#164 ホラーの最小単位
友達にとにかくホラーが苦手なコがいる。
映画やお化け屋敷はもちろん、TVドラマの『世にも奇妙な物語』のテーマソングですら苦手で、夏にたまにやる心霊・UMA特集も絶対NG、小説、洒落怖までとにかくダメという。
かく言う私もホラーは苦手だ。
特に心霊系など人じゃないもの(宇宙人、怪異を含む)が苦手で、映画館でホラー映画をチョイスすることはほぼない。
しかし、この友達と違うところは、苦手とは言いつつ私はどこかホラーに惹かれる点があるというところだ。
先述したようなジャンルは苦手なので、所謂ホラー映画の金字塔である『リング』や『呪怨』は絶対見れないし、昔友人に無理やり『ヘレディタリー』と、リメイク版の『IT』を見せられたことがあったが、著しく予後が悪かったなんてこともある。
しかし、一方で洒落怖を夢中になって読んだこともあるし、江戸川乱歩や横溝正史あたりの短編は人格形成に影響を与えるレベルで読み込んだ作品だし、映画だとゾンビものと人怖もの、グロは普通に見られる。何なら、ホラー短編小説を書くこともある。
多分、私は日常の延長線上や一歩隣にある不気味なものや気持ち悪いものが好きで、人の力でどうしようもない理不尽なホラーが嫌いなのだと思う。だって、サイコパスとゾンビはぶっ殺せるから安心だし。
こうして友達と私の趣向を考えても、ホラーの苦手度合いというのは本当に千差万別だと思うが、そこでこんなことを考えてみた。
ホラーの最小単位は何だろうか?
人が怖いと思うものや現象は色々あるが、その一番ミニマムなものは何だろうと考えてみた。
例えば。
ホラー映画なんかでよくある演出で、薄暗く、ジメジメした廊下を一人の若い女が懐中電灯片手に歩いていたとしよう。
時折、隙間風が不気味な音を立てたり、床が軋んだりする中、何かの気配を感じながらおっかなびっくり女が歩いている。
ふと、背後に気配を感じて振り返ると……
ちいかわだったらどうだろう?
振り返って懐中電灯で照らすと「ワァ……ァ」と潤んだ瞳で呟くちいかわがいたら。
……微妙だ。
怖くない気もするし「コイツ本当にちいかわか?」「ちいかわのフリした化け物では?」という怖さも少しあるかもしれない。
そもそも、この歩いてるシチュエーションが怖いかも。じゃあ、シチュエーションも思い切って全然怖くない場所にしよう。
近所のスーパーなんてどうだろう?
明るくて、人がいて、呼び込みくんのメロディに合わせて本日の特売品が宣伝されて、たまに店内で呑気なスーパーのテーマソングなんかが流れたりしている。
全然怖くない。
そこを歩いてる。
多分、夕飯か何かの買い物をするためカートを押しながら歩いていると……背後に気配。
そして、ちいかわ。
「どうしたの〜?」となる。
日常とは違う出来事が起こってるけど、全然怖くない。何なら隣でハチワレが「特売だって!卵!」と言ってるかも。怖くない。
じゃあ、ここからほんの少しだけホラーを加えて最小単位を考えてみる。
スーパーでちいかわ達と遭遇。
そこから考えられる一番小さいホラーって……
あれ?ちいかわ世界の怪物が出ることじゃない?ナガノ先生のあの絵柄で。ビックリするし、エライことにはなるけど、怖くはない。
でも、これよく考えたらただのいつものちいかわなんだよなぁ……
てことは!
ちいかわがホラーの最小単位なのでは?
これで結論づけるのは勿体無い気がするので、友達とも議論して一番気持ちのいいホラーの最小単位を見つけたい。
皆さんもホラーの最小単位、これでは?というものがあったら教えてください。