星の砂
あんなにも風が冷たく、何をしてても
凍えるくらい寒く冷えきっていた時間は、いったい何だったのだろう。
夢、でもみていたのかな。
ほんの数日で、空の色はかわるのかと
まちがいなく、それまで感じていた、暗くて長いトンネルを
歩いても走ってもなにも見えなくて
手探りでさまよっていたはずなのに、
それは突然現れた。
自分でみつけた出口なんかじゃなく、
気づいたらもうそこからぬけでていた
一年に一度の約束は海だった
この時ばかりは甘えていい瞬間
でも、わたしは知っている。
いつもそうやってかき集めてはすくい上げた星の砂をみせたがって、
いいことあったって知らせたいだけなのに、
上に差し出した指のあいまからするするとこぼれ落ちてしまっていたことを
だから今度ばかりは
誰にも
何処にも教えずに
そのぬくもりを
胸にしまうことにした
そうして
そっと
悦びを隠した
まだ
もう少しかかるかもしれないけど、
もう
すぐ そこ