素敵なプロジェクトと悲惨なプロジェクトとチェリーパイ(3/3)
来る前にネットで色々調べましたが、宮戸島にはあまり食事のできる場所が無いようでした。しかもコロナ禍という事もあり、営業しているかもはっきりしません。そこで一応プランAからプランCまでを用意してきました。
まずは美味しいと評判のプランA。どうやら閉まっているようです。
気を取り直してプランBの場所へ向かいます。
こちらは遊覧船乗り場に併設された食堂で、開いているのは間違いありません。
ところが駐車場が満車で、かなり混んでいる様子。なんとか1台空いたので、そこに停めて食堂へ向かいます。
すると店の前で店員と話し込んでいた女の人が、大きな声で旦那さんらしき人に話しかけました。「ねぇ!結構待つし、中に入ってからも料理が出るまで結構かかるってよ!」
これを聞いて、即車に戻りました。これは時間の無駄です。
ここで食べたいものがあるわけじゃないので、プランCに切り替えます。
ここから松島方向に向かって5分ほど進むと、目の前に「東松島市震災復興伝承館」なる建物がありました。
なんだろう?折角だから見ていくかと車を停めました。
すると見覚えのあるホームがありました。
ここはJR仙石線の旧野蒜駅跡です。
津波で大きな被害を受け、仙石線は山沿いの高い所に移動しました。ここは旧駅舎とホームを震災遺構として残しているのです。
当時、トモダチ作戦で在日米軍が復興支援に協力してくれて、ここ野蒜駅の倒れていた駅名板を、屈強な米兵達がぐいぐい起こしているシーンが良く放送されていました。
今も駅名板は少しひしゃげています。
さっきまで米軍と命懸けで戦っていた頃の遺構を見ていたのに、ここでは同盟国として復興支援に協力してくれた象徴を見て、感慨深いものがありました。
建物の中はパネル展示や映像が流れていました。津波の被害で壊れた券売機も展示されていました。
そうこうしているうちに大分お腹が空きました。
外に出ると、大粒の雨が降り出して本降りになりました。
プランCもダメだと松島で食事になります。昼時の松島なんてすんなりお店に入れるとも思えません。とりあえず車を走らせました。
やがて目的のお店に着きました。
車が1台停まっていて、店の中にぼんやり明かりが見えます。
良かった、開いてた。
入り口のドアに手を掛けると、なんと閉まっています。
えっ?あたりを見回すと、13時から営業と書いてあります。
時計を見ると12時55分でした。じゃぁ5分待とうと話をしていると、お店の方が出て来て、すぐ用意するので入って下さいと言われました。
このお店の名前は「LYNCH」(リンチ)といいます。
変わった名前ですが、映画好きのオーナーが、全ての映画へのリスペクトを込めつつ最も愛した、デビッド・リンチの名を冠したそうです。
中は薄暗く、棚には映画のDVDがぎっしりと並び、ラックには映画のパンフレットがぎっしりと詰まって、至る所に映画のキャラクターや関連グッズが置いてあります。
家内と息子はペペロンチーノ、僕はナシゴレンを頼みます。
ついでにポテトとソーセージの盛り合わせも頼みました。
何気なくテーブルの上を眺めていたら、メニューには載っていなかった「LYNCH CHERRY PIE」の文字が。
ああ、デビッド・リンチと言えばツインピークス、ツインピークスと言えばチェリーパイだよねとこれも注文しました。
このチェリーパイ、パイそのものは小さいですが、滅茶苦茶美味しい。
チェリーもゴロゴロ入っていて、甘酸っぱくて最高です。
こうしてお腹も満たして、例のごとく家族に本来の目的を忘れさせる事に成功しました。
食べ終わって外に出ると、まだ雨は本降りだったので、松島はまた今度という事で、帰宅しました。
家に着くと雨も上がって晴れ間もでてきましたが、風も涼しく夏の終わりを感じました。
おしまい
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