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東京

国や都市、土地の名が冠された12曲。
場所をテーマとした、コンセプト・アルバム…に思えるが、おそらく今回は関係ない。

『Ghost Apple』は、月曜日~日曜日の各曜日(と、男女。自己解釈に過ぎないが。)に起きた出来事を題材にした、コンセプト・アルバムだった。

『Family Record』も同様に考えてみたが、どうにも曲同士の関連性が見出せない。
そしてFamily Record(家族の記録)という物が何なのか分からない。

はじめは、"家系図"だと思ったのだが、そちらは"Family Tree"という英単語が正しく、"Family Record"については直訳しか出てこなかった。
造語なのかな。

鶏が先か、卵が先か。
曲が先か、タイトルが先か。
最初から国(土地)の名にしようと考えられて作られたのか、後からまとまりを持たせるために場所というテーマが設けられたのか。
考えても答えは無いけれど、色々想像するのは楽しいですね。

頭が悪いので整理から始めます。
まずは各曲の、土地名を明らかにしていこう。
01:東京―(★)都市名。日本の首都。
02:アメリカ―(■)国名。地球の主要国。
03:ベルリン―(★)都市名。ドイツの首都。
04:レテビーチ―(×)存在しない土地。レテとは、ギリシア神話に出て来る黄泉の泉の名で、水を飲むと記憶を忘れる。
05:旧市街―(〇)特定のない場所。
06:ストックホルム―(★)都市名。スウェーデンの首都。
07:リマ―(★)都市名。ペルーの首都。
08:マルタ―(■)国名。地中海の島国。
09:新市街―(〇)特定のない場所。
10:スルツェイ―(★?)アイスランドの無人島。1963年に海底火山の噴火により出現した新島。
11:JFK空港―(★?)アメリカの空港。ニューヨーク市にある。
12:どこでもないところ―(〇)特定のない場所。

タイトルでグループ分けすると、
(★)01,03,06,07,10,11
(■)02,08
(×)04
(〇)05,09,12
となりますが、分けた所で共通点があるかと言うと、そういうわけでも無さそうです。

歌詞の内容について分類。
01:東京―(内)内省的。"美しい"とか"恋"とか、とっつきやすい言葉が使われている。
02:アメリカ―(メ)メッセージ性を感じる。力という物についての怒り。
03:ベルリン―(内)内省的。"友達"への郷愁。
04:レテビーチ―(子)『JFK空港』と同じ世界観?共通するワードが何点かある。
05:旧市街―(話)独立したストーリーがある。
06:ストックホルム―(内)内省的。男女のじゃれ合いを仄めかす。
07:リマ―(メ)メッセージ性を感じる。良くない事が起こっている。
08:マルタ―(メ)これも悲劇の暗喩に聴こえる。
09:新市街―(話)旧市街の対?
10:スルツェイ―(子)"赤ん坊"という歌詞が登場する。これがターニングポイントな気がする。
11:JFK空港―(子)02,07でも"パパ""ママ"といった家族に関する歌詞は出て来ていたが、『JFK空港』での使われ方は、他2曲よりも物語性がある。
他2曲は何かの隠喩として使われている印象だが、『JFK空港』では純粋な、家族としての意味で使われていると思う。
12:どこでもないところ―(子)"Family Record"の主人公は、多分、この曲で歌われている"子供"なんじゃないかなー。

(内)01,03,06
(メ)02,07,08
(話)05,09
(子)04,10,11,12
内省的な曲は、比較的分かりやすいというか、恋愛とか友情といったテーマがうっすら見える。
メッセージ性の強い曲は、怒りや、歴史に関するメッセージが込められていると思う。
物語性のある曲は、言葉通り。
子供をキーワードにしていると考えられる4曲、これには関連性がある。

Familyについて考察。
このCDには、2つの家族が登場すると考察する。
1つは、パパ、ママ、子供の3人で構成された家族。
2つめは、"人類"という大きな家族。
01:東京―(1)
02:アメリカ―(2)
03:ベルリン―(2)
04:レテビーチ―(1)
05:旧市街―(2)
06:ストックホルム―(1)
07:リマ―(2)
08:マルタ―(2)
09:新市街―(2)
10:スルツェイ―(1)
11:JFK空港―(1)
12:どこでもないところ―(1)
あら?
6:6で良い感じにバラけたんじゃない?
主人公については各曲で違ってくると思うのですが、それについては各曲の時に記そうと思います。

『東京』

目覚まし時計が鳴り響く。
決して朝とは限らないけど、目を覚ますという事は"始まる"という事。
世界一周の旅は、この都市から始まる。

青年は出発する。
「きみの大きな 美しい嘘」とは何だろう。
東京という街自体、嘘のような物だって事なのかな。
オシャレなお店や生活をコマーシャルして、東京への憧れを募らせた人々がやってくる。
だけど結局、地方と変わらない生活がそこにあって、東京に住む人々自身も、東京に幻想を抱いている。
でも東京が美しいのは確かだ。
憧れを抱いた人が訪れる表参道の街並み。豊洲の高層マンションの織り成す夜景。東京駅を行き交う人々の営みは美しい。
この青年は東京が好きなのだ。

時計の針のように、規則正しく刻まれるリズム。
そこに乗る、爽やかなギターと歌声。
青年の恋心のように軽やかで、優しい。
伸びやかな歌声と抑え気味のメロディーが気持ちよく噛み合う。

このnoteでは、知識が無いために歌詞の事をつい語ってしまうが、音楽も語るべき所がたくさんある。
爽やかさと優しさと少し切ないギターフレーズが、この考察の難解な作品を"歌詞とかどうでもいっか!"と思わせてくれる。
いや頑張るけど。

「ドアに手が」かかって、開ければそこは東京上空。
堕ちていく彼を煽る強風のように、迫力ある三重奏が重なり合う。
そういえば、『Alice』でも「まっさかさま」に落ちて行きましたね。
彼らにとって、始まるという事はどこかに堕ちて行く事なんでしょうか。


さて、この青年が誰かというと、"子供ができる前のパパ(独身)"だと思われます。
次にこの青年が登場するのは、『レテビーチ』です。
レテが"黄泉の泉"という時点で暗い雰囲気をお察しという感じですが、何かあったんでしょうね。
『東京』こんな爽やかなのに(笑)
まあ、無理矢理物語性を感じようとしているのは自分都合なんですがね。


このCDには「君の自由な感性にとって大切な一枚になりますように」という手書きのメモが添えられていて、とても好きです。
訳わかんないやって投げ出すのも、気持ち悪いなって嫌うのも、素晴らしいなって感動するのも、自由な感性が成せる技だと思います。
そして大切だから、週1でこんな長ったらしい文章を書いてるわけですし、同じように作品を大切にしている人がいるから、読んで貰っているわけですし。
noteのために改めて聴き直しましたが、やっぱりこのCD、名盤でしかないです。
12曲分書くの、とてもワクワクしています。


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小噺
「レテビーチ 場所」でgoogle検索したら、「マルタ共和国」が1番上に出て来ました。
これはPeopleの影響・・・?笑


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参照
http://kazehikiaruki.jugem.jp/?eid=194
レテビーチについて参考にさせて頂きました。
カクテルの話も面白かったです!甘いのが曲に合ってて良いですね。飲みてー!

http://rinmuki.jugem.jp/?eid=125
メモについて参考にさせて頂きました。
7年前、考察を読み漁っていた時に好きだった感想のうちのひとつです。
ワクワクしながらCDを開けましたが、自分のFamily Recordにはこのメモ入ってませんでした。