#7つの宝石
■登場人物
〇〇 平凡な大学生。
飛鳥 少し暗めの少女
未央奈 少し不思議な少女。
みなみ 少しワガママな少女。
奈々未 少しサバサバした女性で飛鳥の姉。
美彩 少しセクシーなお姉さん。
■あらすじ
線路で自殺を図る少女を救うことから始まった〇〇と少女の関係。彼女が抱えた闇を救うため、〇〇はその少女や友人と奔走するが…そこには衝撃の事実が?!
少女の記憶と7つの宝石を辿るミステリアスラブストーリー!
■免責
本作に登場する宝石の情報などは、こちらのサイトより引用しております。諸説あるようで若干の相違があるかもしれませんが、予めご了承ください。
http://www.houseki-mall.com/stonewords.html
その日は冷たい雨が降っていた。
僕はいつも通り、つまらない大学のクソみたいな講義を聞いて帰ってきていた。
季節は秋。日が落ちるのも早くなってきた。もう夜か…
カンカンカンカン…
帰るためには線路を通る必要がある。
東急世田谷線だ。世田谷区を横切る路面電車。今時珍しい。家は松陰神社前のすぐ近くだが、三軒茶屋から歩いて帰るのが習慣だ。
それまでは変わり気のない日常だった。
〇 ん…?
〇〇が踏切の前で立ち止まり、前を見ると、反対側には女性の姿が。どうやら電車が来るか来ないか見計らっているようだ。
〇 いやいや…まさかな…
電車が左の方からライトを照らし音を立ててやってきた。
と、その時!
ep02
ダッ
と女性が線路に出てきて立ち尽くす。その華奢な体のせいか、電車はまだ気付いてない。どんどん近づいて来る。
〇〇は焦った。
〇 え、うそだろ…?
そして電車が大きく警報音を鳴らした。
パァーーーーーーーンッ
女性は微動だにしない。
〇 やめろぉーーーーー!!!
〇〇は気が付いたら大きな声で叫び、走っていた。
そしてその女性を抱き抱え…
ドサッ
〇 いてて…
? …
〇 だ、大丈夫ですか?!
? …
〇 はっ…頭から血が…!誰かっ誰かぁーー!!
そこは人通りも少ない踏切。
誰もいないかもしれないと思ったが、駅員が様子を見に来ていた。
駅 大丈夫ですかー?
〇 あっ駅員さん!すぐに救急車を呼んで下さい!!!
駅 わっわかりました!!
駅員に連絡をお願いしている時、〇〇は女性の体勢を変え、仰向けに寝かせるようにした。
その時、真っ赤なルビーの指輪が目に入った。
〇 綺麗だな…
この時はそう思っていたものの、すぐに駅員が戻って来て我に帰る〇〇。
モノの五分で救急車が到着し、〇〇と女性は病院へ向かった。
どうやら、〇〇が抱え込んで倒れた時に、運悪く頭をぶつけたようだ。幸い、致命傷に至るようなものでもなかった。しかし、その女性は身元が証明出来るようなものも持っていなかった。
医師からの質問や警察からの質問など、一通り〇〇は対応するも、言えることは一つだけ。
〇 いえ、全く顔見知りでもなく、たまたま僕が通りかかった時に電車の前に飛び出していたので…気が付いたら助けてました。
それから数時間後、女性は目を覚ました。
ーーーーパチ…
〇 わかりますか…?
女性は驚いたような顔で〇〇を見ていた。
とりあえず〇〇は医師を呼んだ。
医 わかりますか?
? …はい。
医 お名前を教えていただけますか?
? な…なまえ…?
医 ご自分のお名前わかりませんか?
? 名前…私、なんていう名前なんだろう…
医 …少し質問を変えますね。年齢とお住まいの住所を教えていただけますか?
? 年齢、住所…
〇 (おいおい嘘だろ…?)
〇〇は耳を疑った。
医 一時的に頭を打った衝撃で少し意識が朦朧とされていらっしゃるようですね。失礼いたしました。また明日お伺いします。
? …?
女性は〇〇を見つめた。
〇 あ、僕もこれで帰りますね!失礼しました〜
女 名前…年齢…住所… 私は、誰…?
それぞれが解散しようとしたその時。
泣きながら部屋に駆け付ける女性の姿が。
ガラッ
? 飛鳥!大丈夫?!
飛鳥と思われる女性 飛鳥…?
? みなみ心配したんだよぅ…
飛 …?
み …どうしちゃったの…?
ガラッ
警察が来て、事情を説明してくれた。
警 えー来てくださった女性はみなみさんです。患者である飛鳥さんのご友人とのこと。
今日会う約束をしていたのに全く来ず連絡取れずで心配になって家に行ってみたら、鍵は開いてるわ携帯あるわお財布あるわで必死に探していたそうだ。
たまたま今回の件に遭遇した駅員と会い、警察に連絡がきた。身分を証明できるものなどすべて持ってきてくれたので、その方は飛鳥さんと思われる。
詳しくはこれから聞き込みを行いたいが…
み そうなんです、飛鳥が連絡もなしに約束破るなんて今までなかったので、なんかあったのかなって…
みなみは泣きながら話した。
一方、飛鳥という女性は一向に話そうとしない。不審に思ったみなみは飛鳥に問いかけた。
み 飛鳥…?大丈夫…?
飛 ……
み 飛鳥…?
飛 …すみません…どなたでしょうか…?そして、飛鳥って、私…?
み え…?
医 やはり…断定するにはまだ早いですが、飛鳥さんは一時的に記憶に障害が出ている可能性が高いです。
詳しくは明日また聞き込みをする予定です。
警 なるほど…警察としても落ち着いた状態で聞き込みをしたいと思いますので、また明日にしましょう。
医 〇〇さんかみなみさん。どちらか本日飛鳥さんに付き添っていただくことはできないでしょうか…?
み …わかりました。1人では少し不安ですが…
みなみがこちらをチラリと見る。
〇 …わかりました。僕も付き添いましょう。
医 ありがとうございます。寝台を二つ手配しますので、宜しくお願い致します。何かあればナースコールでご連絡ください。
み・〇 はい。わかりました。
気が付くと、飛鳥はもう寝ていた。寝ると言うより、気を失うように目を閉じたと言った方が正しいだろう。
〇 …
み …
みなみが先に口火を切った。
み 初めまして…どなたでしょうか?飛鳥の彼氏さん?
