#201 違う、そうじゃない

マッチングアプリを使っていた時期がある。もう3〜5年以上前の話だ。

当時、長いこと付き合っていた人と別れたのが結構私の中で痛手になっており、切り替えるためにも次の出会いをすべきか考えていた頃、友人に唆されて始めたのだった。

これまでマッチングアプリは使ったことがなかったので「まぁ、社会勉強だと思ってやってみるか」という気持ちで、友人たちの指導を受けながらまずプロフィールの作成から着手した。

まず、これが死ぬほど苦痛。
そもそも自分のことをあれこれ紹介するのも得意じゃないのもあるうえ、書く内容も男向けにアピールするもので書いていく必要がある。

どう書けばいいか分からず困っていると、
「例文があるから、それを参考にするといいよ」
と友人がアドバイスしてきた。

言われた通りに例文を見ると概ねこんなことが書いてあった。

・看護師or保育士をしている
・特技は料理で友人にも好評!
・趣味は散歩または無趣味なので新しいことを教えて欲しい♪
・子供が好き❤︎
・将来のことも考えて真剣な交際相手を探している

「しゃらくせーーーーー!」
と叫んでちゃぶ台をひっくり返したくなる。
看護師だの保育士だの、料理と子供が好きだの、大した趣味がなくて何でも言うことを聞きそうなのも、結局のところ自分にとって都合の良い母親のコピーが欲しいだけではないか。ここに羅列されてる例文というのが本当の本当に恋愛市場における女の最適解だとするのなら、男は自分の母親と近親相姦するのが一番平和で幸せなのではないかとすら思う。

もちろん、これは極端な例なので普通のことを書いてもそれなりにマッチングはする。私自身の趣味とか特技を書いて、何人かの人とは食事にも行ったりしたし、いい人もいた。ただ結果的に、建前上のコミュニケーションと忙しいばかりのやりとりであまり楽しくはなかったが。

しかし、その中で気になったことがある。
マッチング前の段階で「いいね」を送ってくる男性のプロフィールを見ていると、こんなことを書いている人が少なくなかったのだ。

「ブスだから、せめていいねだけください」
「低身長男に人権なんてないですよね」
「結局顔なんでしょ?」

ハッキリと言わせてもらう。
お前らがモテないのは、そんなことをわざわざプロフィールに書くような卑屈な精神の持ち主だからだよ。

自分がモテないのを、あたかも世の中の女性は見た目ばかりで俺の内面を見てくれない所為だと他責思考の結論で自虐し、どんな人か興味を持って探す段階で見るプロフィール上で「モテない俺はお前らのせいで可哀想です!」と言い回ってる男に、誰がマッチングしたいと思うのか。冷静になれば分かりそうなことだ。

そんな話を親友としていたら、そいつは
「そうだよな!低身長だけどチンポはデカいです、くらい書くべきだよな!」と言っていた。
違う、そうじゃない。
いや、半分はそうなんだけど。

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