花組 「アウグストゥス」 -モヤモヤした者の感想-
⚠注意⚠
・以下、ネタバレあり
・Not 考察(素人の駄感想につき、見るに堪えない方ブラウザバック推奨)
・2回しか観てないので、間違い箇所あると思います
この作品を観終わった後、なんかよくわからない鬱々とした気持ちになった。
(で、何が言いたかったの……?)と。
結局、誰一人として救われない話だった。
開演アナウンスと共に、客席暗転して
\ドォォン…!!/
地響きのような太鼓音に、ビクっとなる。
ドォン…ドォン…ドコドコドンって重厚に始まったわりに、幕が開くと、賊トリオが盗品片手にヒャッハーしていた。
これは散々言われてることだけど、まずいきなりトップスターの登場が上手花道からで、え…?ってなった。
※初日はあまりに普通に歩いてきて反応できなかったけど、今は一度立ち止まって本舞台に駆け寄るので、訓練されし者達の先導によって拍手が入るように
で、プロローグは盆回るし曲壮大だし、おっ面白そうじゃんな雰囲気がちゃんとあって。
なんか最初からクライマックスだな〜って思った。(ら、本当に最後も全く同じ終わり方だった)
目立つ役が要所要所、1人ずつ銀橋を渡りながら心情を歌うのが印象的。
特に音くりちゃんのソロは、さすがの上手さ。透き通った歌声が心地良かった。
マイティの「友よ」って曲も、ぴったり。笑顔で赤マントをバサァ!って翻す圧倒的な陽オーラ、暗い物語を照らす太陽ありがとう。
ローマの民衆曲は、役名連呼するのかな〜って思ったらほんとに連呼ソングだった。
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◇オクタヴィウス(柚香光)
ポスターの眼光鋭いイメージと真逆の、基本受け身の戦いたくない人。プログラム寄稿のアウグストゥス人物解説を読むと、魅力的な人物だと思った。完璧な美ジュアル。立てば彫刻、座れば絵画、歩く姿はヘレニズム(?)
お衣装も、全部まるっと素敵。
カエサルが火葬される時、膝をついて茫然とする姿が、まるで雨の中の仔犬のよう…な彫刻。アントニウスとの戦いで、憎しみ覚醒スイッチ入った瞬間の豹変に鳥肌。
◇ポンペイア(華優希)
復讐を誓い、常に緊張感のある佇まいの華ちゃん。からの、すべてを包み込む女神。女神様が現実に存在したら、こんな感じなんだろうな…って思うほどラストシーンは眩しく輝いてた。
◇アントニウス(瀬戸かずや)
あきら君の肩幅41cmにマントのドレープが重なって、男感が凄い。強い。絶対勝てない。
後半からラダメスのお衣装で、王家がフラッシュバック。我こそが、英雄!!って夢と権力に貪欲な感じ、格好良かった。
◇クレオパトラ(凪七瑠海)
登場シーン、急にラスベガスのショーかと。
カチャ様のお顔の小ささ、首の長さ、スタイルの細さたるや。アントニウスとの恋愛模様が物語のメインかってほど濃かった。
ところで男役のるなさんを侍女役にしたの、なぜに…?
◇アグリッパ(水美舞斗)
オクタヴィウスの盟友=れいまい当て書き。
幕開き、賊から主を守るスライディング一閃。(YouTube初日映像ロングver.参照) さらに海戦の場面、下手で高速回転斬り炸裂させて一気に3人やっつけてた。頼もしすぎ。
◇ブルートゥス(永久輝せあ)
Bluetooth〜♪←みんなこれ思うよね
ひとこちゃんはこういう役、よく叫んでる役のイメージある。金髪ハーフアップスタイルが似合ってた。斬られた時の倒れ方がリアル。
かの有名な…カエサルに「お前もか!」とは言われず。「昨日の敵は、今日の敵〜♪」
◇7つの丘の神々
何かと登場するオドロオドロしい存在、怨念とか悪霊だと思ってプログラム見たら「神々」と。相関図では、"その正体は憎しみの化身"って書いてあった、ややこしや。
オクタヴィウスの歌で、本舞台に神々が浮かび上がり「これが神々の望みなのか…?」って歌詞があるので、余計その存在がわからなくなった。男役4人娘役3人の7人チーム、振付も相まって本当に怖かった。
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幾度となく台詞に「憎しみ」「勇気」「祈り」「夢」って大切なワードが出てくるんだけど、いまいち抽象的で。
祈り=平和、理想って解釈でいいのかな。
オクタヴィウスとポンペイアの
神殿デュエット《君がくれた勇気》
「あなたが、かけがえのない勇気を教えてくれた。。」
って、それまでにそんな場面あったっけ…??
2人だけで会話したの、ポンペイアの部屋を訪れたのが最後だったか。
ポンペイア「いつか後悔するといいわ、今夜、私を生かしたことを!」って最初の台詞は何の伏線でもなかった。
アティア様に「あなたさえいなければ!はやく出てって!」と凄まじい語気で責め立てられ、その場を走り去る彼女に対して、オクタヴィウスは何もできず、すれ違った印象だけ残る。
からの、ポンペイアの悪夢(うなされてオクタヴィウスを刺す)、プログラムには不吉な予感に慄く、とあるけど。うーん。
カエサル葬儀シーンの最後「私の憎しみがローマを焼き尽くしていく…」ってポンペイアが歌って出てくるから、ここまでは生きてるのか?
