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蕎麦と甘味と歌枕

最近出かけていなかったので、三連休の中日である昨日、ドライブがてら遠出をしてきました。
先日買った通勤用の車は、僕以外誰も乗った事が無かったので、家族の初乗車も兼ねてのお出かけです。

反時計回りでぐるりと赤丸の地点に寄っていきます

最初に向かったのは、宮城県北部にある登米市とめし米山よねやまという町です。
これと言って何があるわけでもありませんが、先日サンドウィッチマンがやっているローカル番組でお蕎麦屋さんを紹介していたので、何となく行ってみる事にしました。

2時間ぐらいかかるかと踏んでいたのですが、思いのほかスムーズに進み、
1時間ほどで最寄りのインターチェンジに着いてしまいました。
まだ10時過ぎ。さすがにお店は空いていないだろうと、しばらく走り続けて時間調整をしました。
そろそろ引き返そうとUターンしたのですが、今度は思いのほか進みが悪く、結局お店には11時40分という、すっかり混みあう時間に到着しました。

お蕎麦屋さん

それでも待ちの2組目に入る事ができ、10分程で席に案内されました。
外は結構冷え込んでいましたが、暖かい蕎麦の気分では無かったので、
イカゲソの板蕎麦を注文、家内と息子は鴨出汁板蕎麦を注文しました。

15分ほどして注文した品が到着しました。
そう、到着と書いたのは、蒸気機関車が運んでくるからなのです。
客が注文の品を降ろすと、蒸気機関車はバックで戻っていきます。

こんな感じでSLが運んできます
鴨出汁板蕎麦到着
ゲソ天板蕎麦

お蕎麦は手打ちですが、格別美味しいとかいうわけではありません。
料金も結構なお値段です。板蕎麦の割りには量も・・・
まぁ、ここは話題作りという事で。

お客さんが店員さんに、随分混んでるねと話しかけたら、TVの放送があってから連日こんな感じですと言っていました。
TVの力はすごいな。

今にも降り出しそうな曇天の下、次の目的地に向かいます。
次はここから30分程のところにある、美里町みさとまちです。
そこにある真言宗のお寺、松景院しょうけいいんにお参りします。

正面の建物の中に世界最大の塑像があります

ここにある不動尊は、世界最大の塑像(粘土などをこねて作った像)だそうです。
酉年には胎内巡りが開帳されます。5年前の開帳の時にも来た事があります。
その時に御朱印を貰わなかったので、今回は御朱印を貰うためにきました。

あちこちに小さいお不動様が

ご本尊の不動明王は撮影不可なので、ホームページのキャプチャをどうぞ。

松景院のホームページより
高さ7m 重さ40tもあるそうです

お参りも済ませて無事に御朱印も頂いたので、次なる目的地大崎市古川ふるかわに向かいます。
ここは2006年までは古川市でしたが、近隣の町と合併して大崎市になりました。
ここに古くからある酒造店が、蔵を改装して醸室かむろという商業施設を作りました。
それぞれの蔵に飲食店などが入っているのです。

蔵をはじめ昔の母屋など10棟が敷地内にあります
釜神様。宮城県北部・岩手県南部の民家の台所等にあるという木彫りの面
竈の神様という事で、仙台ではケデガミ様と呼びます

ここで甘い物でも食べようという魂胆です。
その中にあるpoisson Bleu CAFÉ’(ポワッソン ブルーカフェ)という店に入りました。

反対側にはテイクアウト専門の売り場があります

かなり混んでいましたが、幸い待つことなく着席できました。
店内はうまい事改装してあって、レトロ感たっぷりです。

二階もありました

メニューを見ると色々目移りしてしまいますが、ベイクドチーズケーキのキャラメルソースがけとかいうやつと、コーヒーフロートにしました。
息子はモンブランとシロップを入れると色が変わるとかいう、こじゃれた飲み物(名前は忘れました)、家内は紅芋の生絞りベイクドチーズケーキとコーヒーです。

本日のケーキ
大人のコーヒーフロート
喉までクリームソーダと出かかったのに、コーヒーフロートを注文してしまいました
息子の頼んだ奴。美味そう。
奥のテーブルの人が見切れたので黒消ししました。

いや美味しいな。これはまた来なくては。
摂取カロリーを考えると恐ろしいですが、それは考えない事として、今日の最終目的地へ歩いて行きます。
というより、この施設の隣にあります。

それは緒絶橋おだえばしという、小さな橋です。

この数mの小さな橋が、緒絶橋
後ろの建物は、さっきまでいた醸室です

以前、地元の歌枕の地について記事を書きました。

この緒絶橋も歌枕なのです。
日本伝承大鑑によると謂れいわれはこんな感じです。

緒絶橋は『万葉集』にもその名が記されている、陸奥国の歌枕である。
嵯峨天皇の皇子が東征のために陸奥国へ赴いたが、その恋人であった白玉姫は余りの恋しさに皇子の後を追うように陸奥へ向かった。
ところがこの地に辿り着いてみたが、皇子の行方は掴めない。意気消沈した姫はそのまま川に身投げをして亡くなってしまった。
土地の者は、姫の悲恋を哀れんで“姫が命(玉の緒)を絶った川”という意味で緒絶川と呼ぶようになったという。
歌枕としての緒絶橋は、白玉姫の伝承をあやかって“悲恋”や“叶わぬ恋”を暗示するものとなっている。
最も有名な歌は、藤原道雅の「みちのくの をだえの橋や 是ならん ふみみふまずみ こころまどはす」という悲恋の内容である。
また松尾芭蕉がこの地を訪れようとしたが、姉歯の松同様、道を誤って辿り着けなかったことが『奥の細道』に記されている。

日本伝承大鑑より

というわけで、歌の中に「緒絶橋」が出てきたら、悲しい恋の歌なのです。
上の引用にある藤原道雅の歌の意味はこんな感じ。

みちのくにある緒絶えの橋というのはこれなのであろう。踏み渡ったり渡らなかったり(文を見たり見なかったり)、いつ踏み抜いてしまうかわからない橋を、踏んだり踏まなかったり、ビクビクしながら渡るようなものだ。

文と踏みを掛けているそうです。

大きな鯉がたくさん泳いでいました

この柳は風情がありますが、道路の拡張工事に伴って間もなく伐られるそうです。
三代目らしいのですが、工事後に4代目が植えられるとの事。

時間も15時半になり、そろそろ帰らなければいけません。

この近辺は道の駅がたくさんあるのですが、今日は途中で何回か道の駅に寄っていました。
あちこちで新鮮な野菜を買っていたので、今日の晩ご飯は野菜中心になりそうです。

おしまい

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