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オートロードのはなし

こんにちは。

氷の代わりに凍ったレモンが入ったレモンサワーが好きすぎるぼくです。

あのサワーどうしてあそこまで旨いかね。半永久的に飲み続けられるもの。マジで今から元号変わるまで一気飲みしてやろうかな。本当に最高だからよ。

何が最高って普通のレモンサワーって時間経過とともに氷が溶けて薄くなるでしょ。ちょっとお話ししてたら水が膜張っちゃってさ。つまり最低…

それに対して凍ったレモンのレモンサワーよ、時間経過とともに加速度的にレモンの風味が増していく。どんどん旨くなっていく。旨さの無限回路。つまり最強!

凍ったレモン凄くないですか?

もう凍ったレモンになりたいよ!!

あ…
急に市川美織ちゃんみたいなこと言ってしまった。すみません、レモンサワーが好きすぎて気が動転してしまいました。

なんて具合に冒頭からアツくなるほど好きなこの凍ったレモンのレモンサワー。

この飲み物がまさかぼくをあんな旅路に導くことになるなんて…


今から数えて2週間ほど前のことでしょうか、ぼくは勤め先の本社のある大阪府に来ておりました。

天下の台所とかつて称されたその地は日本の流通の中心地として栄え、独自の食文化や人情味溢れる雰囲気も相まって、今や国内のみならず海外からの観光客も絶えない日本の人気観光地としても知られています。

そんな大阪本社に月一で通うのがぼくです。
この出張をぼくは大阪メンスと呼んでます。

そこで恒例となっているのが出張初日に待っている飲み会。歳の近い本社の方々と親睦も兼ねて酒を酌み交わすお楽しみ行事です。

その日も定時に仕事は終了。あとは飲み会を残すのみとなり、ぼくはオフィスチェアを回転させつつ幾ばくかの空き時間を愉しんでおりました。大阪の椅子は回り出すと止まらないので最高です。

して、15分もすると社員の皆さんはさささと帰り出すので、その波に乗るように僕も退社。「おつかれす」と言い残し会社をあとにしました。

この日の飲み屋は会社近くにあるシンプル居酒屋。駅前に前々からあるのは知っていながら初めて来ました。マジで普通の居酒屋すぎて興奮しちゃう。掘りごたつ最高!

あ、そういえば3年近く毎月毎月大阪に来ているのにお好み焼きとかたこ焼きとか一切食った覚えがない。というか食ってない。なんでや!

と、そんな怒りとともに酒を煽ります。
まずはビール。僕が大好きなジョッキが凍ってるタイプのキンッキンに冷えたビールや!おかわりしてもジョッキが凍ってやがらぁ…まじで飲み甲斐ある!グビグビや!

して、飲み会中はポケモンGOの話題で盛り上がって最高でした。ぼくは長らくサボっていたこともあり「君は戦力にならない」とみんなに幾度か言われブチギレました。ぼくがカイリューなら迷わずげきりんぶっかますとこです。

そのあとは計3杯ほどビールを飲み、ふとメニューに目をやると「氷がわりに凍ったレモン!最強最高レモンサワー」の文字が目に飛び込んできました。ぼくは反射的に店員を呼びます。

そして堂々登場したのが四つ切りのレモンがガッツリ入ったレモンサワー。マジで最高。思い出しただけで頭の毛穴開いてきたわ。

それを飲み、おかわり、おかわり、おかわり、おかわ、おか、お、お、おわり、お、おわ…

そこからは走馬灯。めちゃめちゃ飲んだ。だから記憶もほぼほぼないのです。

唯一記憶にあるのは最強最高レモンサワーに付き合った先輩がガチで潰れてたので鼻の穴に指突っ込んでちいちゃい電気アンマ炸裂させてあげたことくらい。とても笑った。


ぼくはふと気付くと駅のホームで寝てしまっていました。やばい!終電終わる!と思って辺りを見回すと既にホテルの最寄駅でした。どうやら帰りの経路が一緒の先輩が強制下車させてくれたようです。

「おお神よ…!」と最高な先輩にひと拝み。安堵のとき。するとすかさず強烈な吐き気が。

おぼええええええええ!!!

完全に吐きました。めちゃスッキリ。
これでまた歩き出せる!と失恋を吹っ切った女子みたいな心境。ザ・スッキリ。ぼくは椅子から立ち上がると改札を目指しました。そこからは記憶がありません。

次に気がつくと地下鉄の階段出口を抜けた道端で座り込んでいました。ああ、これはダメだ。ホテルまで50メートル、無理だ、寝よう。ぼくは横になって道路で寝ました。

少しすると「お兄さん、お兄さん!」と声を掛けられました。

お巡りさんでした。

通報があって見に来てくれたらしく、この時点で2人の手を煩わせていることに謎の罪悪感を感じたぼくは「大丈夫です」を連発。するとここで再び吐き気が。

おっぼええ!!ぼえ!!

