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M-1グランプリ2019 ハイレベルな戦い

M-1グランプリ2019が終わりました。

近年稀に見るハイレベルな戦いで、新時代を予感させる素晴らしい大会でした。
自分が見始めた2003年から現在まで通して比較しても本当に素晴らしい戦いでした。


個人的な事ですがM-1三連単がばっちり当たったので、それも含めてテンションが上がりました。

今回はこの三連単にした理由と全体の感想を含めて一組ずつ書いていこうと思います。


・「続けてきたこと」 ミルクボーイ

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・結成12年目
ボケ:駒場孝(左) ツッコミ:内海崇(右) 
決勝結果:681点(過去最高点)

今回「コーンフレーク」の漫才で圧倒的な笑いと点数を叩き出し、その勢いのまま優勝したミルクボーイ。

ボケの駒場がオカンが忘れた事が何かを、オカンが言っていた事を元に、ツッコミの内海と考えるというネタ。
漫才の形としては、ボケはほぼボケるのでは無くヒントを出し続けてそれをツッコミの内海が細かい偏見を含んだ考え方でどちらなのかを判断する。

何度も何度も「大喜利」的な指摘と「あるある」を考え、修正し、畳みかけるリズムを舞台で養ってきた彼ら。
矢継ぎ早に繰り出される「偏見」と「あるある」で頭の中の
「コーンフレーク」と「最中」に我々はぐらんぐらんに揺さぶられる。
彼らの努力が結集された様なこのネタはM-1決勝という舞台で大爆発しました。

このフォーマットのネタをテンポや形は少し違いますが、彼らはずっと続けてきました。

このネタを聴くと分かりますがフォーマットは同じですが今のネタにある絶妙な偏見がまだ薄く感じます。

何度も何度もネタを卸して、お客さんの反応を見て、ブラッシュアップされた偏見を畳みかける今のネタをM-1三回戦の映像で見た時自分は2005年の「ブラックマヨネーズ」を思い出しました。

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この畳みかけがハマればブラマヨと同様にM-1で優勝できると思い、三連単予想で1位にしました。実際お笑いファンの間でもM-1予選のミルクボーイはすごいと言う感想が飛び交っていたので、予想していた人も多かったと思います。

ただ圧倒的に知名度が無かった。そもそも彼らが準決勝まで進んだのも今年が初で、今年テレビで漫才を披露するのもM-1決勝が初という本当のダークホース。当時知名度のなかったサンドウィッチマンですらテレビのネタ番組には出演していました。
その中でネタでねじ伏せて笑いの「うねり」を生み出した彼らは正真正銘チャンピオンでした。

最後にオススメのネタ動画を一つ。「〇〇やないか!」って言いたくなりますよね。
仕事増えるぞミルクボーイ!



・「旅の終わり」 かまいたち

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・結成15年目
ボケ:山内健司(左) ツッコミ:濱家隆一(右) 決勝結果:660点

3年連続決勝に駒を進めたかまいたち。
今年がラストイヤーだった彼らは、キングオブコント優勝後、2018年に東京進出も果たし、地上波でのテレビ出演も増え、芸人としては軌道に乗っていました。

それでもM-1に出続けて結果を残してきた彼らも今年で最後。
それまで劇場やネタ番組で披露してきた仕上げたネタでM-1に乗り込みました。

彼らのネタは一言で言うと「理不尽」。
ボケの山内が会話の中で人の話を聞かずに理不尽に濱内を追い詰めます。

フォーマットとして強い形はありませんが、会話の流れや山内の暴走、濱家の恐ろしい物を見る様なリアクションで観客を巻き込んでいきます。
何の話をしているのか分からないのにドンドンと引き込まれていく話術とテンポ。

かまいたちにしか出来ない漫才は安定感とオリジナリティが同居したハイレベルなもので、今回のM-1でもその実力を遺憾なく発揮しました。

普段地上波の番組に出ていてネタ番組でもネタを披露している芸人は、ネタを知られているという点で不利です。
特に1本目のUFJのネタはかなり知られているネタでした。
それでもあれだけの笑いを生み出すかまいたちは漫才師としての肩が強過ぎる。

だからこそ「ミルクボーイ」という怪物の存在は彼らにとっては本当に不運でした。
それさえなければ優勝していたのではないかと思います。
自分はそのミルクボーイの爆発を予想して三連単ではかまいたちを2位に予想しました。

彼らのM-1の旅は今年で終わりました。
しかし、彼らの実力はもう皆に知れ渡っています。
今度はテレビという舞台で第2の千鳥になれるように、まだ旅は続きます。


また無人島のロケやってくれよかまいたち!