〇 いえ、実は…
〇〇はみなみに経緯や自己紹介を話した。
み …そうだったんだ…全く知らない方を巻き込んでしまって申し訳ないなぁ…
〇 いや、このままだと俺もスッキリしないから大丈夫です。
み そういえば同い年ですよね。
〇 そうですね。飛鳥さんは一つ下ですよね?
み そうですね…今日少しまだ眠れなさそうなので、お話しませんか?あと、敬語、やめてもいいかなぁ?
〇 …そうだね。そうしよう。
み やった!ありがとう…
〇 そうだ、飲み物を買ってくるから、何かいります…いや、いる?
み うーん、じゃあミルクティーで…
〇 わかった。
み ありがとう!
〇〇は飲み物を買ってきて、みなみとまた話し始めた。勿論小声で、そして飛鳥には充分気を配りながら。
み 飛鳥、最近何かあったみたいで、元気なかったんだよね…心配だったから今日も連れ出そうとしてたんだけど…こんなことになるなんて…
みなみは泣き始めた。
〇 そうだったんだ…今は出来ることをしてあげよう。
み うん…
翌朝、警察と医師が揃い、飛鳥の状態が問題ないことを確認した上で再度聞き込みが始まった。
医 お名前と年齢とご住所、今日なら言えそうですか…?
飛 …
首を横に振った。
医 昨日何か食べましたか?
飛 …
首を再度横に振った。
医 ご出身はどちらでしょうか?
飛 …
首を再度横に振った。
飛 …怖い…何もわからない…
医 …かなり強烈な記憶喪失になってしまっている可能性が高いです。おそらく、ご自身のこと、ご友人のこと、昔のことから直近のことまで、全て忘れてしまっている可能性が高いですね…ご家族は呼んでいただけましたか?
警 明日にはお姉さんが北海道からこちらへいらっしゃる予定です。
医 …わかりました。飛鳥さんには強い刺激を与えないよう、皆様ご配慮お願い致します。
医師や警察が出て行った後、みなみと〇〇は病室に残り、飛鳥に声をかけた。
み 飛鳥、私ね、みなみって言うの!飛鳥の…お友だち。
飛 …みなみ。
み で、こっちが〇〇。
飛 …〇〇。
み そう!あ、そうだ、昨日飛鳥が身に付けてたもの、ここに置いてあるからね。
そこには、きていた洋服と、とても綺麗なルビーの指輪があった。
そして、飛鳥もそれを見た。
飛 …あっ
み えっ?
飛 頭が痛い…!ルビーの指輪…頭が…
パタッ
頭を抱えながら飛鳥はベッドの上で倒れた。
〇 !!先生!先生!!
医師はすぐ駆け付けるも、飛鳥に意識はなかった。
ルビーの指輪。
これが果たしてどういう意味で、飛鳥には何があったのか?
何もわからないままに、その日は更けていった…
翌日、飛鳥の姉が到着した。
? どうも、飛鳥の姉の奈々未です。
〇 〇〇です。
み みなみです。
奈 飛鳥…!大丈夫…?
飛 ………あ、お姉、、ちゃん、、?
一同 !!!
奈 わ、私のことは、わかるのね…?
飛 う…ん。奈々未…?なんとなく…憶えてる…
一同は胸を撫で下ろした。と、同時に飛鳥は泣き始めた。
飛 お姉ちゃん…怖いよぅ…何が何だかわからなくて…
奈々未は飛鳥を静かに抱き締めた。
飛鳥の涙も落ち着いた頃、奈々未は飛鳥の部屋に向かうため準備をしていた。着替えなどを持って来るためだ。奈々未は、ルビーの指輪を見つける。
奈 飛鳥、こんなのもう捨てなさいよ。あなたを捨てた男からもらったプレゼントなんて。
〇 ・み え…?
奈 え?どしたの?
み 昨日、飛鳥はそれを見て…
その時だった。
飛 頭が痛い…お姉ちゃん…頭が痛いよ…
再度医師を呼び、状態を確認した。
医 お姉さんからのお話と合わせると、その方との何か強烈な想い出を封印するために、記憶喪失になったと思われます。それ程までに想いが強かったため、自分を守るために脳が忘れさせた…
いえ、厳密には頭の片隅に封印したのでしょう。彼女のことを思うと、あまりその話題に触れない方が賢明です。
奈・み・〇 …わかりました。
〇 奈々未さん、何かご存知でしょうか?その件について…
奈 一週間くらい前にね、突然飛鳥から電話があったの。彼氏に振られた、裏切られたって…でもそれ以上はね、元々東京に私が来る予定だったから…聞いてなくて。そしたらこんなことに…あの時聞いておけば良かったな…
み そう、それくらいからなの。飛鳥がおかしいなって思ったのは。話しかけてもぼーっとしてるし、連絡しても連絡ないし…明らかに元気なかった…
奈 そうだったんだ…ごめんね、みなみちゃん…
み いえいえ、私こそ近くにいたのに何も出来なくてすみません…
奈 2人はもう帰っていいよ。また落ち着いたら顔出してね。経過観察も含めて、あと一週間は入院しないといけないみたいだから。私がずっとそばにいるから。
〇・み …ありがとうございます…
〇 また明日来ますね。
み 私も!!じゃあ…
〇〇とみなみは一緒に帰っていたが、お互い何かを話せるほどの気力もなく、静かに家路についた。
分かれる間際。
〇 みなみ。
み え?
〇 飛鳥に…笑顔になって欲しいな。
み …そうだね…
みなみは泣き出した。
〇 明日もまた来よう。そして笑顔になってもらえるようにたくさんおしゃべりしよう。今、僕らに出来るのはそれくらいだと思った。
み そうだね…そうしよう!じゃあ、また明日!
〇 うん、おやすみなさい。
一方、病室では…
飛 お姉ちゃん、なんで私今こんなところにいるんだろう…?
奈 私が聞きたいくらいよ。笑
飛 そうだよね…でも最近、なんかずっと死にたいって思ってたんだよね…
奈 死ぬなんて絶対だめ。何言ってんの?
飛 ごめん…でも、それくらいのことがあった気がするんだよ…けど、思い出せない…
奈 無理しなくていいから。お姉ちゃん一緒にいるから。大丈夫よ。
飛 うん…ありがとう…
また翌日、〇〇とみなみは病室を訪れていた。
ガラッ
奈 お、〇〇とみなみ!いらっしゃ〜い。
飛鳥もぺこり、と会釈した。
〇 飛鳥、今日はチョコ買って来たけど食うか〜?
飛 …うん、食べる!
み あ、私もパン買って来たんだよ〜?食べて〜?
飛鳥 …うん!
