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夫へ

未知のウイルスが世界で蔓延しはじめた年、わたしたちは結婚しました。
この冬、結婚5周年の記念日を迎えるにあたって、結局あげるのことができなかった結婚式であなたに向けて読むつよりで書いていた手紙をここに残します。

今私は真っ白なドレスを着て、マイクを持って立っています。その画を思い浮かべながら読んで貰えると嬉しいです。

その日に呼びたかったお友達や家族もぜひ聞いてください。

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夫へ


ついにこの日がやってきましたね。
私たちが交際してから
13年の月日が過ぎていきました。

もう思い出を振り返ろうにも
出会った頃の事は覚えていなかったりするのかもしれません。

あの頃はスマートフォンが普及しておらず
最初のやりとりはメールでした。

私たちは高校生でしたが、学校から帰宅してからもメールで話すことに夢中で、今まであまり携帯を見なかったあなたが、勉強や趣味もそっちのけでずっとメールのやりとりをしていたこと、ご両親は心配していたかもしれません。

あの頃からずっと毎日メッセージのやりとりを続けて13年が経ち、今ここに立っています。

私たちはこの10年間いつでも、恋人であり、1番の親友でしたね。

どんなに離れていても、忙しくても、言葉を交わさなかった日は1日もなかったでしょう。

ずっと一緒に居ても、話が尽きることがない。不思議ですね。私がとんでもないおしゃべりモンスターだからでしょうか。

少し堅い話になってしまうけれど、私には昔から決めていた結婚相手の条件がありました。

それは家庭の問題だけでなく、社会問題について話し合える人、普段からよく考えている人、という条件です。

私の両親は、娘も交えてよく社会問題について話をしてくれました。
家ではずっとニュースがついていて、これってどういうことなの?と問えば、父がしっかりと答えてくれた。
母もそれらについて自分の考えをしっかり持っていて、私たち娘を巻き込んで、ボランティア活動や当事者のお手伝いをするなど実際に行動ができる人でした。

だから、どうして今私がこんなに沢山の人に囲まれて、きれいなドレスを着て立っていられるのか
今日もこの景色を見ながらそれについて考えています。

夫婦生活で問題が起きても、これは本当にふたりだけの問題だろうか?と、喧嘩ではなく、よく話をしますね。

社会の仕組み、人間の心理、男女の違い、育ちや環境など様々な要件が絡み合っていることをよく理解した上で
今の問題と向き合わないといけないよね。そういって、深夜も時間を忘れて語りました。

とても変わった夫婦なのかもしれません。そういうことを話して、周りに笑われたこともある。

あなたから13年間、
感情だけにまかせたような心無い言葉を聞いたことは一度たりともありませんし、
ケンカしたまま、そっぽを向いて夜を超えた日もありません。

あなたは太陽のような笑顔を浮かべながら
とても難しい話をする人ですが
わたしはそのわかりやすく現れた笑顔の美しさよりも
内面の感性に惹かれて結婚したと思います。

色んな人の努力が、協力が、葛藤があって今日この日を迎えている。
そういう風に考えられること、想像力を持っている人間でいられることは、当たり前ではないと思っています。

あなたはそれができる人で、そういったことに共感してくれる人でした。

社会の未来は私たちの未来、わたしたちの未来は社会の未来だと思って、これからも一緒に成長していきたいと思っています。

こんな私とあなただから、風変わりな家庭なのかもしれませんが
それがまた心地よく、幸せですね。

まだ世の中にはないかもしれない、唯一無二の幸せを創造していきましょう。愛しています。

妻より

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