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・「試行錯誤の先に」 ぺこぱ

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・結成11年目
ボケ:シュウペイ(左) ツッコミ:松陰寺太勇(右) 決勝結果:654点

和牛のファイナル進出を阻止するという大番狂わせを演じたぺこぱ。

単純にツッコむのではなく「肯定」するという新しい形は今の時代に余りにマッチし過ぎていました。
最初は典型的なキャラ漫才かと思いきや松陰寺がツッコミ。

はっきり言って雑なシュウペイのボケに対して、松陰寺は否定するのではなく、自らを一旦見つめ直してから、優しく包み込む様に返します。

審査員の立川志らく師匠がコメントしていた、

最初は大っ嫌いな漫才だと思ったが、だんだん大好きになっていった。

という言葉に彼らの漫才が集約されている様に思います。

それはツッコミの特性だけでなく、松陰寺が言った

キャラ芸人になるしかなかった!

というツッコミに表れている「負け」のキャラクターに起因します。

唯我独尊のキャラが暴走する、キャラの特異性をボケとしてそれらをツッコむ漫才は、それまでの凡百のキャラ芸人がやってきたことです。
ぺこぱはそこに「負け」のキャラクターを付与することで、どことない
愛らしさ」を見ている側に感じさせました。

「愛らしさ」はそこにフレッシュ感や妙な言葉の温かみを与えてくれます。
だからこそ肯定ツッコミはどこか我々の心に刺さるのです。

より個人的な感想を言うと、彼らの事は以前NHKでやっていた
笑けずり」というオーディション番組で知っていました。

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その時は松陰寺が着物にローラースケートを履いて登場し、「キザ漫才」というモロにキャラ漫才をやっていて、ボケツッコミも逆でした。
大好きだったこの番組ではサンミュージック所属の「ザ・パーフェクト」が優勝し、2位のAマッソはその後地上波のテレビ番組でも目にする様になりました。

その後年始の「おもしろ荘」にも出演し、優勝したものの、パンケーキ食べたいに人気をかっさらわれました。
その時のネタはこの動画で披露していたものに近いネタでした。


そこから松陰寺は着物とローラースケートを捨て、ネタを磨き、決勝で結果を残しました。
おもしろ荘の頃からかなりネタが洗練されています。

彼らがやってきた試行錯誤の結果は大舞台で花を咲かせました。
元々所属していたオスカーはお笑い部を解散した為、彼らは今年無所属となり、サンミュージックに所属しました。
そこには笑けずりで負けたザ・パーフェクトもパンケーキの夢屋まさるもいます。
続けてきたことが報われる瞬間を目にする事が出来て、これぞドリームだと感じました。

彼らの努力と、新しいスタイルの可能性に賭けて自分は三連単の3位に予想しました。

自分の目は間違ってなかった。ありがとうぺこぱ!お前らが笑けずりで一番ブレイクするんだ!


・「ハードルの先は」 和牛

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・結成13年目 
ボケ:水田信二(左) ツッコミ:川西賢志郎(右) 決勝結果:652点

3年連続準優勝を演じてきた和牛が今年はファイナルステージに進出出来ませんでした。
そもそも決勝に上がらなかったという事実がお笑いファン達にとっては衝撃でした。
和牛は最低でも決勝には来ると皆が思っていたからです。

和牛はそれまでのM-1で毎年、それもカテゴリー毎に新しいネタを作ってきたある意味で「狂人」です。
並の芸人なら心が折れます。

唯一和牛と同じく結果を伴ってやっていたのが「笑い飯」です。

今回のネタも前半と後半でセクションを分けながら、段々とその設定が逆転していき、引き込まれるというネタの構成になっていました。

今年のネタは審査員が言っていた様に、奥行きも取り入れながらより
洗練」されたネタでした。
しかしこの「洗練」という部分がM-1というステージで彼らに牙を剥いたと思います。

3年連続準優勝を果たした和牛の「ハードル」は上がりに上がっていました。
毎年ハイレベルな漫才を披露しても優勝出来ない。
次こそは、という期待感がそのハードルを上げました。

