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Oklahoma!(オクラホマ!)



playbill-1943年-Oklahoma!

公演概要

公演期間

初演
1943年 3月31日 〜 1948年 3月29日(2,212公演)
セント・ジェームズシアター 

リバイバル
2回目 1951年 3月29日〜1951年 7月28日(100公演)
3回目 1943年 8月31日〜1953年 10月3日(40公演)
4回目 1979年 12月13日〜1980年 8月24日(293公演)
5回目 2002年 3月21日〜2003年 2月23日(388公演)
6回目 2019年 4月7日〜2020年 1月19日(328公演)

スタッフ

作曲:リチャード・ロジャース
作詞:オスカー・ハマースタイン2世
脚本:オスカー・ハマースタイン2世
演出:ルーベン・マムーリアン
振付:アグネス・デ=ミル

原作

Lynn Riggs作 
戯曲 「Green Grow the Lilacs」(ライラックは緑に育つ)

あらすじ

物語の舞台は、1900年代初頭、まだ州に昇格していない開拓地オクラホマ。
カウボーイのカーリーと農家の娘ローリーの恋を描く物語。互いに好意を抱きながらも素直になれない二人に、陰鬱な農場労働者ジャッドが絡み、三角関係が生まれる。カーリーは豪華な馬車でローリーを誘おうとしますが、ローリーは腹いせにジャッドの誘いを受け、ダンスパーティーで複雑な状況に。ランチバスケットオークションではジャッドとカーリーが競り合い、カーリーが勝利する。やがてローリーはカーリーへの愛を認め、二人は結婚しますが、ジャッドは嫉妬に駆られカーリーに襲いかかる。最後はジャッドが事故で命を落とし、カーリーとローリーは新しい州となったオクラホマで共に幸せな生活を迎える。


受賞歴

【受賞】
〈1944年ピューリッツァー賞〉
特別賞
〈1993年トニー賞〉
特別賞(50周年)
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〈2019年トニー賞〉
ミュージカルリバイバル作品賞

解説

ミュージカル黄金時代の幕開け
1927年に登場した現代のミュージカルの土台である「ショウ・ボート」から16年。ついにミュージカルはその形を完成形へと整え、黄金時代へと突入する。そのきっかけとなった作品であるのが「オクラホマ!」。ロジャースとハマースタインのコンビは「オクラホマ!」を出発点とし、名作(「回転木馬」「王様と私」「南太平洋」など)を次々と生み出していく。

物語・歌・ダンスの一体化
「ショウ・ボート」がドラマと音楽の結びつきという点で革新的であったのに対し、「オクラホマ!」ではそこにさらにダンスが一体化され、多くの人が思い描く現在のミュージカルの形がここでようやく完成されることとなった。「オクラホマ!」の一番の見どころと言っても過言ではない1幕最後の「ドリーム・バレエ」のシーンは、ローリーの葛藤と恐れ、そしてカーリーとジャッドへの複雑な思いを視覚的に表現し、観客にローリーの内面をより深く理解させた。これは当時、単なるダンス・ナンバーとしてではなく、物語の進行とキャラクターの内面を視覚的に表現する「ダンスを通じたドラマ」という点で、非常に画期的であった。振付は当時ユニークな創作バレエで頭角を表していたアグネス・デ・ミル。1955年に映画化された際も彼女が振付を担当したため、その全貌を今も見ることが可能である。

ロングラン記録の更新
「オクラホマ!」はミュージカル新時代の到来を証明するようにそれまでのロングラン記録(「Hellzapoppin」の1404回)を大きく更新する2,212回の公演を行なった。その背景にはこの作品が質の良いものであったからということ以外にも、当時の時代背景が大きく関わっている。
1940年代初頭は第二次世界大戦が進行中であり、多くの人々が戦争による不安やストレスを抱えていた。『オクラホマ!』は、平和な田舎の生活や人々の愛、希望を描いた作品として、観客に安らぎや逃避を提供し、戦争中で愛国意識が高揚している中、作中で歌われた郷土愛や古きよき時代の牧歌的な風景に観客は心を打たれたと言われている。作品の素晴らしさだけではなく、時代にあった作品であったことがロングランに大きく結びついた。

2019年に一新したリバイバル公演
初演以降、何度もリバイバルが繰り返されている「オクラホマ!」だが、トニー賞でリバイバル作品賞を受賞した2019年版は、これまでの「オクラホマ!」とは全く違う作品と言ってもいいほど、大きく姿を変えたものであった。

オリジナルの物語の核心を保ちながら、社会的・文化的なテーマをより深く掘り下げ、特にアメリカのアイデンティティや人種問題、男女の役割、暴力と愛といった複雑なテーマが際立っている。オリジナル版ではあまり触れられなかった先住民族や、非白人のキャラクターがより重要な役割を果たし、彼らの視点や経験が物語に組み込まれたり、女性キャラクターの描写が強化され、従来の役割にとらわれないような新しい視点が描かれたりとアメリカの歴史における多様性や複雑さについて考える機会を作り出した。これらにより、以前までの「オクラホマ!」の暗部を容赦無く暴きだす作品となった。また、現代社会の問題を反映し、観客が自分たちの生活や社会に関連づけて考えることを促すような演出が施されている。

特にその中でも目に付くのが銃の役割だ。劇場のあちこちに銃が飾られている舞台のセットからしてもわかるように、2019年版では現代の社会問題である銃暴力がテーマの一つとなっている。銃は物語の中で、シンボリックな役割を果たす。銃が登場するシーンは、キャラクターたちの心理的な葛藤や状況の変化を象徴しており、物語の展開に重要な影響を与えている。銃を手にしたキャラクターの選択や行動は、観客にその背後にある感情やテーマを考えさせる要素となっており、銃問題が深刻視される現代のアメリカに合わせた観客に強いメッセージを送る演出となっている。下の映像ではその舞台セットが確認できる。

また、このチケット売上金の一部を銃廃止を推進する活動に寄付されることも話題となった。

この2019年リバイバル版では助演女優賞も受賞した車椅子の俳優の起用も印象深いものだった。下の動画ではトニー賞のパフォーマンスを確認できるが、俳優の表情や演出からもこれまでの「オクラホマ!」とは何かが違うことが存分に感じ取れる。

楽曲

Act 1
1. Oh, What a Beautiful Mornin'
2. The Surrey with the Fringe on Top
3. Kansas City
4. I Can't Say No
5. Many a New Day
6. It's a Scandal! It's an Outrage!
7. People Will Say
8. Pore Jud
9. Lonely Room
10. Out of My Dreams - Ballet

Act 2
1. The Farmer and the Cowman
2. All 'Er Nothin'
3. People Will Say (Reprise)
4. Oklahoma!
5. Oh, What a Beautiful Mornin' (Reprise)
6. Finale Ultimo

日本公演

日本では宝塚歌劇団が、1967年に月組・星組の合同公演で初演。
宝塚歌劇にとって初のブロードウェイ作品の上演だった。


文献


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