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ドーピングについてのポジションスタンド

どうも、アスレティックパフォーマンスコーチのタケダイグウジです。

まだドーピング問題コスって知名度上げたいのか、アクセス数や再生数稼ぎたいのかと思われがちですが誰かを弾圧するのが目的ではなく、こういうものなんだよというのを格闘技ファンとシェアしたくて喋ってます。

こないだ金ちゃんのチャンネルで話したらまさかの再生数いったのでスタバカードくらい欲しいよなと思ったりしましたが、まだ見ていない方は是非。

今回の件で日本でも競技でドーピングが横行している可能性があるんだなというのが分かったと思いますが、こういう立場に身を置いていると以前から
〇〇は使っているらしい、、、、
△△は何処どこのクリニックでキチンとプログラム組んでるらしい、、、、、
✕✕は禁止薬物入れてメンタルの乱高下ヤバいよね、、、

なんて噂話は入ってきます。それが正しかったのは木村ミノル選手や赤沢氏のケースですが、基本的に僕は

so what?
だからどうした?

のスタンスです。僕の担当している選手達のことで手一杯で彼らをクリーンに勝たせることしか考えてないので、如何にうっかりドーピングをさせないかしか考えてないです。

根本的に格闘技に限らずスポーツは勝利を目指して競技者が公正・公平に競技するために、規定の場所で、規定の時間内に、規定のルールに従って行われるものです。

では、そもそもドーピングってなんなんでしょうかね。


ドーピングとは?

JADA(日本アンチドーピング機構)には下記の定義が記載されています。

ドーピングとは
『スポーツにおいて禁止されている物質や方法によって競技能力を高め、意図的に自分だけが優位に立ち、勝利を得ようとする行為』
のことです。
禁止薬物を意図的に使用することだけをドーピングと呼びがちですが、それだけではありません。
意図的であるかどうかに関わらず、ルールに反する様々な競技能力を高める「方法」や、それらの行為を「隠すこと」も含めて、ドーピングと呼びます。

ドーピングは、自分自身の努力や、チームメイトとの信頼、競い合う相手へのリスペクト、スポーツを応援する人々の期待などを裏切る、不誠実で利己的な行為であり、ドーピングがある限り、そもそもスポーツはスポーツとして成り立つことができません。

次にアンチドーピングとは何を指すのでしょうか?

アンチドーピングとは?

こちらのJADAの定義から。

アンチ・ドーピングとは、ドーピング行為に反対(antiアンチ)し、スポーツがスポーツとして成り立つための、教育・啓発や検査といった様々な活動のことです。
スポーツは、そもそもその参加者がフェア(公正)でなければ成り立ちません。
JADAは、アンチ・ドーピング活動によって、すべての人がフェアであることを支え、アスリートの健康を保護するために、ドーピングの撲滅を目指しています。
JADAのアンチ・ドーピング活動には、2つの種類があります。1つ目は、残念ながら現在スポーツにおいて報告されるドーピングをゼロにすること。そして2つ目は、スポーツにおいてドーピングが起こらないよう予防的な活動をすることです。

アンチ・ドーピングは決してドーピングしているアスリートを排除するだけの活動ではありません。アスリートがドーピングのリスクを理解し、そのうえで自分自身、自分のとりくむ競技、スポーツ全体を守るために具体的な行動を行うことや、その教育活動を推進すること。さらに、ドーピングを予防する観点から、スポーツ、社会における「フェアネス」の価値観を共有していくこともアンチ・ドーピング活動に含まれます。

要は『公平』であることです。これはアマチュアだろうがプロだろうが関係ないです。

アマチュアですとオリンピックでメダルを獲ること、プロの世界では勝てば名声と金銭を得られます。そこに禁止薬物が入ることで公平でなくなるということです。

MMAでは過去に何度もドーピングに引っかかっても殿堂入りしている選手いますが、MLBのバリーボンズ、ロジャー・クレメンス、サミー・ソーサ、マーク・マグワイア等の選手達はドーピングの疑惑があっただけで殿堂入りを逃しています。

ドーピングの規約違反とは何でしょうか?

11のアンチ・ドーピング規則違反

WADA(世界アンチドーピング機構)が定める11の規約違反定義です。

  1. 採取した尿や血液に禁止物質が存在すること

  2. 禁止物質・禁止方法の使用または使用を企てること

  3. ドーピング検査を拒否または避けること

  4. 居場所情報関連の義務を果たさないこと
    ※あらかじめ指定されたアスリートは、自身の居場所情報を専用のシステムを通して提出、更新する必要があります

  5. ドーピング・コントロールを妨害または妨害しようとすること
    ※ドーピング・コントロールとは、ドーピング検査の一連の流れのことを指します

  6. 正当な理由なく禁止物質・禁止方法を持っていること

  7. 禁止物質・禁止方法を不正に取引し、入手しようとすること

  8. アスリートに対して禁止物質・禁止方法を使用または使用を企てること

  9. アンチ・ドーピング規則違反を手伝い、促し、共謀し、関与する、または関与を企てること

  10. アンチ・ドーピング規則違反に関与していた人とスポーツの場で関係を持つこと

  11. ドーピングに関する通報者を阻止したり、通報に対して報復すること
    ※「報復」とは通報する本人、その家族、友人の身体、精神、経済的利益を脅かす行為

当然競技や団体によってWADA管轄のルールに当てはまらないことがあり、UFCでは昨年末までこのルールに沿っておこない、今年からは別の団体で検査をしていますが、基本的には変わりません。

RIZINですと試合会場でタイトルマッチとランダムチョイスで選ばれて採尿検査をしているようです。

僕が金ちゃんのyoutubeやdropkickの配信で今回の件について「ブラックに近いグレー」と言っているのは、6,7の項目に当てはまり、尚且つ注射や点滴はドクターがおこなっても量や成分の提出が義務付けられている為、WADAルールではアウトだけど、この団体ではセーフなだけという意味でグレーとしているだけです。使っている云々は関係ないです。

当然意図しないことで摂取してしまうケースもあるので普段から摂取している薬や体調崩したときの薬にも気を配る必要があります。

どの薬ならOK?

