見出し画像

素粒子論の研究者が絵本をかきました(その2)

宇宙の果てはどうなっているのだろう?という疑問から宇宙の果てを目指して冒険する、絵本「 宇宙の果てへ(量子力学体験ツアー )」(小峰書店)をかきました。その続編です。それは、絵本「超ミクロの世界へ(量子力学体験ツアー)」(小峰書店)です。今度は、ミクロの世界を冒険します。
どんどん小さくなっていくと、そこは宇宙と関係することがわかってきます。これは、SFなんかではありません。最先端の物理研究をしている理論物理学者としてかきました。

超ミクロの世界へ 表紙

「超ミクロの世界へ(量子力学体験ツアー)」 
 はばなおゆき 作/うのあつみ 絵 (小峰書店)

ミクロの世界は、私たちの常識とはまるで違ったことがおきます。例えば、電子くんを四方八方窓もない牢屋に閉じ込めたとしても、スルッと壁をお化けのように抜け出してたまうことがあるのです。そんな説明を聞くと、量子力学って「むずかしそう・・・」と思いますよね。それに、「日常生活に超ミクロの世界なんか関係ないよ」と思うかもしれません。

でも、それは違います。赤い花が赤く見えるのも、焼いて料理をするのも量子力学です。(そもそも化学反応というものは、原子の中の電子の軌道が変わる量子力学なのです。)わたしたちの身のまわりは量子力学で満ちています。

たとえば、「赤色の花はなぜ赤く見えるか?」について、教科書的な説明は「赤い色が反射するからだ」でしょう。ガリ勉さんはこの説明を一生懸命暗記して受験に備えるかもしれません。でも、この説明で本当に理解できますか?私は全く分かりません。赤い花が赤く見える理由は量子力学を考えないと理解できません。絵本で解説しました。よかったら読んでいただけたらと思います。

スクリーンショット 2022-01-19 16.54.38

イラスト:コダマアキコさん

教科書的な説明を単に暗記することで、わかった気になるのはやめたほうがいいです。説明が分からなかったら、自分なりに調べてもいいし、ずっとこころにとどめておいてもいいです。空が何故青いのか?雲が何故白いのか?子どもの頃からずっと思っていた疑問は、物理学科の学生になってやっと「かなり」わかりました。でも、もっというと、視覚に関する機能と脳のことももっと理解できないと、本当にわかったとはいえないでしょう。子どもの頃の素朴な疑問をずっと持ち続けているのが、自分のことも含め、学者なんだろうなと思います。

超ミクロの世界へ 見開き2

「超ミクロの世界へ(量子力学体験ツアー)」 
 はばなおゆき 作/うのあつみ 絵 (小峰書店)

波場先生プロフィール画像

波場直之(南部先生と【阪大准教授時代】)
http://www.phys.shimane-u.ac.jp/haba_lab/haba_j.html

大阪大学理学部物理学科卒業、
名古屋大学大学院理学研究科物理学専攻博士後期課程修了、 理学博士。
三重大学助手、徳島大学助教授、大阪大学准教授、北海道大学教授、島根大学教授。現在、大阪公立大学大学院理学研究科 物理学専攻 教授

主な著書:
絵本「「超ミクロの世界へ(量子力学体験ツアー)」 (小峰書店)
絵本「宇宙の果てへ(量子力学体験ツアー)」(小峰書店)
「素粒子の探究で宇宙がみえてくる: 波場センセイのとっておき50話」(丸善出版)
グリフィス 素粒子物理学(丸善出版)原著D.J.グリフィス、(著)花垣和則、波場直之

アウトリーチ活動としてオンデマンド講義の一部を
YouTubeチャンネル「物理は面白いよ!」で公開中
(よかったらチャンネル登録してくださいね)
https://www.youtube.com/channel/UC_ZaKBghXOjWmElGD3S5ytg

いいなと思ったら応援しよう!