弟が大学をやめた
タイトルにあるように弟は大学をやめた。兄である私は、兄として何が出来たのかなどおこがましいことは考えてはいない。ただ心に穴が空いた気持ちになるので、ここに記すことにした。
7つ年の離れている弟は、世間がコロナで過ごす2回目の4月に大学生になった。
世間一般的には、弟はコミュニケーションが苦手な人間な「コミ障」と呼ばれる存在なのだろう。もちろん、家族の前で見せる姿と世間で見せる姿には違いがあるだろうが少なくとも私の目にはそう写っている。
小学生時代の弟は明るく活発でゲームの好きな小学生だったと認識している。ある日を境に性格が変わってしまったという印象はない。
弟がコミュニケーションが苦手なのはたぶん”面倒くさがり屋”なのだろう。
おつかいを頼んでも自力で頼まれた商品が見つからなければ店員さんに聞くことなく帰ってきたり、説明することは面倒なものは「知らない」と言ったり腰を上げる作業をあまりしない印象だ。
弟も「小学生の時は目に元気があった」と自分でも話している。
そんな弟も悪いところばかりではない。弟は本当に心の優しい人間なのだ。
ある日、悩み相談のトーンで「正義ってなに?」と聞かれたことがある。
弟の高校で一人の不良生徒がうるさく騒いでいた。すると真面目な生徒がその不良生徒を過剰に注意した。その不良生徒は自分の地位を守るために真面目な生徒をその場でいじり結果、真面目な生徒が恥ずかしい思いをすることになった。
弟はここにいる登場人物は誰も悪くないのでないかと言う。クラスの雰囲気を壊したくなかった真面目な生徒、皆の前で恥を欠かぬようクラスでの権威を守った不良生徒。皆それぞれの正義のためにそんな行動に出たのではないかと。真面目な生徒も不良生徒が過度に恥を欠かぬよう注意出来なとのでないか、不良生徒も非があればふざけながらでも謝ることが出来たのではないかと。
一つの出来事にそれだけ多面的な考え方が出来るのであれば、様々な人を思いやる事のできる優しい人間という証拠だと思う。
ではそんな弟はなぜ大学をやめたのだろうか。
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