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寝台列車の思い出2
あれは僕が親元を離れて1年目か2年目の年末。帰省の予定は無かったのだけど、高校時代の友人の「正月ぐらい帰って来いよ。みんなで遊ぼうぜ」の声に負けて、急遽帰省する事にしました。
緑の窓口に行って、B寝台を取ろうとしましたが、当然満席。A寝台の上段なら1つだけ空きがありますよと言われ、背に腹は代えられず生まれて初めてA寝台に乗る事になりました。
当時B寝台は4,500円、一方A寝台の上段は9,000円(下段の方が高い)と、倍の料金です。でも設備はあまり変わらないのですが・・・
B寝台との大きな違いは、ベッドの向きです。B寝台は線路と直角方向、A寝台は線路と同じ方向に寝る形になります。
また、寝台の幅と天井までの高さも当然A寝台の方が広くなります。
この時僕が切符を買ったのは、福島から青森までの特急あけぼのでした。
福島に住んでいた訳ではなく、当日は福島の友人の家で遊ぶ予定になっていたからです。
時間は忘れましたが、深夜に福島駅まで送ってもらい、誰もいない深々と冷えるホームから乗り込みました。
前回の記事では、外を見るのが寝台車の楽しみと書きましたが、実はこのA寝台小さなのぞき窓しかないのです。
大きな窓は下段の寝台が占めてしまい、写真の上に小さく見えている楕円形の穴が、上段の窓になります。
中から見るとこんな感じ。
これじゃ外の景色も楽しめません。車内はすでに寝静まっているし、早々に眠る事にしました。
どれぐらい経ったでしょう、列車が停まったようで目が覚めました。
ここはどこだろう?のぞき窓から外を見ると、オレンジ色の光で照らされています。そしてどこかの駅なのですが、駅名を書いた表示板のはるか上まで雪が積もっており、まったくわかりません。
自分の列車から出ているのか、盛んに湯気が立ち上っています。
ライトをバックにこれでもかと静かに雪が降り積もっています。
その中を駅員さんがスノーダンプで一生懸命ホームの雪かきをしています。
恐らく山形県のどこかの駅だったのでしょう。
後にも先にも開放式(個室になっておらず、カーテンで仕切られているだけの寝台)のA寝台に乗ったのはこれだけですが、今でも雪が降る夜にはこの時の風景を思い出します。