〇〇とみなみと飛鳥は少しずつ話す数が増えて来た。
み 今日ね、飛鳥と一緒に通ってる大学に行って来たんだけど、みんな飛鳥のこと心配してたよ〜?特に、未央奈とか、美彩先輩とか!
飛 …
飛鳥は、ふ〜んといった表情で、みなみの話に頷いている。
〇 本当に最近知ったんだけどさ、みなみと飛鳥と同じ大学だったんだよね!笑
飛 …へ〜そうなんだ。
〇 うんうん!治ったらまた一緒に行こうな!
み あーずるいー!みなみも入れてー!
〇 …やだ!
み なんでよ〜もう、飛鳥どうにかしてよ〜
飛 …ふふっ😏
飛鳥が小さく笑った。
〇・み …笑った!いぇ〜い!
パチッ👏
2人はハイタッチをした。
飛 …?
〇 あ、飛鳥の笑顔を見たいねって、昨日みなみと話してたんだよ。
飛 …そうなんだ。
み 今みなみの発言で笑ったでしょ?だから、みなみの勝ちー!
〇 な、おい、ちょっと待てよ!俺でしょ今のは!なぁ?飛鳥ー!
飛 …ふふふっ☺
また、飛鳥が小さく笑った。
奈 飛鳥、良いお友だち持ってて良かったねぇ?
飛 …友だち…うん😊
少しずつではあるが、3人の距離が縮まりつつあった。
ピロン♪
みなみの携帯が鳴った。未央奈からだ。
未 みなみー!飛鳥の病院って、乃木坂病院だっけ?
み そうだよー!来れそう?
未 うん!今から!もうすぐ!
み わかったー!
み ねぇ、今から未央奈来れるってー!
飛 …?
奈 お友だちの未央奈ちゃんね。飛鳥、良かったね。
飛 …うん。
〇 (みなみ、僕のこと伝えてある?)
み (うん、大丈夫!)
ガラッ
み あ、きた!未央奈〜!😊
未 あ、飛鳥…!大丈夫…?
飛 …うん。大丈夫。ありがとう。
未 良かった…ほんと、何があったのかと…
み ほんと良かったよね…みなみも、飛鳥が無事でいてくれるだけで嬉しかったんだよ?
飛 …うん。
〇 …未央奈、久しぶり。
未 ひ、久しぶり…
飛鳥は僅かながら漂った2人の緊張感に気がついたが、特に問いただすこともしなかった。
そして飛鳥は未央奈の手元に気付く。未央奈が身に纏っていたのは、パールの指輪である。
飛 …綺麗。
未 これね、飛鳥が私にプレゼントしてくれたんだよ?パールの宝石言葉は純潔と品格だって。私にぴったりだって💍
飛 …う…宝石…言葉…?
み …実は、私も昔飛鳥にもらってたんだ…ほら。
みなみはガーネットの指輪を見せた。
み 意味は、確か秘めた情熱と生命力。すっごい綺麗だよね〜
飛 …パール…ガーネット……ルビー…うっ!
飛鳥の頭にある風景がフラッシュバックする。
***
? 飛鳥、誕生日おめでとう。
飛 ??、ありがと〜!
? はい、プレゼント。ルビーの指輪だ。
飛 ルビー?
? うん。愛の炎とも言われる宝石だから、この愛を飛鳥に捧げん…ということで。
飛 宝石言葉ってすごいね…嬉しい…ユ…
***
奈 …すか?!飛鳥?!大丈夫?!
飛 はぁはぁ…うん、大丈夫。私、昔誰かにルビーの宝石をもらったみたい…でも、アレ誰なんだろう…ユ…?そういえば、奈々未も…このネックレス…
奈 これはお母さんの形見よ。サファイア。尊厳、崇高という意味合いなの。飛鳥にあげようとしたら、その宝石言葉に似合うのは奈々未しかいないって言って、私が付けてるのよ?
飛 うん…とても似合ってるよ、奈々未…今日はもう疲れちゃったから、寝ようと思う…
奈 そうだね…また明日来るね。
4人は静かに病室を後にした。
奈々未と分かれ、みなみと未央奈と〇〇は、ご飯を食べに来ていた。
未 …飛鳥、とりあえず無事そうで良かった…😔
〇 あ、そういえば初めましてだね。💦
未 え?何がですか?
〇 あ、今日お会いするのがはじめて…
未 あ、そうでしたねすみません。未央奈と言います。
〇 〇〇です。みなみとはもうタメ語にしてるので、敬語なしの方で慣れさせましょうか、飛鳥の手前。
未 はい。
〇〇に対しては、スッとした顔立ちだったので、〇〇はきちんとした人なのかな?と印象を受けるほどだった。そして、それぞれが持つ宝石の話になった。
〇 2人は、飛鳥からプレゼントしてもらったんだよね?
み うんそうなの〜確かね、誕生日のお祝いで貰って、みなみっぽいって理由でもらった気がするんだよね〜未央奈〜パールってなんて意味だったっけ?忘れちゃった〜
未 え、知らないの?マジウケる🤣
み え、ちょっと未央奈ひどい〜😑
未 あはははは!😆
2人は普段の女の子みたいに、キャッキャ笑い合う姿を見せていた。とても久々な感覚だった。
それくらいきっとみなみも張り詰めていたのだろう。未央奈はそれを察してなのか、わざわざ面白いテンションでいてくれるのかもしれない。
未 テンション爆上げ〜!🤣
…あまりに急過ぎて理解が追いつかないが。
久々にこれだけ笑った、と思うくらい楽しい時間を過ごした3人は、帰路についた。
未央奈だけ少し方向が違い、みなみと帰っていた。するとその帰り道、みなみは言った。
み 徐々にあっすーも記憶戻って来てるみたいで、良かったね。
〇 うん、着々…って感じだね🙂
み ねぇ、〇〇…
〇 ん?
み この一件が少し落ち着いたら…あ〜やっぱ無理!どうしよう〜
〇 どしたどした。この一件が落ち着いたら…?
み ……もう〇〇とは会えなくなっちゃうのかなぁ?
〇 …🤔
み なんか言ってよ!ばか!
〇 みんなと会っていたいって思ってるよ😚
み …みなみとも…?
〇 うん。もちろん。むしろ、あの時みなみがいてくらて本当に助かった。ありがとね😊
み …😳
急に照れて首を横に振るみなみ。
み 〇〇…みなみね…
〇 ん?
み ううん、また今度にする!じゃあね!ばいばい!
