助走をつけるようなギターのイントロ、
待って待って。
やがて一気に、海へとダイブ。
青い世界で、見えるのは気泡と音と。
そういや、音は見えない波なんだっけ。
Tr.13『潜水』。
よくもまあ、こんな海ん中をイメージできる音を作れるもんだと思う。
水圧の抵抗感とか、波に揉まれる感じとか、大きな力に全身が包まれてたゆたう感覚とか。
そしてどうしようもなく、音が良い。
サビに入る前の"ぐいんっ"と引き込むグルーヴ感。
<どんな色をしているの?どんな味がするんだ?人がいつか飛び込む海の底はさあ>
疾走感溢れるサビは揺れて楽しむ。
イントロのギターはメインメロディっぽいけど、それを支えるドラム・ベースがぐいんぐいんと音楽を引っ張っていく。
緩急が極端。
<もう おやすみ>という歌詞とともに、ミドルテンポに戻る。
1度目はすっと入ったドラムも、2度目はエネルギッシュさを増して、躍動感が上がる。
叩かれる鼓音に合わせて体を揺らすのが楽しい。
<どんな色をしているの?どんな味がするんだ?人がいつか飛び込む海の底はさあ>
2度目のサビを終えたら、<優しい人をさがすのはやめたよ 飛び込む海はきみのもの>とラスサビの前の最後の助走。
エネルギーを放出するような、エネルギッシュな演奏が気持ちいい。
3分17秒と他の曲と比べて短いが、ロックゆえに十分だ。
後奏、荒波に飛び込んだようなセッションが格好いい。
ライブでよく演奏される印象だが、なるほど、3楽器の格好よさがよく見える曲だからかもしれない。
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<人がいつか飛び込む海の底>という歌詞に、そこはかとない終末観・爽やかな絶望感を感じる。
人は、いつか、海に飛び込んで終わる。
その前提の上、爽やかな音楽にこういう歌詞が乗っている事に心をくすぐられる。
そして、最後に<飛び込む海はきみのもの>と、人(全体)からきみ(個)へ視点がミニマムになっていく。
<きみのもの>と言われた直後に、ダイブ感のあるラスサビが来るのでアドレナリンの海に頭を突っ込まれた気分です。
Things Discovered 巻末インタビューにて
「ネタが不完全な状態でも、とりあえず作る」(山口)
「綺麗に整えたくなかったんですよね。都市開発するんじゃなくて、開発されてないスラム街も残してジオラマにするみたいな」(波多野)
というやり取りがあったが、『潜水』はおそらく完全な状態だし、都市開発されてる方の曲。笑
People In The Boxには海が登場する曲が他にもありますが、その中でも『潜水』はノリやすくて、格好良くて、ロックだと思う。