スターバックの本棚・「宇宙-そのひろがりをしろう-」
『宇宙―そのひろがりをしろう―』
加古里子 ぶん/え
1978年 福音館書店
今年5月に亡くなった絵本作家の加古里子(かこさとし)さん。
「だるまちゃんとてんぐちゃん」「からすのパンやさん」など愛嬌溢れる名作を多く残した。
だるまちゃんの作者が宇宙の本も書いていたと聞くと、みなさん少し驚くかもしれない。内容はファンタジーではなく、太陽系、銀河系のことから太陽風や星間物質、星の一生まで、全てひらがなの絵本とは思えぬほど内容の深い科学読本だ。構想から完成まで10年。
この本を書くために会社を辞めたという。昆虫やスポーツといった身近な話から始まり、面白くてページをめくるうちに想像の船はいつの間にか宇宙の果てへと達している。
僕の次回作は子ども向けの本と決めている。5歳ないし7歳になったミーちゃんが目を輝かせて読んでくれるような本。
しかし、加古さんのこの名作を前に、果たしてこれ以上何を書いたらいいのか、まったくアイデアは浮かんでいない。
宇宙メルマガ「THE VOYAGE」2018.9月号掲載
小野雅裕 (おの まさひろ)
技術者・作家。NASAジェット推進研究所で火星ローバーの自律化などの研究開発を行う。作家としても活動。宇宙探査の過去、現在、未来を壮大なスケールで描いた『宇宙に命はあるのか』はベストセラーに。2014年には自身の体験を綴った『宇宙を目指して海を渡る』を出版。
ロサンゼルス在住。阪神ファン。ミーちゃんのパパ。好物はたくあんだったが、塩分を控えるために現在節制中。
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