〇 ん、気を付けてな。
翌日、3人はまた飛鳥の病室を訪れていた。
それから飛鳥と奈々未を合わせて5人は他愛もない話をした。飛鳥は、記憶はないものの、3人に心を開きつつあった。
時折見せる笑顔に喜びを覚える〇〇。これは、安堵からの感情なのか、はたまた…
ある日、大学の学食で未央奈と〇〇は2人でご飯を食べていた。みなみは遅れている様子。
〇 未央奈、最近休みの日は何してるの?
未 うーん、スプラッタ系の映画観てるかな🤔
〇 え、スプラッタ系…?😅
未 めーっちゃおもしろいよ!人肉ラーメンっていう作品はね…
未央奈はノンストップで話し始めた。
〇 は、はぁ…なるほど…(この子変わってるな…)
〇〇は戸惑いながらも聞くしかなかった。するとそこにみなみがやってきた。
み やっほー!😘
未 あーみなみー!この間一緒に観たあのスプラッタ系の映画、面白かったよねー!!
み えーあーうん、まぁグロかったけどねー。けど、この話を未央奈が言いふらしてるの珍しいね!
未 あ、そういえば確かに…〇〇なら大丈夫かなって思ってたくさん喋っちゃった。ごめんね!😚
未央奈は照れ隠しをするかのように笑顔を作った。
不思議な子だなぁとは思いつつ、その可愛い笑顔や不思議な魅力に惹かれている自分がいた。
み …😑じゃ、ご飯食べたら飛鳥のとこ行こっか!
ご飯を済ませ病院へ向かっていると、未央奈が突然先に行ってて!といなくなる。
みなみと〇〇は到着し、4人で未央奈のスプラッタ系の映画の話をしていた。飛鳥は訝しげにその話を聞いていた。
その時、ガラッと扉が開き、4名がそっちを見ると…?
キャーーーーーーッ😵
ギャーーーーーーッ😱
思い思いの叫び声がこだました。
どうされました?!
看護士たちが慌てて病室に来ると、驚いた顔をして1人の人?を見つめた。
なんと、そこにはゾンビメイクを施した未央奈がいたのだ。
未 くくくっはははははっはっはっ…驚いた??🤣
〇 もしかして…未央奈?
未 そうだよー!ゾンビメイクしてきちゃった。みんなをびっくりさせたくって。どうかな?
み いやどうもこうも…
奈 怖過ぎ…
飛 …ふふふ…あっはっはっはっはっはっは…
奈 え?
飛 いや…ふふふ…おもしろい…
未 やったー!大成功ー!ねぇねぇ飛鳥、見て?すごくない?
飛 いやー近くには来ないでー!けどすごいねぇ…これ…これやってたの?1人で?ふふふその姿想像してるのが1番ウケる…ふふふ😊
飛鳥がとても楽しそうに笑う姿を見て、それだけで何でもいいやと思えるほど、安堵した。
集まっていた看護士たちも、何も言わずに扉を閉め、部屋を後にした。
飛 …あれ?
飛鳥がふと何かに気が付く。
〇〇のブレスレットを指差した。
飛 …綺麗。
〇 ああ、これはターコイズだよ。12月生まれだからね、誕生石ってことでしっかりしたやつを買ったんだ。
飛 …ターコイズ…
〇 飛鳥は宝石が好きなんだね。
飛 …好き…なのかな…宝石を見ると、何か思い出せそうな気がするんだ…そうだ… あの日、私はルビーの指環を付けて、誰かに会いに行ったんだ…けど…会えなくて…?なんだっけ…うぅ頭が…
奈 飛鳥。大丈夫。落ち着いて。
飛 …うん。もう思い出せない。ねぇ、〇〇、私〇〇と話してると何か思い出せそうなの。毎日私に会いに来てくれない?
〇 …わかった。毎日来るよ。
奈 …〇〇くん、ありがとう。
〇 …いえ、飛鳥のためですから…
み・未 …
〇 じゃあ、今日はもう帰ります。帰ろう、みなみ、未央奈。
み …うん、そうだね。飛鳥、未央奈と私、明日と明後日はちょっと来られないけど、またその次に来るね!
飛 …うん、いつもありがとー。
飛鳥は涙を流した。
飛 …あれ、なんで私泣いてるんだろう。けど、わかるの。私は2人がきっと大好きだったの。すごく感謝してるの…
みなみと未央奈も涙を流し始めた。
2人には、その言葉で充分だった。
帰り道…
み 飛鳥に思い出してもらえないかと思ってた…
〇 まぁ厳密にはまだだけどね。
未 うん…けど充分だよ。期待が持てる。ねぇ今日さ、〇〇の家で3人でお泊まりしない?
〇 え、いいけど明日、、?
み 大丈夫、用事は昼からだから!
〇 わかった。じゃあのんびりお酒でも飲みながらご飯にしようか。
未 いぇーい!
み やったー!テンション爆上げだね〜✨
〇 …笑
3人楽しく鍋をつつき合い、しょーもない話で爆笑したり、飛鳥の話を真面目にしたりした。すると、おもむろに未央奈が聞いた。
未 〇〇って彼女いるの?
〇 いたら少なくとも見知らぬ少女のお見舞いに毎日行ったりそのお友だちと自分の家で鍋したりしないんじゃないかな。
未 確かに。じゃあさ、私と付き合うってのはどう?
〇 ぶっ😱
吹いてしまった。
み みみみみ未央奈?!何言ってるのどしたの意味わかってる?!😳
未 え…?そんなおかしいことなんやろか?☺️
〇 …そうだね、そんなライトなテンションで言われたのは初めてだよ。
未 ライトやないで?ほんきほんき!
〇 ほんとかよ…苦笑😔
み 未央奈、よく考えないと。だーめ!それに〇〇は私と付き合うんだから。
〇 うんうん……て、え?😳
み 今、うんって言った?
〇 いやいや言ったけど言ってないけど…え???😳
み もう…〇〇はどっちが好きなの?!😑
〇 いや、ちょっと待っていやいやいや…😳
み・未 ふふふ…あははははは…
パシャ
〇 …え?
未 やっぱりいい顔してくれた〜
み やっぱり辞めようって言ったじゃん未央奈〜
未 大丈夫だよ〇〇何しても許してくれそうだし〜
〇 まさか…😑
未 ごめんね!〇〇のリアクションが見たくなっちゃって悪戯しちゃった💕
〇 は〜勘弁してくれよ〜びっくりした〜
〇〇はソファにもたれかかった。
未 トイレ借りまーす🎵
〇 はいはい…😔
すると、みなみが近寄って来て耳元で囁いた。
み 〇〇、私は本気だよ…?
