PERCY STOREへ繰り出そう!
こんにちは。
「おいお前!食物繊維ってなんだ!?この商品に入ってる食物繊維って書いてあるこれだよ!俺はなぁ!猫が毛玉吐いてんの見たらイライラするんだよ!しかもここ見てみろ『食物繊維た~~っぷり!』って書いてあるだろ!そんなに繊維食べさせて人間の俺が毛玉吐いたらどうすんだ!説明しろ!」
「え~と、、、胃の中で毛玉になるということはないんじゃないかと思うのですが。実例もありませんし。それに食物繊維というのは体内に吸収されない第六の栄養素とも呼ばれるものでして、体に良いものなんですよ。よく知られた効果でいうと腸内環境を整えるというものがあります。詳しく説明すると昆布などの海草類に含まれる水溶性の食物繊維は小腸で栄養の吸収や食後の血糖値の上昇を緩やかにする効果があるんです。血中コレステロール値を低下させる、高血圧を予防するという効果も期待できますよ。あと食物繊維は肥満予防にもなるので糖尿病、脂質異常症、高血圧、動脈硬化などの生活習慣病の予防にも向いているんですよ」
「なんだよ!そういうことなら早く言えよ!じゃあこの『食物繊維た~~っぷり!大判昆布100枚入り!』ひとつ!」
ピッ。
ありがとうございました~。
お客様の疑問になんでも答えるコンビニ。パーシーストアへようこそ。当店は常人は気にも留めないことに憤慨する害悪クレーマーのお客様のご意見に耳を傾け、しっかりとご説明した上で商品をご購入いただくお店です。おや?またお客様がいらっしゃいましたよ。
「ねぇ、あそこの商品、あれってうちが納品してるものだよね?あんな風に端っこに陳列されたら絶対に目に留まらないし売れないと思うんだけど。もっと上の段とかレジ横とかに場所変えてもらいたいんだけど?なめてんの?」
「お客様、あそこの商品ってざっくり言ってますけど一体どの商品ですか?それとどちら様ですか?身分も明かさずに漠然と文句言われても対応しかねます。あなたがどの商品を当店に納品している業者なのかちゃんと説明していただけますか?」
「あそこの10kgの無洗米だけど」
「そうですか。申し訳ないのですが10kgの無洗米って普通に考えて上段やらレジ横に置きませんよ。もっと言えばどうしてうちのコンビニに無洗米あんの?なんで?仕入れた記憶ないんだけど。というか普通コンビニじゃ10kgの米なんて売れないですよ。あったとしても相場は1~2.5kgじゃないですかね。いやマジでなんであるの?ん?しかも商品名「たけるひめ」ってなんだよ!そりゃ炊けるだろ!米として最低限保障されてるとこ推すな!あと『たける』って男の名前っぽいのに『ひめ』つけんなよ!なんかモヤモヤすんだよ!売れねぇよ!」
「うるせぇ!うちだって一生懸命農家やってんだよ!もういい!この『臭そうで臭くないちょっとだけ臭いマスク』ひとつちょうだい!」
ピッ。
ありがとうございました~。
しかしその後「たけるひめ」は売れた。棚の3袋だけでなくバックヤードにあった12袋(なんでこんなにあるの?)も品出しした途端に売れた。わたしは疑問に思って最後の1袋を買ったお客になぜコンビニの無名ブランドのお米を購入するのか聞いてみた。
「YouTubeで今めちゃめちゃバズってるんですよ!どんな炊き方しても必ず芯が残って上手に炊けない米ってんで。それをどうやったらうまく炊けるのかってのでネットは大盛り上がりですよ」
とのことだった。
何がバズるかなんて誰も分からない。今は無意味だと笑われてもいつか報われる日がくるかもしれない。誰もやっていないことをするんだ、世間に後ろ指を差されることもある。それでも自分を信じて突き進む者にのみ見ることのできる景色。
それがバズなんだ!
あ、またお客様がいらっしゃいましたね。
「あのさぁ。この北海道牛乳ってのいつも買ってるんだけどさ、なんで『北海道』って付いていると美味しそうに感じるわけ?ここ東京じゃん?むしろ北海道だと距離あるし新鮮さに疑問があると思うんだけど?ねぇ!?」
「はい、おっしゃる通り味には全く関係ないかもしれません。ただ『北海道=牛乳』というイメージが世間に根強く定着していることが大きいのだと思います。雄大な大地にある広々とした農園でのびのびと育った牛というイメージ。それこそ牛乳だけじゃなく乳製品は全般的に北海道バフがかかります。世間は”何”じゃなくて”誰・どこ”を重視する傾向にあるようです。全く同じ商品でもネーミングが『おじさんのパンティ』と『清純派女優のパンティ』だったらおじさんを選ぶ人がいないのと同じですよ」
「いや、俺はおじさんのパンティ選ぶけどなぁ」
「そうですか。で、牛乳買われます?」
「あ、じゃあひとつ」
ピッ。
ありがとうございました~。
数か月後、うちのコンビニにとある商品が入荷された。それは昨今世間をにぎわせているというバズり商品『おじさんのパンティ』だ。どんな商品なのかというと、その名の通りおじさんが履くためのパンティなのだ。
「夏は股間が蒸れる?ならパンツを透かせばいいじゃない」というキャッチコピーの極薄生地パンティだ。近年は男性もアンダーヘアを手入れするなど股間周りの清潔さに気を遣う文化が根付いてきた。その流れで生まれた商品なのだとか。
実はわたしもこの『おじさんのパンティ』を着用している。さらに最近はより通気性を重視し、ズボンもやめてしまって今ではミニスカートを履いて毎日を過ごしている。
しかし、おじさんのミニスカートには危険もつきものである。先月もあんなことがあったばかり。
世間のミニスカおじさん。一緒に戦いましょう!
またのご来店をお待ちしております。
画像はうちの窓から見た空です。
では~。
※『たける』って男の名前っぽいのに『ひめ』つけんなよ!
この文章に違和感を感じる人がいたかもしれません。「男の名前っぽい」という発言はジェンダーフリーの考え方に反するんじゃないのか。男に「ひめ」ってつけてもいいじゃないかと。
いや、よく見てください。「男の名前っぽい」です。この「ぽい」が重要なのです。一概に男の名前だと断定していません。
「今日転校生来るっぽい」
でも来ませんでした。別の学年の生徒でした。
「今日雨降るっぽい」
降りませんでした。せっかく傘持ってきたのに。
「世の中には自分と全く同じ顔の人があと2人いるっぽい」
いませんでした。激似の人はいましたがよく見たら髪型が似てるだけで。
この「ぽい」はあくまで予想。世間にはたける女子がいるかもしれないというぼくなりの配慮でもありプラスに捉えてほしいです。
「このブログ読んだ人の中にジェンダー問題に過剰に反応する人がいるっぽい」
あくまで予想ですがね。
ちなみにこの発言はぼくの性格上の問題っぽいです。