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お化け屋敷に泊まったのかもしれない
かつて昭和のレジャーブームの中、福島県郡山市の磐梯熱海温泉に、「磐梯グランドホテル」というレジャーホテルがありました。
大きなホールを備えており、当時そうだったようにステージではマジックショーや金粉ショーなど様々な出し物が行われ、宿泊客はこぞってショーを見ては楽しんでいました。
このホテルに僕は3回泊まった事があります。
うち2回は小学生の頃で、2回目の時は叔母が遊びに来たのでそれに合わせて行ったものです。
このホテルは大きく、お風呂はもちろん様々な施設がありましたが、ゲームコーナーなども充実していました。
ホテルにお泊り=ゲームコーナーでゲーム三昧だった僕は、夕食を終えると早速ゲームコーナーに繰り出しました。
すると夏休み期間中だったからでしょうか、なんとゲームコーナーと同じフロアにある催事場では、お化け屋敷が開催されていました。
いわゆる一般的なお化け屋敷とは異なり、2人乗り(4人乗りだったかも)のトロッコのようなものに乗って進んでいくやつです。
早速叔母に頼み込んで一緒に入る事にしました。
お客さんはおらず、入ろうとしているのは僕たちだけでした。
今までたくさんのお化け屋敷に入ってきましたが、ほとんどがあの暗い通路を歩いて、所々にお墓や棺桶や獄門台があって、人形が飛び出してきたり目が光ったりというアレでしたが、ここだけは全く異質のもので、だからこそ何十年もたった今でも覚えているのです。
と言っても覚えているのは2つの仕掛けだけです。
あとは覚えていないところをみると、よっぽどその2つのインパクトが強かったのでしょう。
さて叔母と二人でトロッコに乗り込み、ゆっくりと垂れ幕をくぐって真っ暗な中に入っていきます。
トロッコはレールの上をガタゴトとゆっくり進んで行きます。
何が飛び出てくるのか、手摺をギュっと握りしめて固くなっていましたが、
特に何かが出て来るわけではありません。
距離を稼ぐ為にレールは蛇行しているようですが、本当に真っ暗で何も見えないし、どう進んでいるのかもわかりません。
すると突然、全くの突然に、目の前に丸く赤い光りと「チリンチリンチリンチリン」という大音響が鳴り響き驚きました。
丸い灯りは左右で点滅しています。
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そう、踏切の警報機です。
黄色と黒の縞々のばってんの標識も赤い光の上にボーっと見えています。
「踏切だよっ!」そう言いながら、何が起こるのか身構えていると、トロッコはゆっくりと警報機を通り過ぎて、なんと停まってしまいました。
「チリンチリンチリンチリン」相変わらず大音響で警報音が鳴り響いています。
すると突然右側の暗闇の上の方に、恐ろしく明るい丸いライトが点きました。
まぶしい、と思う間もなく「ファンファンファンファーン」と警笛が鳴り響きます。
同時に丸いライトがもの凄い速さで近づいてきて「ガタンガタン」というレールのジョイント音も聞こえます。
そう、電車が突っ込んで来る(ように見える)のです。
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「うわぁー!!!!」思わず声をあげますが、トロッコは動きません。
そして電車に轢かれる!と思った瞬間、ライトは消えてもの凄い風が顔に当たりました。
「ぐわーん!ガタタタンガタタン」と電車が通過するような音が大音量で聞こえたと思ったら、一切の灯りと音が消えて、静寂の中をゆっくりとトロッコが動き出しました。
小学生だった僕は、本当にぶつかると思ったので心臓がバクバクいっていたのを覚えています。
その後の仕掛けは1つしか覚えていません。
最後の方で同じように暗闇の中、急に目の前に横向きのダンプカー(の下回り)が現れ「ブロロロロー」と走っています。
そこだけ照明が当たっているのですが、やがて並走する形になり、自分の横にダンプカーがいる状態になりました。
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やたらとエンジン音が鳴り響いて、その音だけでも怖いのですが、それがみるみる近づいてきて(幅寄せされている感じ)、巨大なタイヤがぶつかる!という瞬間に、またもや真っ暗になり音もしなくなりました。
そして垂れ幕をくぐると明るい催事場に戻りました。
ただのお化け屋敷だと思って入ったわけですが、これは何と言えばいいのでしょう。
恐怖体験館とでもいうのでしょうか、今思い出して不思議なお化け屋敷でした。
ここに行った時に父親に何というホテルなのか聞いたところ、「磐光グランドホテル」と言われたのを覚えていて、ずっとそれが正式名称だと思っていました。
この記事を書くにあたって念のためにと調べたところ、ウィキペディアにこんな事が書いてありました。
以下引用はウィキペディアより
1965年にホテル本館(鉄筋コンクリート4階建て)が完成、その後新館・別館などが次々に建設され、1968年5月には演芸娯楽施設や食堂などを擁するレジャー施設磐光パラダイス(鉄筋コンクリート3階建て)、同年9月にはホテルニュー磐光が隣接地に落成した。同社はここまでの段階で当時で約10億円規模の資本を投入し、その結果、客室220室・収容可能人数1,300人の豪華ホテルが誕生した。
磐光パラダイスは、キャバレー・温水プール・映画館・こどもの楽園などを一体化し、地方としては当時珍しかった大型総合レジャー施設に加えてヌーディストクラブをはじめとしたユニークなショーを売り物としており、週刊誌等のマスメディアでしばしば話題となっていた。
1969年2月5日21時10分頃、ホテル1階の大広間において、当時の当ホテルの目玉イベントであった金粉ショーの小道具として用意されていたベンジンを浸した松明に石油ストーブの火が引火した。初期消火の失敗や折からの強風、空気の乾燥、さらには内装に燃えやすい新建材を使用していたこと、また階段室に防火扉が設置されておらず、防火シャッターも作動しないなど、防火区画が実質的に皆無の状態であったことなどから、火はホテルと磐光パラダイスほか全体に燃え広がった。
最終的には、死者31人、負傷者41人、焼損面積15,511m2という大惨事となった。
ホテルは全て取り壊され、名古屋鉄道(名鉄)により買収されたうえで「磐梯グランドホテル」として再建。また、火元となり焼け落ちた娯楽場磐光パラダイスも再建されて営業を続けていた。
あのー、お化け屋敷よりこっちの方が怖いんですけど・・・・
おしまい
この記事は noteで文化祭【お化け屋敷コーナー】に参加しています
#noteで文化祭 ※お化け屋敷