〇 え…?おいおい…
そう言いかけると、神妙な顔をしたみなみがこっちを見ている。こんな表情は初めてかもしれない。いつもニコニコキャピキャピ楽しそうなみなみ。常に笑顔で人に元気与えてるみなみ。そのみなみが…
ガチャ
未 〇〇、お風呂入ってもいーい?
〇 お、うん!タオルはそこに出てるやつ使ってね。
未 はーい!ありがとー!お風呂借りまーす!
バタン
〇〇とみなみの距離が少しずつ近くなる。
そして…2人はキスをした。
💋
み 〇〇も同じ気持ちでいてくれてるってことだよね…よかった。嬉しいなぁ。
〇 …
み 好きだよ、〇〇😊
〇 うん…
その後、3人は別々の寝床で眠りにつき、2人は早朝に帰っていった。
そして〇〇は、病院へと向かった。
ガラッ
扉を開けると綺麗な女性とすれ違った。日傘の似合いそうな格好、指には綺麗な、、ぶどうのような色合いの宝石の指輪。飛鳥たちとは違い、セクシーで大人っぽい…
その女性は軽く微笑みかけると部屋を出て行った。
しかし飛鳥はまだ寝ていた。
〇 何しに来たんだろう…?🤔
〇〇がベッドの周りを片付けていると、飛鳥が起きた。
飛 んー。。あ、〇〇。おはよう。
〇 あーごめん、起こしちゃったか。おはよう。
飛 ううん、、太陽が気持ちいいねぇ。😊
〇 そうだね。あ、飛鳥、さっきまでなんか綺麗な女性が来てたみたいだけど、お話したの?
飛 ?いや、今起きたばっかだからわかんない…
〇 そうか、なんか誰かお見舞い来てたから、次来た時ちゃんと謝っとくんだぞ。
飛 うん…ありがと。なんか、〇〇ってお兄ちゃんみたいだね。😏
〇 …え?
飛 〇〇と話してると、何か思い出せそうなんじゃなくて、心が落ち着くんだ。だからそばにいてほしいって思っちゃったんだろうな。ごめんね😔
〇 いや!いやいや!俺も飛鳥のそばにいたいんだ😅なんて言うんだろう、よくわかんないんだけど、何でもしてあげたくて…
飛 …ふふふ、ありがとう😊
ドア越しに会話を聞いてる奈々未
奈 (飛鳥…よかったね…😢
飛 調べたんだけど、ターコイズって成功とか、繁栄とかって意味なんだね。
〇 そうなんだ。知らなかった。
飛 やっぱり私、昔に調べたことがあるんだよ。家にね、宝石辞典があったの。それで、持って来てもらったの。私が印をつけていた宝石は…
ガーネット、サファイア、パール、、ルビー。あとね、宝石占いで、ターコイズを持つ男性が相性が良いとも書いてあったの!あと、チャロアイトをもつ女性には気をつけなさいって…
〇 へえ、じゃあ僕とは相性がいいんだね?飛鳥ちゃん😏
飛 …そうみたい。
飛 ねぇ、体調がいいから外を歩きたいの。連れてってくれない?
〇 もう歩けるの?
飛 うん!
〇 じゃあちょっと待ってて、外出許可取ってくるよ。
ガラッ
奈 もう取って来たよ〜😤
飛 えっお姉ちゃん!
〇 奈々未さん!
奈 今日私この後出なきゃいけないから、病室少し片付けたら帰っちゃうね。〇〇、今日は飛鳥のことよろしくね😘
〇 は、はい…😳
2時間限定で外出が許された。
〇 飛鳥、どこ行きたい?
飛 うーん。人が多くなくて、ゆっくり出来て、けど楽しそうなとこ。
〇 …難しいな…あ、わかった!
飛 じゃあそこまでレッツゴー!😊
その場所は、駒沢公園だ。
病室からなんと歩いて10分の距離にあり、絶好のロケーションとなる。
公園に来て、2人はバスケコートの見える階段に座ることにした。飛鳥は車椅子を降り、その段に座った。
飛 …外、気持ちいいなぁ😊
〇 天気もいいし…寒くはないか?
飛 うーん、ちょっと…
ファサッ
〇〇は持っていた上着を飛鳥にかけた。
飛 …ありがと。あの人も、上着をかけてくれたような気がするんだよね…😔
〇 …そうなんだ。
飛 なんか、今思うと〇〇の柔らかい空気感は、その人に似ていたのかも。だからかな、落ち着くの。うーん…ターコイズ持ってるからかな…
〇 …そうなんだ。一緒にいて落ち着くなら、どれだけでも飛鳥と一緒にいようと思う🙂
飛 …それってどういう意味?笑
〇 …え?
飛 今すげーこと言ってる気がするけど大丈夫?
〇 …あわあわあわ…😳
飛 男ならシャキッとしやがれ!😠
〇 …はい。笑 飛鳥、飛鳥が俺を必要としてくれればいつでも傍にいるよ😊
飛 ……うん😢
飛鳥は照れながら泣きながら返事をした。
その後2人は実のない会話を延々とした挙句、芝の上で眠ってしまっていた。
〇 ハッ!!飛鳥!飛鳥!
飛 …んー
突然飛鳥の脳裏にフラッシュバックした。
? …すか!飛鳥!起きて…!
飛 ん…?
? …が、…が、死んだの…!
飛 え…?
あの綺麗な女性は誰?そして死んだって、誰が?私?
〇 飛鳥!!
飛 ああ、ごめん…寝ちゃったね…
〇 外出時間守ってないから怒られるかも…
飛 うーん、私の代わりに怒られといてね😋
〇 まぁそうなんだけど…
そして病室へ戻ると…
朝すれ違った女性が病室にいた。
〇 …朝もいらっしゃいましたよね。どなたでしょうか…?
? ねぇ飛鳥…やっぱりその指輪、私に譲ってくださらない…?
飛鳥が指につけている、ルビーの指輪を指した。
〇 …飛鳥は今…
事情を説明した。記憶がないこと、この指輪を頼みに思い出そうとしていること…
すると、女性はこう言った。
? 私の名前は衛藤美彩。美彩って呼んでくれてたわ、飛鳥は。〇〇くん、ちょっとこの後時間いいかしら?
