#107 魅惑のミニマム

小さきものが好き。
ミニチュアとか食玩とか大好きで、一時期は本当にこれに凝って色々集めていた時期もある。

家にはドールハウスの本が数冊あって、時折眺めてはうっとりしてしまうし、小さなドールハウスを作るキットを買って作っては、沢山飾ったりもしていた。
もっとも、昔の大地震で棚が崩れて全てが壊れてからは、なるべく作らないようになってしまったのだが……

自分でミニチュアを作っている時は、手順書に従って小さな部品を組み立てていく工程の地味さがたまらなくて、ただの木片や発泡スチロールがどんどん昭和の駄菓子屋に変貌していく様はまるで魔法をかけているようだ。

それだけでなく、ガチャガチャのコーナーを通りかかったときには、魅力的なミニチュアのシリーズがあれば思わず回してしまうこともあるくらいだ。

ここ最近で一番ハートに刺さったのは、ロケ弁シリーズというもので、私が回した時は中華弁当の喜山飯店のものが出てきた。
できれば次、鳥久が出たらぜひ狙いたい。

この小さなものの魅力というのは何なのだろう。日常にあるものが、ただ小さなレプリカになっているだけで、どうしてこんなにワクワクしてしまうのだろう。

ふと気になって、昔ミニチュアについて調べたことがあるが、イギリスにはミニチュアを名産品にしている村があるというじゃないか。

そういえば、確かにイギリスはミニチュアで有名な国だ。ヨーロッパ全体でミニチュア品は人気があるものの、イギリスには有名なミニチュア作家が確かに多い印象がある。
その村はコッツウォルズ地方にあるボートンオンザウォーター。イギリスはまだ行ったことがないから、その際にはぜひ訪れてみたい。

これまで行った外国では、オーストリアとタイがミニチュアに力を入れている印象があった。

オーストリアは街中にあるお土産屋さんで、ミニチュアばかりを取り扱っているものがあったりして、そこで延々と時間を吸い取られた記憶がある。色々悩んだ末に、祖母へのお土産としてケーキとティーカップのセット、自分にはハチミツとジャムのセットを買った。
今でも本棚の上に飾られている。

意外なことに、タイもミニチュア大国だ。
お土産物を売っている屋台には、大抵必ず手作りのミニチュア品を売るお店があり、そこにはタイ料理やタイでよく食べられる果物などを正確に再現した小さなミニチュアたちが大量に飾られている。そこで買った小さなマグネットは、オーブントースターの飾りになっている。

小物だけでなく、タイには果物や野菜の形を模したスイーツもよく売られている。
その名はルークチュップ。名前までかわいい。

ココナッツミルクが混ぜ込まれた白餡を、着色した寒天で包み込んで整形したもので、味時代は日本で食べられる練り切りに近く、美味しい。何かの形を模すというのも、練り切りによく似ているから面白い。
ルークチュップがたくさん並んだ屋台も、見るだけで癒される。

こんなことを考えていたら、久しぶりにミニチュアにどっぷり浸かりたくなってしまった。
私も小さくなれたらいいのに。

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