プチお出かけ 日本三奇 塩竈
急に美味しい焼き魚が食べたくなりました。
といっても、夜のお店で出て来るようなやつではなく定食的なやつ、それも
チェーン店の焼き魚定食よりはもう少し美味しい程度のものです。
意外とそういうお店は少なく、オフィス街の方にあるのは知っていますがその日は日曜日。日曜日は定休日だし。
ネットで調べると、近隣の塩釜市にある、仲卸市場の中に焼き魚を食べさせてくれるお店があるようです。
我が家からは車で40分程度。行って食べて帰ってくるだけでは勿体ないので、近くで何か見るところは無いかとついでに探しました。
塩釜で有名なのは奥州一の宮の塩釜神社ですが、何回も行っているので今回はパス。すると日本三奇というワードが目に入りました。
ここは聞いた事はあるけど行った事はありません。小さなところみたいだしお手頃そうなので、お昼を食べたついでに寄って来る事にしました。
えーと、メインだった焼き魚ですが・・・・このあたりのブランドである金華サバの定食(1600円)を頂きまして、いや魚は本当に美味しいんですよ。
1600円と聞いて驚く人もいるでしょうが、滅茶苦茶肉厚で脂ものっていて、ご飯が無くても満腹になるぐらい、そんな食べ応えのある金華サバだったんですが、提供されるまで40分待たされたので次はありません。
ちなみにこの塩釜仲卸市場ですが、一般の人でも普通に買い物ができます。新鮮なマグロ(ひがしもの としてブランド化されています)が安く手に入りますし、新鮮なネタを使った海鮮丼なども食べる事ができます。
メインがこれだったのでちょっとがっかりして次の目的地、日本三奇の塩竈へ向かいました。車で5分ぐらいです。
ところで皆さんは日本三奇なるものをご存じでしょうか。
ウィキペディアに日本三大一覧という項目があって、暇な時はよく眺めています。
日本三景とか三大暴れ川とか三大仇討ちとか見ていて飽きませんが、そこには載っていないのです。
日本三奇とは、兵庫県の高砂市にある生石神社と鹿児島県霧島神宮の天逆鉾そして塩竈を指すそうです。
近くのパーキングに車を停めて歩いて行くと鳥居が見えてきました。
塩竈のある御釜神社です。
塩竈は建物の中にあって、見えないようになっています。
社務所で拝観料100円を払うと見せてもらえるのです。
まずはお参りをして塩竈を見たいと告げて100円を払いました。
写真をお見せしたいところですが、撮影禁止なのでお見せできません。
御釜神社のホームページの写真を貼っておきます。
これが四口の神釜といって、塩を獲るために海水を煮る釜です。
海水が入っているので、鉄が錆びて水が赤くなっています。
屋根も無いので雨風に晒されて太陽も当たるのに、水があふれたり枯れる事が無いと言われていて、変事がある時は水の色が変わると伝わっています。
東日本大震災が起こる前も色が変わったとか。
塩釜は古来から製塩が盛んな地で、この神釜(塩竈)が地名の由来です。
昔ながらの海水をかけた海藻を焼いて作る藻塩がお土産屋さんで売られていたりします。
百人一首にもある藤原定家の有名な歌にも藻塩がでてきます。
他にも一人の女性が一緒に拝観していたので、神社の人にあれこれ質問をするのも悪いかと早々に切り上げました。
御朱印を貰って帰ろうとしたのですが、先ほど案内してくれた社務所の方が、ここは紙をお渡しして貼るやつになりますというので、それで構いませんと伝えると、塩釜神社に行けばここの御朱印も書いて貰えますよと言われたので、急遽行く予定の無かった塩釜神社へ向かう事にしました。
写真を良く見ていただくと判るのですが、向かって左に右宮、右に左宮の額があります。
左宮は武甕槌神、右宮は経津主神が祀られています。どちらも軍の神様です。
別宮に祀られているのが塩釜神社の主祭神である鹽土老翁神です。人々に塩づくりの方法を教えたとされている神様です。
神話にはあちこちに顔を出している神様で、有名なところでは海彦山彦の話にも登場します。釣り針を失くして困っている山彦の前に現れるのがこの神様です。
無事御朱印を貰って、ぶらぶらと境内を歩いて駐車場に向かっていると、古ぼけた博物館が見えてきました。
なんとなく小学校の遠足で来たような記憶がありましたが、家内は入った事が無くもちろん息子もありません。
恐らくこの先も一生入る事は無いだろうから、ここで入っておこうと入る事にしました。
中は撮影禁止で、案の定展示物も古くてしょぼいものでしたが、こういう施設にありがちな5分ぐらいの映像を見るモニタがありました。
折角なので椅子に座って見たのですが、内容は製塩についてでさっき見た御釜神社の神事でした。
それによると、毎年7月に船を仕立てて海水を汲み、御釜神社でみた大きな竈で海水を煮て塩を作るのだそうです。そしてその塩を神前にお供えするのです。
その際に、あの四口の神釜に組んできた海水を入れるそうです。それは古い海水に新しい海水を混ぜる事で、生命が受け継がれていることと若返ることを表しているのだとか。
さほど期待しないで入った博物館でしたが、おかげで釜の謎も解けてすっきりしたのでした。
おしまい