〇 …はい。面会時間も終わりですし…片付けだけしたらすぐ出られます。
飛 …この後は大丈夫だよ。(ねぇ、それより〇〇、この人私の夢に出て来た…嫌な予感がするの…気を付けてね…それに…付けてる指輪、チャロアイトなの…😔)
〇 …(わかった。ありがとう。飛鳥、気にせずゆっくり休んでね🤗)
飛 …うん😞
〇 じゃあ…行きましょうか。
美 ええ。じゃあ飛鳥、またね。
飛 …ズキッ ああ〇〇が何処か遠くへ行ってしまいそう…😣
〇〇と美彩は〇〇の家へ向かった。
〇〇の家にて…
美 誰にも聞かれたくない会話だから、突然お邪魔しちゃって申し訳ないわね。
〇 いえいえ…
美 〇〇くんと飛鳥って、どういう関係なのかしら…?まさか、恋人…?
〇 いえ、実は…
ここまでの経緯をすべて話した。
美 …ふぅん…あの子に関わるとろくな事ないわよ〜?
〇 え、どういうことですか…?🤔
美 私と飛鳥の関係をお話しましょうか。簡単に言うとね…私と飛鳥は恋敵でした。飛鳥は、私の彼を奪ったのよ。最初は、あのルビーの指環は私が貰うはずだった…なのに…なのに…あの人は飛鳥を選んだの。
飛 それなのに、なぜ飛鳥は自殺しようと…?
美 飛鳥と付き合ってから半年、2人は仲良さそうにやってたわ。けど突然、あの人は別れを告げたのよ、飛鳥に。
〇 え…?なんで…?
美 もう、その人は…亡くなったわ。飛鳥や私にずっと内緒にしてたのよ…気付けなかった飛鳥も許せないし、隠してたあの人も…何より、何もしてあげられなかった自分が情けない…
美彩は大粒の涙を零した。
〇 なぜ、お亡くなりに…?
美 癌よ。もう、発見できた時にはステージ5で、いつ亡くなってもおかしくなかったみたい。
それが、飛鳥と別れた日…亡くなる7日前。
飛鳥が自殺を図ったのは6日前だから、そういうことね。私は今でもあの人のことを忘れられない…飛鳥にあの形見の指輪を持ってる資格なんてないの。
だから、私が欲しいの。ねぇ、〇〇、飛鳥からあの指輪を取ってきてくれない?そのためだったら、私を好きにしていいから…
〇 …僕からは何も言えません…
美彩は強引に〇〇の唇を奪い、押し倒した。
美 ねぇ、お願いだから…
美彩は形容しがたい妖艶さを持つ一方で、愛する人を失った悲しみで包まれていた。
〇〇は、美彩との行為中、その悲しさに溢れた心に直接触れているようで、泣いた。そして、美彩も泣いていた。
翌日、病室へ行くと奈々未と飛鳥が姉妹仲睦まじくお喋りをしていた。
奈 あ、飛鳥〇〇来てくれたね。
飛 もう〇〇おっそーいーよー!
〇 ごめんごめん🙏今日はみかん買ってきた🍊
奈・飛 いいねー!
飛 …うん、おいしいっ😙
他愛もない話をしていると…
奈 私これから面接だから、ちょっと行ってくるね!
バタバタ・・
〇 面接?
飛 お姉ちゃん、暫くこっちに住んでくれるんだって。飛鳥1人じゃ心配だからって。
家はね、今私の家にいるみたいなの。退院したら広いところに引っ越そうって言ってるけど。
〇 そうなのか…でもそれならちょっと安心だね。いいお姉さん持って良かったね。
飛 奈々未は俺の嫁だからね!!😊 …あ、そういえば、昨日…?
〇 ん、特に何もなかったよ。美彩さんがどういう人か教えてくれただけ。飛鳥たちの大学の先輩なんだってね。
飛 あ、そうだったんだ…
〇 あ、飛鳥…このルビーの指環、暫く俺が預かってもいいかなぁ?
飛 え…?…うん、〇〇だったらいいよ😊
〇 …飛鳥。
飛 どしたの急に真剣な顔して。
飛鳥はニヤニヤしだした。
〇 真面目に聞いて欲しい。これから先例え何があっても、俺は飛鳥のことが好きだし飛鳥のことを守り抜く。僕を信じていて欲しい。
飛 ……わかった。
珍しく何かを悟ったのか、真剣に聞いてくれた飛鳥だった。
〇 じゃあ、今日は帰るから…
ガラッ
飛 あれ?さっき勢いだったけど、〇〇、私のこと好きって言った?…あれ?😳😳😳💕
急に猛烈な照れが来た飛鳥だった。
ピロン♪
奈々未の携帯が鳴った。
***
〇 奈々未さん、今から少し会えませんか?
奈 …わかった。家近くの喫茶店でどう?
〇 わかりました!すぐつきます!
***
到着した2人…
〇 すみません、急にお呼び立てしてしまい…
奈 ううん、全然。どしたの?急に。
〇 実は、飛鳥の記憶に迫る事実をとある女性から聞いてしまったのです…それを全てお話ししておこうと…
奈 え?!うん…
〇〇は美彩から聞いた話を全て奈々未に話した。
奈 なるほどね…
〇 あと一つ…奈々未さんには予め伝えておきたいのですが、今日、飛鳥に告白しました。
奈 お!😍
〇 この後、僕はこうしようと思います。…飛鳥に…この指環…記憶…予想…美彩…関係…ずっと……。どう思いますか?
奈 …こりゃ、私が東京来るまでもなかったかな?
〇 いえ、奈々未さんがいなければ、この作戦は成立しません。ご協力、お願いします😔
奈 わかった。〇〇…本当にありがとう。あなたのおかげで、飛鳥楽しそうなの😊
〇 …あの子の笑顔を守りたいだけなんです。
奈 …ありがとう😢
奈々未は涙を流しながら深々とお礼をした。
ピロン♪
未央奈とみなみの携帯が鳴った。
***
〇 今日20時に家集合セヨ!!
み なにかな?はーい!
未 なんか司令官っぽい笑 わかったよー!
20時になり2人は〇〇の部屋にきた。
〇 いらっしゃーい!
み・未 お邪魔しまーす
未 わ!美味しそうなお鍋〜😘
3人 いっただっきまーす!
まずはゆっくり鍋を食べて他愛のない話をした。
み それよりどしたの?〇〇、急に集合だなんて。
〇 2人が留守にしてたこの2日で色々あったんだよ。まず…美彩先輩という人に出会った。 ……
そして〇〇は起こった出来事や考えを全て話した。
〇 確か、未央奈は美彩さんと仲良いよな?
未 うん、仲良しやお〜
〇 よし、じゃあ未央奈には、…と…と…をお願いしようと思うんだけど…イケるかな?
未 うん、任せておいて〜!じゃあ私、準備のために今日は早く帰らないと!