完全に吐きました。二口ゲロが出ました。一口ゲロは知ってますが二口とは…
ぼくは朦朧としながらも「そこのコンビニまでで大丈夫なんで…」とお巡りさんに別れを告げお茶2本を買ってホテルに向かいました。

受付を済ませ部屋に入ると着衣していることに嫌気がさし、全裸になって寝ました。ただ眠りが浅い。気持ち悪くて何度も目が覚めてしまう。辛くて少し泣きそうでしたね。泣いたかもしれません。

そして朝6時、ピークに達した吐き気が。

ぼえええええ!ぼえええええ!

完全に吐きました。ホテルのトイレで人目を気にしていないこともあってかこれまでとは勢いが違いました。
寝る前に飲んでいたほうじ茶ラテが決壊したダムの如く溢れ出しました。薄味でした。ほうじ茶ラテが嫌いになりそうです。

その後は7時半くらいまで再び就寝。8時にロビーで上司と待ち合わせてから出社するので手早く身支度を済ませます。

気持ち悪さを洗い流すようにように熱いシャワーを浴びていると再び吐き気が。

おっほ!おっほ!ぼえ!ぼえええ!

完全に吐きました。起床後に飲んでいた緑茶が決壊したダムの如く溢れ出しました。
緑茶を嫌いになりたくないので「ほうじ茶ラテ…」と小声で呟きました。

風呂から出て髪を乾かしていると突如として尋常ではない倦怠感に襲われ、5分ほど動けなくなってしまいました。

「こんな辛いならいっそ…」と絶望感まで顔を出してきたのですが、『8時にロビー』を守れないと更なる地獄が待っているので急いで部屋を飛び出しました。

エレベーターを待っていると段々と気持ち悪くなってきます。しかし部屋に戻る時間もなく。そわそわしていると自動販売機が目に飛び込んできました。それと同時に吐き気が。(カパッ)

おぼおおおっ!

完全に吐きました。自動販売機の脇のゴミ箱の蓋を開けて吐きました。
そのとき、僕は気付いてしまいました。ゴミ箱からタバコの吸い殻の臭いがしたことに。ぼくの泊まったのは禁煙室、つまり禁煙フロアなのです。

そう、つまりルールを守らず空き缶に吸い殻を捨てて部屋でタバコを吸ってる奴がいる。そう思うと憤りを感じずにはいられません…

おい!
ルール守れや!常識ねぇのか!?出てけ!!

ぼくが言えたことではありませんがね。

その後、なんとか8時にロビーに到着したぼくは上司とともに会社へ向かいます。約30分の電車通勤は地獄のようでした。
人混みと揺れる電車とが相まって一点を見つめることしかできません。キツイです。

なんとか会社の最寄駅に着いたぼく。すぐさま上司に断りを入れ、トイレに駆け込みました。二日酔いでゲロを吐くとバレたら怒られる気がしたので余裕な面持ちで腹をさすりつつトイレへ。

便器の中で揺らぐ水面を見ていると吐き気が。

おぼぼぼおおおお!!ぼええええ!!

完全に吐きました。良質なローションのようなとろみのある液体が決壊したダムの如く溢れ出しました。

なぜ良質なローションと分かったのかというと、便器に直でいったのではなく、一度手を経由させて吐いたのです。
昔から『ミミズに小便をかけるとチンコが腫れる』と云いますが、駅のトイレに直で吐いたらめちゃ汚い菌がゲロの滝を鯉の如く登ってやって来る気がしたのです。怖かったんです。

ぼくは吐き終わると汚れてしまった左手が触れないように右肩だけリュックを背負い個室トイレを出ました。

すると隣の個室が清掃中でふと目をやると便器が吐瀉物まみれになっていたのです。これはもしや…

(おぼぼぼおおおお!ぼえええええ!)

もしかしたらぼくが吐いたのかもしれません。ただ違った場合、他人のゲロの十字架をぼくが背負うことになる。そんなのは許せない。
「きっとぼくじゃない!」きっとぼくのものではないでしょう。

会社に着くと先に到着していた上司に「顔がやけに青白いけど大丈夫か?」と言われたので寒かったから、の一点張りで通しました。実際に寒かったのでこれで良いのです。

ふと周りを見ると昨日飲んでいた皆さんは完全に二日酔いで寝ていました。所帯持ちのあの方たちはぼく以上の地獄を味わったのかもしれませんがそれはまた別のお話…

そのあと朝礼やら掃除やらを終えると、ぼくの出席しない会議で役職持ちの皆さんは一斉にいなくなったのでその隙にトイレへ。
ひと息つくと吐き気が。

しゃあああああああ…

完全に吐きました。吐いている音を聞かれたくなかったので完全に無音で。
水が跳ねる音すらも聞かれるまいと、手で緩衝させて静かに静かに吐きました。

そしてこれが最後の嘔吐なのだと悟りました。

その後は特に吐き気をもよおすこともなく、慎ましく業務を終え帰路につくのでした。

これがぼくの嘔吐ロード。
短いようで長い旅路。

凍ったレモンの先にあるすっぱいすっぱい物語。


画像は水面です。

では!

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