カエサルの後継者として、アクティウムの海戦に挑むオクタヴィウス。しかし、戦いが苦手な彼が、アントニウスに力で勝てるわけもなく。
起き上がれず、追い詰められた時「俺を憎め!!俺を斬りたければ、お前の心を憎しみで満たすがいい!」と言われ、その通り殺意の波動に目覚めた瞬間、いきなり強くなり……
亡霊の幻覚に取り憑かれ、狼狽するアントニウスにオクタヴィウスが剣を振りかざしたその時!ポンペイアの追い風が吹いて、エジプト軍は撤退を余儀なくされる。
ポンペイアの幻は、アントニウスにトドメを刺そうとするオクタヴィウス(憎しみの連鎖)を止めに来てたんだよね?女神パワーで神々&亡霊を弱体化させて。
オクタヴィウスの戦いを援護するため、神風を起こしに来たのが主に見えてしまった。
どちらにせよ、結果、彼を救ったことに変わりないんだけど。
その後、改めてエジプトへアントニウス連れ戻しに行ったら限界弱ってて、クレオパトラとの約束破って俺が殺したみたいな雰囲気になり、またしても自分を見失うオクタヴィウス。
(ああ、ポンペイア……)と、ふらふらで神殿に辿り着いたら、レオノラ「お嬢様はカエサルが殺された夜に、命を絶ったのさ。あんたの渡した形見の剣で。」
とか言われたら、さすがに「なんだって…!」ってなる。友にだってなれると、心を通わせた相手は、既にこの世にいない人でした。
頭の中で、あれこれストーリー思い出しながら、考える間もなくラストに向って話が進んでいく…。
レオノラ「亡霊だって悪霊だっていい、お嬢様に会えるのなら」
「人間、死んだらおしまい。私だってそんなこと知ってるさ。お嬢様は、大馬鹿だよ」
この、あえての言葉選び、フィクション上なのにひっかかってモヤモヤした。大切な人のこと、たとえ話でも悪霊とか言えないけどな。
(これは完全人によって感じ方違うと思う)
オクタヴィウスの「行くな…」って台詞は、いつからかカットされて今は無い模様。
妹オクタヴィアに、アントニウス最期の言葉を聞かれて「後悔していた、と…」って嘘つくのどうなんだろう。
Q.「お前の心はどこにある?お前の夢は?」
A.「私がいただくのはアウグストゥス、尊厳ある者の称号だ!」
私 (…自分で言ってしまった)(わかった、大衆に夢を見せる英雄ではない、尊厳者ね。ところで尊厳ある者とは…)
「憎しみを捨てるかわりに、生きることを終わらせてしまった」ポンペイアが「人間のいる限り憎しみは終わらない。それでも、祈り続ける。あなたの祈りの声、勇気を、忘れないで。」
って言うけども、上手く説明できなくてもどかしいが、結局「君を救えなかった」ので、重大な根幹が揺らいでしまうような…救いとは……。
それが亡霊との会話なのか、対人間との会話なのかで、捉え方が全く変わってしまうよね。
自死エンドは、どうしても腑に落ちない。
オクタヴィア、凱旋式で「何を着るかは私が選びます。これからどう生きていくかも」宣言で自立感出してたけど、ちょっと、兄の凱旋式に、喪服はどうかと思うわよ。(突然の姑)
「満州から手紙を書くわ!」って言いそう(言わない)
マイティとくり寿ちゃんが並ぶと、ほんわか恋が始まりそうな感じある。ほっこり。
そして最後、今日1番ってくらい銀橋が照らされて、上手花道から出てくる真っ白オクタヴィウス。発光して見えなかった。ずっと暗闇の客席が一気に明るくなる、眩しい!うわあぁ、目が…!
そのまま銀橋渡るのかと思ったら、本舞台を経由して下手からセンターへ。
\ドーン!/(音)と共に、幕。
晴れの凱旋式なのに、なんか全然すっきりしない。セリ上の亡くなった登場人物、ちゃんと両肩に神々とお揃のハギレくっついてた。細かいな。
──はぁ、長かった。3時間くらいに感じた。
何者でもない若きオクタヴィウスが、アウグストゥスの称号を冠するまでの成長物語、完。
今こうやって思うままに書き殴って、消化不良を何とかしようと藻掻いている。色々な場面が、時間の都合で入り切らずカットされたらしいけども。
やっぱり、れい華ファンなので「当て書き」なのに「ラブ抜き」だったの、素直に残念。
友、ねーー。恋愛より、深く、魂で繋がってるかもしれないけど…。
個人的に、退団者ゆえに作品上でなきものにされる設定がそもそも好きじゃなくて。
はいからさん、ナイワって LOVE 5億%な演目続いてたからとか、だいきほ退団公演、ロミジュリって運命的両想い作品の後バイアスもあるかもしれない。
──我は、光ちゃんが心から愛おしそうに華ちゃんを見つめる、あまりにも尊いその瞬間が見たかったのだ。(遺言)
白い衣装で2人が幸せそうに寄り添う姿を、きっとサヨナラショーで観られますように、と神殿で祈り続ける亡霊巫女の初note
(で、結局何が言いたかったの…?)
っていう特大ブーメランも、祈りの力で跳ね返…せるわけがない。
やめて、塩かけないで!!!
【おしまい】