〇 …すまない。ありがとう!
バタバタ・・
未央奈が帰っていった。
み …
〇 みなみ…
み …私、〇〇のこと、好きだって言ったのに…キスまでして…
〇 みなみ、本当にごめん。気付いたんだ。自分にとって1番大切なものが何かって。
み …わかった。じゃあ、今度一回だけ一緒に遊園地行こ?記念に!一回だけでいいから!
〇 …わかった。
み やった!じゃあみなみも帰って準備するね!ごちそうさま!
来たるべき日は明日、飛鳥の退院日だ。
それぞれの想いを胸に、ついにその当日を迎える。
翌朝
奈々未は朝から病室にいて、退院の準備をしていた。
最後の受付なども済ませ、無事退院…
というところで、救急車がやってきた。
ピーポーピーポー…
隊員A 大丈夫ですか?!
隊員B これは癌の疑いが強いですね…
隊員C 余命は持ってあと何日か…
ガチャンガチャン…ゴーーーッ
患者は運ばれていった。
飛鳥は目の前で救急隊の会話を聞き、命の淵にいる人を見て、呆気に取られていた。
飛 癌…?余命…?亡くなる…?頭が痛い…
そこに1人の女性が現れた。
? 飛鳥!あんたよくもまだ生きてたわね!ふざけんじゃないわよ!!
奈 ちょっとあんた何者?!いきなり押しかけてなんてこと言うの!!
美 私は美彩よ!この女が私から奪って、そして死なせた元彼の元カノね!
飛 美彩…?死なせた…?うぅ…うぅ…何も思い出せない…
美 違うわ!!何も思い出せないんじゃない!!あなたはあの人の死から逃げてるだけなの!!何悲劇のヒロインぶってんのよ!!思い出したくないだけでしょう!!!
飛 そんな…違…ちがう…私は…ユウキ…さん…
一同 !!!
飛 なんで…なんで死んじゃったの…?ユウキさん…
飛鳥が大粒の涙を流し始めた。
美 ようやく思い出したの?そのルビーの指環をくれた男の人を。私から奪っていった男の人を。
パァンッ
奈々未が美彩を叩いた。
飛 …うっうっうっ…
飛鳥は走ってどこかへ向かった。突然走り出した。
走った先は、あの……踏切だった。
飛 そうだ、ユウキさん、ユウキさん、あの線路の踏切の向こうに、ユウキさんの家があるんだ…
***
パァーーーーーーーンッ
? やめろぉーーーー!!!
***
ああ、あの日もそうだ。ユウキさんの家に向かおうとして、途中で死んじゃえって思ったんだ。もう、ユウキさんがいないこの世なんて…
ガシッ
〇 本当にそう思うのか?飛鳥。今でも、そう思うか?
飛 ……
涙を流し続ける飛鳥と、腕を掴む〇〇。
飛 …でも、私にとっては最愛の人だったの、このルビーの指環をくれた、あれ…?ない…
〇 その指輪なら、美彩さんにあげたよ。
飛 な、なんでそんな勝手なこと…
〇 …飛鳥。この記憶をなくしていた一週間、どんなことを想っていた?
飛 …何もわからない、こわい… けど、私に優しくしてくれる人たちがいた…先生、警察の人、お姉ちゃん、みなみ、未央奈、〇〇…
〇 俺はな。見付けたんだよ。一生かけて守らなきゃいけないって人を。
飛 え…?
〇 その、ユウキさんって人、今の飛鳥の姿を見て、喜ぶかな?
飛鳥 え…
フラッシュバックする飛鳥の脳内
***
回想シーン
ユウキ なぁ飛鳥。
飛鳥 なぁに?
ユ 俺は飛鳥の笑顔が大好きだから、もし俺が居なくなったとしても、飛鳥の笑顔が好きな人とまた一緒になれよ?
飛 やめてよ、どっかいっちゃうの?
ユ いや、喩え話だよ。まぁでもその時が来たら、飛鳥は俺から巣立つ時だ…飛ぶ鳥のようにね…
飛 もう…
***
飛 …でも、それほど大好きだったの…愛していたのよ…
〇 これを、読んでほしい。
飛 なに、これ…?
〇 手紙だ。…ユウキさんからの。
手紙
飛鳥へ
何もお知らせできずに突然別れを告げ、更にはこの世に居続けることが出来ず、本当にごめん。
少し前から痛いと言っていた腰、癌とわかりました。
末期で、もう余命も1週間だと。と、いうより、わかってたけど病院に行かなかったんだ。もうどうしようもないくらい痛かったし、助からないってことも察してたから。
で、どうしようもなかったから、飛鳥と別れました。僕なんかのことを一生背負って欲しくなかった。
二個だけ言いたくて。
一個目は、ありがとうと、ごめん。
二個目は、前に話した"巣立ち"の話、覚えてるかな?
僕は飛鳥の笑顔が今でも大好きです。
ただ、もう僕のことはそっと何処かに閉まって、次なる人と結ばれてください。
天国から、飛鳥の笑顔を見守ってようと思うんだ。
今まで本当にありがとう。飛鳥と出会えて最後の最後に一生分の幸せもらえました。
ユウキ
涙が止まらなくなり、咽び泣く飛鳥。
〇 ユウキさんの想いはわからないでもない…
飛 でも…なにも言ってくれないなんて…
〇 そうだな…
飛 …この1週間で、〇〇と出会い、みなみと未央奈と奈々未と。生まれて初めて出会ったような感覚でおしゃべりをした。本当に楽しかったと思う。やっぱり仲良くなるべくして友だちなんだと思った。けど、やっぱり辛すぎるよ…
〇〇は飛鳥を抱きしめた。
〇 お前1人で抱え込まなくていい…なんで誰にも相談しないんだ…
飛 …相談が、苦手で…
〇 ばかかよ!!ここにもう1人、飛鳥の笑顔が好きでたまらない男がいるんだぞ…?これから先、未来の飛鳥の笑顔を守れるのは、俺しかいない…俺に守らせてほしい。
飛鳥はその場でしゃがみ込んでわんわん泣いた。
〇〇は静かに抱き締め、落ち着くのを待った。
その後…
み 飛鳥と〇〇、遅いね…
未 うん、大丈夫かなぁ…
美 あ!きたよ!!
