#59 『ビリガマ』がやってきた!
毎度お馴染み、新宿二丁目のゲイ・ミックスバー A Day In The Life(以下、アデイ)の店長・こうきさんが手がけた書籍『ビリガマ 〜高卒に厳しくなってきたゲイ社会をたくましく生きる店子の日常〜』(以下、ビリガマ)が我が家に届いた。
微力ながら、広告宣伝費用を集めるクラウドファンディングに参加したことによるリターンとして、可愛らしいサインの入った本を頂けることになったのだ。ありがたや〜!
アデイには私が大学生の頃、オープン後まもなくから、かれこれ10年以上は通っているお店で、こうきさんとの付き合いもそれに比例する。
とはいえ、2人でみっちりお話しするとか、どこかに出掛けるという機会はなかなか無かったので、お店の中で言葉を交わすことがほとんど。
それでも、ご本人の穏やか且つ気持ちの良い毒っ気を持った人柄がとても魅力的で、また自分の弟と同い年なのもあって勝手に第二の弟のように思ってるところがある。
こうきさんの半生は想像を絶するほど過酷で壮絶なものだ。それは本著『ビリガマ』や前作『ぼくはかいぶつにはなりたくないのに』でも触れられているが、家庭内暴力やホームレスの経験など本来10代の子供が経験すべきではないことを経て今に至っている。
しかし、本人に会って話をすれば分かるが、その辛さを一見しては感じさせないほど、穏やかで優しく、そして前向きに生きている。
以前『ビリガマ』の宣伝も兼ねたpodcastでも話していたが「これから上にあがっていくんだ!」という夢を持ち、努力も欠かさない。
それは、どんなにいい学歴があっても、どんなに家庭が豊かでも、なかなか手に入れられない大きな武器だ。
そんなこうきさんが描く自称・ビリガマの日々は、思わず「そんなんあり?!」と言いたくなるほど悲哀に満ちながら、ときにはスカッとやり返して「やんや、やんや!」と讃えたくなるようなことまで、実に幅広い。
見ていて応援したくなる、素敵なこうきさんのすべてが詰まっている作品だと感じた。
個人的に特に気に入ったエピソードは『あの時の復讐』。子供の頃、学校やその周辺で受けた理不尽な思いってなかなか濯げないものだけど、こんな形で復讐できるなんて最高!
こうきさんの、ある意味で「もっている」ことがよく分かるエピソードに感じられました。
最後のコマと、その一つ前のコマの描き方がめちゃくちゃ好き。
きっと、これから新しい冒険やまだ見ぬ世界を経験するであろうこうきさんが、次にどんな作品を描いてくれるか今から楽しみです。
ありがとうね〜!