そして、上沼恵美子さんがからし蓮根のコメント中に急に和牛に対する厳しい言葉を吐きます。

「私は去年もその前も私は和牛にチャンピオンを入れました。でも、なんかそういう横柄な感じが、和牛に対して感じました」

「だからきびしい意見を。なんかこのステージは僕のもの、リサイタル!緊張感もなんにもない、そういうぞんざいなものを感じました」

「私は昨年もその前も、私は和牛をチャンピオンで押してるのよ。それなのに、決勝まで残りくさらんかった!それが腹立つつーんですわ!」

この言葉に少なからず自分は共感する部分がありました。
先にも言った様に和牛には優勝するという「期待感」がありました。
その期待感はお客さんの「ハードル」を上げる事に繋がります。

そのハードルはそんじょそこらのM-1ファイナリストとは訳が違います。
しかし、和牛はそのハードルを越えられず準決勝で敗れました。
その時点で上沼さんが和牛に対して持っていた「期待」が裏切られた形になったと思います。

そして決勝で行ったネタは本当に「洗練」されていました。
洗練され過ぎる程に。
その洗練が「横柄」に感じた理由ではないでしょうか。
彼らにとっては理不尽だと思う事かも知れませんが、新顔が溢れた今年の大会の中で、それは顕著に見られました。

準決勝で負けた時点で、和牛は上がりきったハードルを越えられなかった。
だからこそチャレンジャーとしてもっとがむしゃらさを見せなければならなかった。
彼ら自身はがむしゃらでも、あまりに洗練され過ぎてこちらにそれが伝わらなかった。

そこが和牛の敗因だと私は考えています。

そして皆一様に「和牛は変わっていない」と言います。
その通りです。和牛は変わっていません。
しかし、和牛を見る周りの目が変わったのです。
そしてその周りの目を越えなければならなかった。
それは、2009年に鳥人のネタで優勝出来なかった笑い飯と同じ様に。

ある意味でその変わった周りの目を欺いてがむしゃらさを出す、位のネタをやるべきだった。
M-1という大会の難しさを和牛は改めて教えてくれました。

敗者復活は今の制度では完全に人気投票です。
なので和牛が上がってくるだろうと予想していました。
そして準決勝で負けた時点でファイナルには進めないだろうとも予想していました。
それが和牛を三連単に入れなかった理由です。

M-1後の放送で来年は出場しない事を示唆した和牛。
ハードルは越えられなかったかもしれませんが、彼らの実力は誰もが疑わないものです。
今度はバラエティでその力を見せて欲しい。それだけの力が彼らにはあります。


・「雪辱は自らの手で」 見取り図

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・結成12年目

ツッコミ:盛山晋太郎(左) ボケ:リリー(右) 決勝結果:649点

昨年M-1決勝に進出したが、トップバッターで浮足立った空気の中、消化不良気味だった見取り図が今年は彼らの持つ個性をしっかりと発揮しました。

ボケとツッコミが逆にも見える抜群のビジュアルと、二人の掛け合いで繰り広げられるワードの応酬。
お互いに殴り合う様なボケの連続と、それをしっかりと回収するワードセンス。それでいて正統派なしゃべくり漫才を早いテンポで繋いでいく技量。

昨年のM-1とは打って変わって笑いの量でも質でも結果を残しました。
〇〇みたいな見た目しやがって!」という例えネタの絶妙さと後半の
ダンサーの綱吉」は流石の一言。

点数が思ったより伸びなかったのは、富澤さんがコメントしていた「より大きな展開」が余り見られなかったからではないかと思います。
フォーマットを連続するなら、ミルクボーイと同じ位の後半の畳みかけがあればもっと笑いは増幅していた様に思います。

それでも昨年のM-1の雪辱を果たし、実力を示した見取り図は関西ではある程度盤石な地位を築いて、平場でもしっかりやれるトーク力もあります。
盛山のイカツさが千鳥の大悟くらいマイルドになれば東京でもいけると思います。

昔の盛山の写真はキムに次いで面白い。リリーは元の狂気出過ぎ。

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・「真正面から」 からし蓮根

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・結成6年目
ボケ:伊織(左) ツッコミ:杉本青空(右) 決勝結果:639点

今大会最年少のコンビ。
今回決勝に進出したコンビの中で個人的に一番「正統派」な漫才をしていたと感じました。

ボケの伊織が突飛な行動をして、それを杉本が怒気の強い熊本弁でバシッとツッコむ。
運転教習という普遍的なネタでしたが、若手ながら真正面からそこに挑みました。

最後のバックのボケまで笑いは取れていましたが、終盤まで中々爆発が来ず、客を掴めなかった。
前に披露した「すゑひろがりず」のインパクトがまだ客に残っていたので、ボケのインパクトが薄れてしまったのかなと思います。

