちたらとても恥ずかしい状況を作っていきます。
よく格闘技で選手がお互いに煽り合ったりということがありますが、あれは試合を盛り上げるだけでなく、負けたときの恥ずかしさを最大化することで、自分を追い込む側面もあるそうで、これを参考にしました。
さらに、自分の場合は、業務上必要な資格だったので、万が一にも合格しないと会社の皆さんに多大な迷惑をかける状況がありました。これは強烈なプレッシャーになり、いい感じに自分を追い込むことができました。
退路を断つことは、こうした「誘惑のサイコロ」が脳内で回転した時に、「よし、勉強するぞ」という出目が出る確率を最大化してくれます。
プロジェクトマネジメント力を発揮する
自分を追い込むことができたら、次に計画を立てます。
私の場合まず、教材の消化ペースを計測して、合格までの最低勉強時間を算出しました。
【宅建の例】
・講義動画(基本) ...1動画あたり20min(倍速)× 動画数84 = 28h
・講義動画(まとめ)...1動画あたり60min(倍速)× 動画数10 × 2周 = 20h
・問題集 ...1問あたり3min × 問題数 431 × 2周 ≒ 43h
・予想問題 ...1回あたり3h × 5回 = 15h
=> 最低必要時間:106h
しかし、この計画を徹底的に疑います。
まず、実際に1〜2週やってみると、当初見積もりより1.5倍くらい時間がかかりました。私の場合、復習が思ったより時間かかる等の見積もりミスがありました。こういったミスを早めに検知したことで、総勉強時間を106×1.5≒160hに再設定することができました。
次に、これをスケジュールに落としました。
【宅建の例】
・平時 ...15h/週(平日10h、土日5h) × 8週 = 120h
・直前1週間...40h/週(平日20h、土日20h) = 40h
=> 計9週
ここでも、この計画を疑います。
まず「本当に計画通りやりきっても合格できるのか?」というリスクについて検証します。勉強の仕方が間違っていたり、自分の記憶力が測定よりも悪かったケースです。このリスクについては、試験1ヶ月前にチェックポイント(予想問題を解く)を設けて達成度を把握し、ダメな場合は、残り1ヶ月で計画を修正して巻き返せるように直前2〜4週の勉強時間にバッファを設けることで対応しました。
次に「計画通りに勉強時間が確保できないリスク」(子供の世話が必要、仕事が忙しい、自分が体調を崩してしまう等)についても検討を行いました。育児については、パートナーとの事前協議することで解像度を高めつつ、仕事については「仕事の連絡が来ない時間帯(=早朝)をコア勉強時間にする」ことにし、自己管理の部分は「ちゃんと6時間以上寝る」ことで、対応しました。
これでようやく「ざっくり9週間あればいけるな」と算段をつけました。
(このように1つ1つ不確実性を検証して潰していく作業は、勉強だけでなく、事業作りも同じですね!)
自分の記憶力を疑う
人間の記憶は減衰していきます。
私は物覚えの良い方ではないので、あらゆる「忘れない努力」を徹底しました。
そのポイントをまとめると以下のようになります。
① 覚える時の「インパクト」を最大化する
・ストーリー(関連付け)で覚える
・語呂合わせ(自分で作ることが大事)
・図を書く、表で整理する
・ひたすら復唱する
② とはいえ「絶対」忘れるので復習する
・忘却曲線を意識
③ 前日〜当日の「ゴールデンタイム」を活用する
・直前に覚えたものは忘れない!
私の場合、覚えるときに「テクニック」が使えないかを考えます。
まず「ストーリー」です。
これはタモリさんが紹介されていたものでもあるので、知っている方もいるのではないでしょうか。
要は、単語を1つ1つ覚えるよりも、意味的な関連性を作ったり、流れを作って、一連として覚えるというものです。これによって一部忘れているものがあっても、他との関連性で思い出しやすいというテクニックです。
似たテクニックとして、全体構造(例:本であれば目次)を理解してから、細部をインプットする(例:目次 = 流れのある「箱」の集合体に「中身」を「入れていく」ようなイメージ)というものもあります。
その他にも、語呂合わせを試してみるのも強力です。(これは意味のない文字列・数字を覚える時によく使います。)
あとは、私はイメージで記憶するタイプのようで、図や表に起こしてみるというのもよくやります。
これでもどうにもならないものは、最終的に「復唱しまくり」ます。
これは、以前「人の名前を一発で覚える人」が、
「その人の顔を見ながら、頭の中で10回復唱すれば絶対に忘れない」
と言っていたことから着想を得ています。
タイミングを意識して、復習する
上記のように、どれだけインパクトを残して覚えても、人間は忘れてしまうものです。これでもか、と自分の記憶力を疑います。
そこで、忘却曲線を意識して復習することで、記憶の長期化を図ります。
「忘却曲線?」という方もいるかもしれませんが、以下のようなざっくりした理解をしています。
・人間はどんどん忘れるよ
・ただ、思い出す回数が多いほど、忘れるペースがゆっくりになるよ
これらを意識して「できるだけ試験本番以降も忘れない記憶」を作っていきます。
私の場合、以下のような復習サイクルをおきました。
・翌日 →前日やった部分のテキストをさっと見返す
・週末 →1週間分のテキストをさっと見返す
・1ヶ月前→問題集をもう1週する
・直前 →問題集の間違い + まとめ動画を2倍速で見返す
正直、翌日の復習をサボるときも多かったのですが、週末でカバーできるような形にして、無理ない復習プランにしていました。
試験直前の「ゴールデンタイム」
そして極めつけは「直前の追い込み」です。
正直、宅建の中には「こんなの業務で使わないよな・・・」といったものでも、試験のために丸暗記しないといけないものもあります。
そういったものは、究極的には本番のときだけ覚えていればいいので、事前の学習ではあとまわしにしておき、直前に覚えることにしました。
試験前日〜当日の時間は、ここで覚えたことは試験で思い出せる可能性が高い、まさに「ゴールデンタイム」です。
個人的なオススメは「前日のアパホテル合宿」です。
事前にパートナーとの調整は必要ですが、コロナ禍ということもあり、オフィスがある東日本橋エリアは、約3,500円/泊で泊まることができ、最高の集中環境を手に入れることができました。
まとめ
・動画をフル活用する
・時間が「ない」中で、削り出す
・家族を巻き込む
・退路を断つ
・プロジェクトマネジメント力を発揮する
・自分の記憶力を疑う
・タイミングを意識して、復習する
・試験直前はアパホテルで合宿!
いかがでしたでしょうか?
仕事や育児で時間がない方、記憶力に自信がない方でも、テクニックを駆使すると、試験に勝ちやすくなると思います。よかったら参考にしてみてください!
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