うっかりドーピングを防ぐために日本スポーツ協会から毎年使用可能な薬のリストが出されています。僕らコーチやアスリート達はスマホにデータとして持っておくと便利です。コチラのサイトからPDFダウンロード可能です。

こちらがリストです。12/31までのリストなので、来年は変わる可能性があります。

薬の名前から検索される方はコチラから。

後、スポーツファーマシストという使用可能薬のアドバイスをしてくれる専門の薬剤師さんもいて下記で検索出来ます。

例えば花粉症がひどいからお薬処方されたが「これって禁止成分入ってないかな?」と通常の医師に聞いても詳しくないことがあります。エフェドリン関連なら直ぐに分かりますが、年ごとに修正入って去年まではOKだったけど今年からは駄目ですよなんてケースもありますので、専門の薬剤師さんに確認して代替え薬を提案してもらうのは必須です。

僕のnoteを見ている方は格闘技ファンの方が多いと思いますが、他競技ってどれくらい検査してるのかわざわざ確認する方は少ないと思います。

オリンピック競技ってどうなの?

JADAには過去20年近くの登録競技団体の検査結果が載ってます。

その中から一部の抜粋を下記に載せます。小さくて分かりにくいですが、

昨年度、今年の3/31までJADA管轄で
・尿検査が5677件
・血液検査が1031件
・トータルで6708件
でした。

左のICTが競技会場、右のOOCTは会場外の抜き打ち

左側のICTが競技会場で受けたもので、水泳、陸上が特に多くて柔道やレスリングが100件弱です。RIZINドクターの記者会見で競技会場で採血は難しいとの言及がありましたが、水泳でさえバンバン取られており、国際大会は尿と比べて40%くらいの件数なのが見てとれますし、対人競技のレスリングもそこそこあります。

右側のOOCTは競技会場外での検査でいわゆる抜き打ち検査というので陸上競技は血液ドーピングも横行しているからか、採血の方が多いくらいです。

因みにMMAおそらくUFCで、JADAの検査員派遣しているので10件あったようです。殆ど平良選手と中村倫也だと思います。

ではUFCのアンチドーピングへの取り組みはどのようにしているのでしょうか?

UFCのアンチドーピング


こちらのサイトにすべて書かれていますが素晴らしいです。

ポリシー、禁止事項、リスト等5,6か国語、勿論日本語での文章も翻訳されてます。ニュースのところでは誰が違反し、どの様な成分や経路によって制裁期間がどれくらいなのか記載されており、historyのところでは誰が何年に何回テスト受けたのか全て記載があります。

そりゃ莫大なお金かかるよねと。

うっかりドーピング防ぐ為にも薬と共にサプリメントは下記のマーク入ってる会社のを選んでねと記載があります。有名なところではインフォームド・チョイスですかね。日本の大手メーカーに記載されているのですが第三者機関で成分チェックしています。

ファイターのうっかりドーピングではウスマン・ヌルマゴメドフは薬の申請が通ってなかったとのことで半年の処分とベルトも保持したままでした。

ショーン・オマリーは『オスタリン』という成分が検出されて、汚染サプリメントからでたとのことで謹慎期間は僅か6ヶ月でした。

オスタリン?

あれ、どっかで聞いたことあるような、、、、

そうです、

オスタリンは、あのSARMs(選択的アンドロゲン受容体)の一つで、蛋白同化薬になります。全ての細胞に効いてしまう一般的なステロイドとは異なり、筋肉細胞骨に特異的に作用するアレですね。

なので、汚染サプリメントなのか、SARMs使ってたかは謎です。

海外でもオスタリン出てるファイター多いんですよね。

サプリメント摂取も気をつけましょう。

最後に

僕自身は格闘技含め担当するスポーツをあくまでも競技として捉えているので、如何に安全かつ公平にパフォーマンスを向上させていけるかをずっと模索してアスリート達に提供しているので、仮にバスケしてて身長伸ばしたいから成長ホルモン入れたらどうなんだろ?とか、サッカーでスタミナ上げたいだのリーグ戦での回復早めたいからEPO入れようかとか、指導者として逃げてて弱いなと思ってしまうんです。

なのでこれからも選手にはアンチドーピングの精神でサポートしていきます。

あっ、僕自身はアラフィフになってきて男性ホルモン落ちてきてる気がするのでテストステロン入れるかもしれませんがww

余談ですが

10年くらい前のUFC日本大会のことです。確か水垣氏がブライアン・キャラウェイ時のかな、当時指導していた馬王子こと加藤忠治という元ATT(あそこのジムにいった初めての日本人だと思います)の選手がアレックス・カサレスと仲良くてアテンドしてたんです。

僕の右がカサレスで水垣の横が加藤忠治

カサレスはカンギョンホと試合して勝ったんですが、試合後ホテルで会ったときに女の子を部屋に連れ込んでた後で、明らかにマ〇ファナ臭したので

『ドーピングテスト大丈夫か?』

と聞いたら試合後に入れてるから大丈夫だと豪語してたのに、きっちり検査でマ〇ファナ検出されてノーコンテストになってたの笑いました。


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