M-1は4分の中でどれだけ笑いの量を取るかが重要なので、前半のボケと強めのツッコミの面白さが客に伝わり切る前に終わってしまった様に思います。
付け加えるなら杉山のツッコミが普段より優しくてテンポが速かった。
普段通りならもっと受けてたのでは。

もうネタの形は伝わったと思うので、来年はさらにネタの精度を上げれば確実にウケを取れると思います。


関西の女帝が覚醒していた時も笑顔を絶やさなかった二人は多分ええ奴。

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・「スローなブギにしてくれ」 オズワルド

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・結成5年目
ボケ:畠中悠(左) ツッコミ:伊藤俊介(右) 決勝結果:638点

ゆったりとした語り口でボケを拾い上げる、「東京」を感じさせるコンビ。結成5年目ながら確立されたスタイルで、決勝に駒を進めました。

スタイリッシュでありながらボケとツッコミがしっかり分けられて、初見でもお客さんを掴むネタの強さを感じました。

彼らが不運だったのは出番が「ミルクボーイ」の直後だった事。
明らかに客はミルクボーイの笑いの余韻の中にいました。

出順さえ違っていれば結果は変わっていたかもしれません。
3回戦のネタでもウケは抜群だったので、そこが悔やまれます。

もう一つ付け加えると、ボケツッコミが分かりやすく分けられていたからこそ、見た目や優しい語り口調の割にはテンポや展開が早く、客の頭の中に映像をしっかり映し出す事が出来ず、またスリムクラブの様な緩急の笑いがそこまで生まれなかった。
4分というM-1の漫才に合わせてもっとネタを強くすれば、来年以降も十分戦えると思います。

結成5年目。まだまだ時間はある。次を期待出来るコンビでした。


ニューヨーク屋敷の策略にハマり細稲垣で事故った伊藤。
あいつが悪いから落ち込むな!



・「腹は括った」 すゑひろがりず

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・結成8年目
ボケ:三島達也(右) ツッコミ:南條庄助(左) 決勝結果 637点

着物に鼓に扇子という明らかに異色でめでたい風貌の二人がM-1決勝に殴り込みました。

古典的な言葉遣いと現代の設定を上手く織り交ぜ、一度見たら忘れられないインパクトと、しっかりとした笑いを取った彼らは正にあっぱれ。
言葉を全て理解出来なくても笑ってしまう、我々の想像力を掻き立てる設定への落とし込みはお見事。
「関白遊び」が「関白だ~れだ!」の掛け声で王様ゲームの事だと分かった時の痛快さたるや。

かまいたち、和牛とこの大会の流れを決定付けた二組の後で、その空気に圧されること無く見事に客の心を掴みました。

M-1という大会の特性上どうしても「色物」として見られる為、確かに点数は付きにくかった。
それでも彼らは点数以上にインパクトを残したと思います。

二人がせり上がってきた時のかっこよさときたら。
出囃子に合わせた鼓の音にテンションが上がりました。

↑40:29辺りから

この番組内でオズワルドによって語られた、かまいたち、和牛の後の重い空気に他の芸人が出たくないと思っていた中、空気を変えられるのは自分達の様なスタイルの漫才しか無い、とボケの三島が

俺達に行かせてくれ!

と言っていたというエピソードは余りにかっこよすぎる。
ファーストステージ敗退が決まってからの敗者コメントでの
皆様、良いお年を!」は痺れました。

腹を括って自分達を出し切った彼らに自分は最大級の賛辞を送ります。

年始見れる事を楽しみにしてるぞすゑひろがりず!



・「スピードの出し方」 インディアンス

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・結成9年目
ボケ:田渕章裕(左) ツッコミ:キム(右) 決勝結果:632点

最近ではネタ番組でも良く見かけるようになった「西のアンタッチャブル」とも呼ばれるこのコンビ。

無尽蔵に繰り出される田渕のボケが笑いを増幅させ、見ている者はその世界に引き込まれていく。
ボケで殴り続ける様なこのスタイルで彼らはM-1決勝に殴り込みました。

結果から見ると9位という下から2番目の順位に収まった彼ら。

客の受けで言えば上々で、もう少し順位が上でもおかしくないと思いましたが、審査員のコメントで腑に落ちた部分がありました。

塙の「平和過ぎた
礼二の「素の部分の面白さがあまり見えない

自分がネタを見ていて感じた違和感はこの辺りにあって、「おっさん女子」の設定がネタなのかそれとも本人のキャラクターなのか、そもそも「女子」なのか、混乱してしまう部分が自分には見えました。

