自由研究には向かない殺人

ホリー・ジャクソン (著)


彼は殺人犯ではないと証明する。
それが、わたしの自由研究。

誰しもが経験し馴染みのある「自由研究」というワードが目を惹くこのタイトル

タイトルだけは面白い残念な駄作なのか、内容も面白い傑作なのか。
大まかなストーリーを見てみましょう

『高校生のピップは自由研究で、5年前に自分の住む町で起きた17歳の少女の失踪事件を調べている。交際相手の少年が彼女を殺害し、自殺したとされていた。その少年と親しかったピップは、彼が犯人だとは信じられず、無実を証明するために、自由研究を口実に警察や新聞記者、関係者たちにインタビューをはじめる』


そう主人公は高校生、しかも女性。たかが高校生が警察の捜査の末に出した結論を覆すことができるのか?
というのが読み始めた頃の感想だ。きっと誰しもそう思うでしょう

しかもミステリ小説にはお決まりの「親愛なる友人である警部」も登場しない


一般人である彼女には警察が捜査で得た情報も当然開示されないし

事件の関係者に話しを聞くのにも「警察」という後ろ盾もないので

相手にされなかったり、途中で話しを切り上げられたりしてしまう。


しかしこの主人公は強い信念を持っていて並大抵のことでは諦めずにひた向きに真実を追いかける。

SNSや法律などを駆使したり、時には違法な事もやったり、めちゃめちゃ危険な場所に乗り込んで行ったりもして情報を集めていく。


徐々に見えてくる事件背景と人物関係につい読みふけってしまった

それは主人公がひたむきに真実を追い求めるからだけではない

主人公は明るくユーモアに長けているという面も持ち合わせている

事件を紐解いていくなかでも笑ってしまうような所があり

個人的に感じた全体像としては

「シリアス7:笑い3」

といったイメージだ。これには個人差があるでしょうがミステリとしてはだいぶ笑い多めには感じた

この「笑い」の要素がデカくどんどんと読み進めてしまう魅力の要因だろう


半面とてもスリリングで緊張感の走る場面も多々ある

警察の後ろ盾もあり、長年の経験を積んできた
ちょっと小太りだが紳士的で優しい口調の名探偵ではない

ただの高校生なのだから

大丈夫か!?とハラハラする場面が多く心配で続きをついつい読んでしまう

そして名探偵が題材になっている時にはあまり見られない高校生ならではの
「友情」なども素晴らしい形で描かれていて思わずぐっと来る場面もある

後半の追い込み部分

ミステリ小説のこの最後の追い込み部分は一気に読みたい!
誰にも邪魔されたくない時間なのはきっと皆さんも同じ事でしょう

この作品もまさに誰にも邪魔されずに一気に読まずにはいられない
素晴らしいできでした。


最近読んだ中ではずば抜けて面白い作品であった

「自由研究には向かない殺人」是非皆さんにも読んでもらいたいですね

ホリー・ジャクソンさんの次回作にも期待しています



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