〇〇と飛鳥が手を繋いで病院まで戻ってきた。
奈 …おかえり、飛鳥。
飛 …ただいま、お姉ちゃん。
そこには、飛鳥の笑顔があった。
み・未 飛鳥〜〜〜〜😭
飛 みなみ、未央奈、ごめんね…全部思い出したよ…
3人は泣きながら抱き合っていた。
〇 飛鳥に記憶を取り戻させるために、荒療治だったけど、病院の方々にも協力してもらったんだ。
運ばれていった患者は未央奈で、美彩さんにも協力してもらった。勿論、奈々未さんにも。
〇 美彩さん…ありがとう。
美 こちらこそ、ルビーの指環、ありがとね。…渡したの?
〇 …まだ。
飛 …?
〇 飛鳥、ここにいるみなさん、聞いていてほしい…
僕は、飛鳥さんを心から愛しています。
一生、飛鳥さんの笑顔を守り抜くと誓います。
今回のような想いは二度とさせない。
飛鳥… 新しい宝石で作ったペンダントだ…
どうかこれを受け取ってもらえないだろうか…
飛 …綺麗な色…
〇 宝石の名前は、ラピスラズリ…
飛鳥はハッとした。
飛 そうか…これが…ラピスラズリ…
〇 宝石言葉は、
飛 永遠の愛…
〇 …
〇〇は深く頷いた。
飛 …ハッ
〇〇とユウキがダブって見えた。そして、こんな声がしたような気がした。
***
ユ 飛鳥、巣立ちの時だね…良かった。安心してあっちへ行けるよ…
***
飛 …うん。〇〇とだったら、大丈夫な気がする。
〇 …ほんとにか?
飛 …うん😊
奈 …よかった…😭
み・未 あすかぁーーーー😭😭😭
こうして、1週間という短い期間に起きた奇跡のような物語は終わった。
ルビー : 愛の炎
サファイア : 尊厳、崇高
パール : 品格、純潔
ガーネット : 生命力、秘めた情熱
チャロアイト : 魅惑
ターコイズ : 繁盛、成功
そして、ラピスラズリ: 永遠の愛
7つの宝石に込められた想いと記憶。
数奇な運命を辿った者たちは、石の力か意志の力かにより、引き寄せられ、ぶつかり合い、それぞれの道を示した。
ここからは、その後その6名(7名)がどうなったか、エピローグをご覧いただこう。
エピローグ
ジリリリリリッ
けたたましい目覚ましの音で〇〇は起きる。
隣には飛鳥がいる…が起きる気配がない。
いや、それよりもまず、姉の奈々未を起こしに行かなければ…
ガチャッ
〇 奈々未ぃー!起きないと仕事遅刻するよぉー!
もう、例え義理の姉が下着姿で寝ていても何も思わなくなっていた。
ユサユサ…
〇 奈々未姉ちゃん!
奈 …あと5分😑
〇 遅刻しても知らねーからなっ!
奈 はっ?!遅刻?!やばい!準備!
〇 朝飯作るか…キッチンに向かった。
ジューッ
ザッザッ
手際よく準備をして、3人分の朝食を作り、4人分のお茶碗を盛る。
1つは、仏壇だ。
バタバタ・・
奈 時間ない!時間ない!
〇 あと10分で出れば間に合うよ。もう電車調べておいた。
奈 え?ほんとに?
〇 うん。ほら、朝飯食べな。
奈 ほんと、頼りになる義弟だこと。あら?私のかわいいかわいい妹はどこかしら?🤔
〇 ったく〜。起こしてくるか…😑
ガチャッ
〇 あす、そろそろ起きないと…
ユサユサ…
ガシッ
〇 うわぁっ?!
ぎゅー・・
飛 うーん、おはよう…😑
〇 今日は甘えんぼさんなのね、あしゅりん…😏
飛 なんだその口の聞き方は!罰として今すぐちゅーしなさい!😠
〇 …ふっ
💋
飛 する前に鼻で笑ったでしょ!罰としてもう一回!
💋
飛 なんか物足りないからもう…
💋
飛 😳😳😳😳😳
〇 飛鳥、ユウキさんに挨拶したら顔洗って朝ごはん食べな。
飛 うん!😊
あれから半年、3人は一緒に住み始めた。
奈々未は正社員として東京で働き出し、飛鳥も〇〇も大学へ通う毎日。
少し朝が弱い女性2人としっかり者の〇〇と。
3人は穏やかにも楽しく、愛ある生活を送っている。
飛 おはよー!
み・未 お、おはよーー!
未 2人で来るなんて微笑ましいねぇ😍
み 〇〇なんて昔友だちいなかったクセにね!
〇 …うるさいよw
飛 あ、今日2限で抜けなきゃ!
〇 今日撮影だったよな?どこ?原宿?
飛 うん…ごめんけど、またノートよろしくね!
〇 おう。頑張ってな。夜は俺もバイトだから…
飛 たぶん私の方が早いけど、お姉ちゃんにご飯お願いするね😊
〇 …ちょっとは料理の勉強しよっか?
飛 ううん、こういうのはね、得手不得手があるからね🤔
パコッ
〇〇が軽く飛鳥を叩いた
飛 へへへ…😚
〇 奈々未姉ちゃんにお願いしとくわ。笑
飛 ええ…そんな…いいよいいよ大丈夫だよ…😑
〇 ほら、行かないと遅れるよ。
飛 あ、うん。じゃあまたね。
〇 うん。
飛鳥はモデル、〇〇はパティシエと、奈々未にばかり負担をかけないよう、しっかりと働いてもいた。
奈々未はと言うと、なんと有名カフェ二店舗のマネージャーとして、忙しい日々を送っていた。
しかし、もともと人当たりも良くスタイルやルックスも抜群。あの人が働いて人気が出ないわけがない。
〇〇は在学中だが、もともと類稀なるセンスと味覚の持ち主だったため、すぐに資格を取ることが出来た。かなり有名なパティシエに弟子入りをしており、将来は自分の店を持ちたいと、そう思うようになっていた。
たまに奈々未の店の手伝いに行き、自分が作ったデザートを客に振る舞い、腕試しもしていた。
また、みなみと未央奈も常連客のひと組である。〇〇がヘルプで来るという時は、必ずと言っていいほど店に通い1人2,3のスイーツを平らげていくほどだ。
〇〇が来ると必ず大行列が出来る…Twitterで〇〇が出没情報を流すだけで客が集まるほどの品を出すことが出来るようになっていた。
2人とも、卒業後の進路もある程度決まっていたが、この一言が、2人の未来を変えるかもしれない…?
? なぁ〇〇…
おまえ、フランスに修行に行く気ねーか?
? ねぇ飛鳥…
あなた、本格的に女優としてやってみる気ない?
〇・飛 え…?
fin