本人達は素の部分が出過ぎる事を嫌って設定に落とし込んだのかもしれませんが、だとしたら「女子」という設定が見えなかった。
「おっさん女子」と言うより「女子おっさん」の様で混乱してしまった。

そしてツッコミとの掛け合いによる笑いの増幅が少なかった。
制止はするものの、そこからボケを際立たせるツッコミまで行けていない様に見えました。

これだけうるさいボケを繰り返されたらどこかで人間「イラつく」と思います。そのイラつきがツッコミにもっとあればネタ全体の立体感が持たせられたのではないか。

後は本人達が打ち上げでも語っていた通りネタを飛ばしていた部分があったようで、その辺りに影響されてテンポや流れが悪くなってしまったのかもしれません。

一度走り出したら止まらないハイスピードの漫才で勝ち上がってきた彼らも、見えない所でそのスピードを制御しきれていない部分があったのでは。

M-1という舞台の怖さを見た気がします。


客受けは抜群だったので、決勝に出た経験値を元にまた面白いネタで帰ってくることを期待したいと思います。


若手時代のキムの画像が今年一番笑ったかもしれない。

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・「その毒は敵か味方か」 ニューヨーク

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・結成9年目 
ボケ:嶋佐和也(左) ツッコミ:屋敷裕政(右) 決勝結果:616点

若手時代から売れる売れると言われ続けて今年ようやく結果を出し、念願の決勝進出を決めたニューヨーク。

地上波のコント番組「バチバチエレキテる」のメンバーに抜擢され、
「オールナイトニッポン0」のパーソナリティにも選ばれる等、売れそうな匂いをプンプンに漂わせながらそれでも売れない。

苦汁を舐めながらそれでもM-1に挑戦し続ける彼らを個人的にとても応援していました。
彼らのネタ自体も、初期の頃からずーっと何かを薄っすらとバカにしているスタイルが大好きでした。
なので、決勝進出を聞いた時は遂にニューヨークの時代が来ると思いました。

同時に懸念もありました。それは、彼らのネタの根幹である「毒」が果たしてM-1と言う舞台で評価されるのか。
彼らのネタは偏見を煮詰めた様な邪悪なネタが多く、それが彼らのオリジナリティでした。
ある程度万人に刺さるネタでないと難しいM-1で、しかも決勝の地上波でそのスタイルを貫けるのか。

結果として彼らはトップバッターを引き、最下位に終わりました。
決勝で披露したネタは以前見た事がありましたが、かなり中身が変更されていました。

↑ 35:00辺りから

上の動画でも本人達がネタ変更について語っています。

このM-1用に仕上げたネタは結果として彼らの武器である「毒」を抜くことになりました。
それは仕方がない事ですが、結果として最下位という順位が出た以上、ネタを抜本的に改良せざるを得ません。

彼らの味方だった筈の「毒」が敵になる。
意地の悪い漫才が大好きだった自分にとってはかなり厳しい現実でした。

ここからどう漫才を変えていくのか。はたまた変えずに自分達を貫くのか。
ニューヨークはトークも上手く平場で活躍できる力を持っていると自分は思っているので、今後どのように動いて行くのか期待して待ちたいと思います。


オールナイトニッポン0の初回でイキった事して滑り散らかしたこと忘れてないぞ!また全国ネットのラジオやってくれよニューヨーク!



・総評

ここまで一組一組細かく書いてきましたが、それだけ今回のM-1はハイレベルで、全組ウケていました。
例年であれば優勝していたであろうコンビもいる中、「ミルクボーイ」と言う本当のダークホースがこの大会をねじ伏せました。

初出場が7組という新顔揃いの中、皆が笑いを取る姿を見て、新時代の幕開けを予感させました。
昨年の霜降り明星に続き「第7世代」と呼ばれるような新世代の台頭がM-1、ひいてはお笑いをより盛り上げてくれると思います。

惜しくも決勝に行けなかった準決組にも本当に面白い芸人がたくさんいたので、また別の機会にそれについても書きたいと思います。

本当に素晴らしい大会でした。
M-1はやっぱり夢見させてくれる。



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