私の写真が羽田空港に飾られた、嘘みたいで本当の話
私は写真を撮る事が好きだ。カメラを構えるのはもちろんだけれど、その後のレタッチまで含めて写真が楽しくてたまらない。
ずっと写真を撮り続けていたら、もっと多くの人に私の作品を見られたいっていう欲も出てきたし、あわよくばそれでお金をいただけるようになれたら、とも思ってきた。
最近、私にとっての写真の位置も変わってきて挑戦の意味も込めていくつかのフォトコンテストに応募するようにもなった。
有難いことに、今年に入ってから私の在住している大田区のフォトコンテストで既に二回ほど入賞することもできた。
こうなると自信もつくわけで『もっと挑戦してみよう!』という気持ちがむくむく湧き上がってくる。
なにか他にも応募できそうなコンテストはないか、とフォトコンのまとめサイトを巡る日々。そんな中、こんなフォトコンテストを見つけた。
https://haneda-innovation-city.com/news/2022/01/26/1502/
大好きな羽田空港。自転車で行ける距離に位置しているので私のお散歩コースでもあり、よく恋人と共に遊びに行く我らの定番デートスポットである。
もちろん、羽田イノベーションシティにもよく足を運んでいたし、カメラ片手に散歩することも多かった。
そこが主催するフォトコンテストに参加しないという選択肢は存在などしない!
しかし、私の撮影する写真は日常の切り取り写真ばかり。振り返ってカメラロールを見てみても、どれも自信をもって『作品』として提出できるような写真は存在しなかった。
空虚感を感じながらも、どうせ選ばれるわけもないんだし!だったら私の好きな写真を出せばいいや!と自棄になりながらそこで撮った私の胸がときめいた作品を提出することにした。
◇
それから暫く経ち、フォトコンテストのことなどすっかり頭の外に出されたある日、インスタグラムのDMに羽田イノベーションシティの事務局から一通のメッセージが届いた。
は?え?どういうこと?私の写真が?なぜ?
頭の中がハテナでいっぱいだ。
改めて提出した写真を見てみても、見れば見るほどなぜこの写真が選ばれたのか疑問が湧いてくるだけだった。
しかもよく読んでみると、イベントにおける受賞作品展示会に飾られるとか書いてある。
頭の中のハテナがまた増えた。
そんなに応募者がいなかったのかな?と思いよくよく調べてみると450以上の応募があったと知る。
その上位16の中に選ばれた、、、
嬉しさと興奮で手が震えだす。職場の階段の踊り場で同僚にバレないよう笑みを噛み殺しながら、心の中で小躍りをした。
帰ってすぐに恋人にもこの報告をした。
幸いイベントの日は公休だったため、二人で見に行こうと言ってくれた。
そしてイベント当日、いつものように二人で自転車を飛ばしながら羽田空港へと向かったのだった。
イベントはかなり多くの人で賑わっていた。コロナ渦の閑散としたオープン当初からよくこの場所に来て、タリーズのチャイ片手に(そこはコーヒーじゃないんかい)静かに飛行機を眺めるのが好きだった私は、その光景になんだか嬉しさもあり、寂しさもあった。
そんなことを考えながら人混みを進むと、熊本の物産展のブースに大好きなくまモンが遊びにきているのを発見!!!
足早に進み、子供に紛れながら必死にくまモンに手を振る私を恋人は半ばあきれ顔で見守っていた。
まあるい赤いほっぺにコミカルでパワフルなくまモン。
夜な夜なYouTubeでくまモンの動画を漁るのが心の栄養補給になっている。
あぁ、今日も元気をありがとう くまモン。明日も仕事頑張るね。
さて、さっそく今日の本題へ。
展示がされているのは、ゾーンJ。地図で場所を確認しながら目的の場所へと進む。
ドキドキ。ワクワク。いったいどんな風に飾られているのだろう。
見たいような見たくないような、不思議な感覚。
何かで大きな賞を受けるなんて、中学校の作文コンクール以来だよ。あの時は適当な話を盛って書いた何の思い入れもない作文。今回のものは私の感性の本物だ。
『あったよ。』
私より先に恋人が見付けた。
確かにそこにあった。私の撮った写真が。作品が。
周りに並ぶのは温かくて優しい惹きつけられる写真ばかり。こんな素晴らしい作品の中に、私の作品が一緒に飾られていた。
ジーンと胸が熱くなる。
そこには、審査員からのコメントも一緒に掲載されていた。
自分の知らないところで他人に褒められるのはなんて嬉しいんだろう。
これまで、ずっと自分のことに自信が持てずに生きてきた。
外観も中身も仕事ぶりも根性も、そしてもちろん感性も。
SNSも普及し、世の中には名前のつかない星の数ほどの素敵な写真が溢れている。それに紛れて掻き消される私の写真。
好きだから撮っているはずなのに、誰かに見てもらいたい欲が先行してシャッターを切るのがイヤになる時期もあった。
どうすれば人に見てもらえる?どうすれば人の心を動かせる?
そんなことを考えては自暴自棄に陥りカメラを放り投げてしまいたくなる日もあったし、撮る意味を見失ったりもした。
でも、こうして私の知らない誰かが私の感性を褒めてくれてる。
やっと見付けてもらえた。やっと受け入れてもらえた。
絡まった糸が解けるかのようなふわりとした柔らかい感情に包まれて、心がジワリと熱を持った。
◇
今後一生、こんな出来事は起きないかもしれない。私の写真なんて何の価値も持たず多くの中の一枚として忘れ去られるのが筋なのだろう。
でも、これから先も写真を続けていく中で、誰かに見られたいという欲は増していくはずだ。
現に今も、写真で誰かを喜ばせたくてフォトスタジオで働き出した。
でも、大衆に受け入れられるだけが全てじゃない。私は私の感性を信じて撮り続けていこう。
この日、そう自分に誓ったことを決して忘れないように。
私は私で良いじゃないか。私が私の写真を撮れなくなったら、それこそシャッターを切る意味なんてない。
これからも自分が大好きだと思える写真を残せるよう、私はシャッターを切り続けたいと思う。
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