#210 フォンダメンタ・ミゼリコルデ
頭の中でリフレインして仕方ない言葉がある。
「フォンダメンタ・ミゼリコルデ」だ。
いつからか分からないが、ふいに頭に浮かんだこの言葉がぐるぐる巡るものの、これの正体がまるで分からない。
フォンダメンタ・ミゼリコルデ。
試しにインターネットで調べてみても、それらしいものは分からない。では分割してみよう。
まずは、フォンダメンタ。
これはイタリア語で「ヴェネチアの運河や海沿いの道」のことを指すという。なるほど、となるとこれらはイタリア語の何かだ。
イタリア旅行中で見かけた何かかもしれない。
続いて、ミゼリコルデ。
調べるとゲームの美少女キャラと、同じ名前の競走馬がヒットする。調べ方を変えよう。
するとこう書いてある。
ミゼリコルデは、慈悲を意味するラテン語の「ミゼリコルディア」に由来し、中世に使用された細くて尖った短剣でした。その主な目的は、重傷を負った騎士に致命的な打撃を与えることであり、騎士を苦しみから解放するための「慈悲」の行為でした。
つまり、中世の頃に瀕死の騎士を介錯するために使用された短刀ということらしい。
以上を踏まえると、この脳内でぐるぐる巡ってるフォンダメンタ・ミゼリコルデは直訳すると「ヴェネチアにある短刀運河(または短刀通りという道の名前)」ということだろうか?
元の言語で調べてみよう。
「fondamenta misericorde」
そしたらヒット。
ヴェネチアはカンナレージョという地区にある、歴史地区のとある通りの名前らしい。写真を見ると、煉瓦造りの古びた建物が多く、こぢんまりとした素敵な飲食店や雑貨屋などが並んだ地元の人に愛される通りらしい。
すると見覚えのある店の外観を見つけた。
これはあの店ではないか?
https://maps.app.goo.gl/kbqeiXwm1dS53EHa6?g_st=com.google.maps.preview.copy

そうだ、あのバーカロだ。
マッシュルームのソテーや海鮮のおつまみが美味しかったところ。まさか巡り巡って、行ったことある店のある場所に辿り着くとは思わなかったな。
しかしこの通りが何故、介錯用の短刀の名前を冠しているのかは分からない。ここで介錯されて死んだ騎士がいたのだろうか。今は、地元民に愛される店で酒を酌み交わす場所になっているのに。
夏草や、兵ものどもが夢の跡。
どの国に行っても同じなのかもしれない。