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史上初の民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」始動 - ispace の月面資源開発と新たな産業創出 -

株式会社ispace | Founder & CEO 袴田武史

SpaceX Falcon 9 ロケットで2020年、2021年に月へ打ち上げ
史上初の民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」始動
月面探査レースは次のフェーズへ

株式会社ispace は、計画を進める月周回と月着陸の2回のミッションに向けて、アメリカの SpaceX と打ち上げ契約を締結しました。同社が提供する再使用型ロケットFalcon 9 にランダー(月着陸船)を搭載して打ち上げ、月周回ミッションを2020年半ば、月着陸ミッションを2021年半ばにそれぞれ行います。ランダーを搭載したロケットは、アメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センターまたはケープカナベラル空軍基地より打ち上げられる予定です。また ispace は、この史上初の民間による月周回と月着陸を目指す月面探査プログラムの名称を「HAKUTO-R」に決定しました。

本契約の締結は、月面探査を行う民間企業として複数回のミッションの打ち上げを締結した世界初の事例です。ispace は、この2回のデモンストレーションを2020年半ば・2021年半ばに実施した後、年間複数回の本格的な商業ミッションを連続して実行する計画です。2回のデモンストレーション・ミッションに向けて、2018年8月に国内外26名の専門家によるランダーの基本設計審査を通過し、現在詳細設計に移行しています。2019年第二四半期には、詳細設計を完了させ、以降月に向かうランダーフライトモデルの製造を進め、さらに今後月面を探査するローバー開発も並行して行なっていきます。

HAKUTO は、日本で古くから月を象徴する動物として親しまれている白い兎(うさぎ)を意味しています。人類初の月面探査レースGoogle Lunar XPRIZEに唯一の日本チームとして参加し、月面探査ローバーの開発に特化して活動を続けてきました。2015年にレースの中間賞を受賞、2017年にはファイナリスト5チームに選出されましたが、他チームのランダー開発とロケット契約が成立することを前提としたことで自力での月輸送ができず、2018年3月の期限をもってレースへの挑戦を終了致しました。

HAKUTO-R は、HAKUTO を応援していただいた多くの皆様の想いを継承しつつ、初心に立ち返って、史上初の民間月面探査実現への挑戦を ”R”eboot(再起動)するという想いを込めました。ロゴは、HAKUTO でモチーフとした白いうさぎと頭文字の「H」を継承しながら、さらに一筆書きできる曲線によって地球から月へ向かうランダーの軌道と月面を表現しています。月の水資源を軸とした宇宙資源産業を創出して月を生活圏にするため、2018年2月までにシリーズAで調達した103.5億円の資金を活用し、独自にランダーを開発するチーム作りと SpaceX との打ち上げロケット契約を実現しました。HAKUTO-R では1回目のミッションでランダーを月周回軌道へ投入して軌道上からの月探査、そして2回目のミッションではランダーで月面に軟着陸して月面探査ローバーによる月面探査を行います。

Google Lunar XPRIZE 終了後もレース参加チームが、月面一番乗りを競い合い、引き続き民間による月面探査の実現を目指して、レースの枠組みを越えて技術開発にしのぎを削っています。HAKUTO-R では、月を生活圏にすることを目指し、月輸送技術の獲得と月面への商業輸送実現に向け、2020年半ばと2021年半ばにミッションを行いますので、応援宜しくお願いします!

2月22日、コーポレートパートナー3社を発表!
NASAプログラムにも採択

株式会社ispace が運営する民間初の月面探査プログラムHAKUTO-R は、2019年2月22日に、日本航空株式会社、三井住友海上火災保険株式会社、日本特殊陶業株式会社のコーポレートパートナー契約を発表しました。

日本航空は、HAKUTO-R のコーポレートパートナーとして、航空運送事業で培ったノウハウを活かし、成田のエンジンセンターでのランダー(月着陸船)組み立てに関する技術支援に加えて、ランダーとローバー(月面探査機)の輸送支援を通じ、民間月面探査への挑戦をサポートすると共に、新事業領域の一つである「宇宙」事業の創出に取り組みます。

日本特殊陶業は、全固体電池の分野で HAKUTO-R と技術協業を行い、日本特殊陶業が開発する全固体電池を、2021年の HAKUTO-R のミッションにペイロードとして搭載し、月面での世界初となる全固体電池の技術実証試験を行う予定です。

月面の夜間や、極域の影では、-150度以下と極低温になり、液体のリチウムイオン電池の電解液では、凍結してしまうため、これまでの熱設計では適応することができません。また、凍結後に融解したとしても、凍結・融解時の体積変化が電池の内部構造にダメージを与えるため、電池として機能しないと考えられます。将来の月極域の探査をはじめ、こうした過酷な環境でも電力を安定的に供給できる電池が非常に重要になります。

三井住友海上火災保険は、HAKUTO-R プログラムは、まだまだ人類にとって未知の領域である月面や月までの航路がステージとなるため、様々な新しいリスクが想定されます。これらのリスクに対して全力で立ち向かえるよう将来のミッションに向けて、例えば「月保険」のようなサービスを三井住友海上と ispace の両社で設計していきたいと考えています。今回のコーポレートパートナー契約締結により、三井住友海上はこれまで培ってきたノウハウや経験を駆使し、リスク管理のプロとして民間企業として世界初の月探査ミッションとなる HAKUTO-R プログラムの挑戦を後押ししていきます。

また ispace では、日本以外での活動も広がってきています。アメリカのチャールズ・スターク・ドレイパー研究所らとともに、NASAへ10年間で予算総額26億ドルの月面への輸送サービス(Commercial Lunar Payload Services)の提案を行い、この度 NASA にその提案が採択されました。日本のスタートアップを含む合同チームが NASA の CLPS契約に採択されたことは、これまで国主導だった月探査が国際協力をベースとした民間主導のミッションに切り替わる重要な分岐点になり、また世界の宇宙開発を先導する NASA が大きく舵を切ることで日本をはじめ各国にも大きな影響を与えると考えています。

1969年7月20日、人類が初めて月面に着陸しました。今年は、ちょうど50年周年となる節目の年です。民間が主導する新しい宇宙開発がどんどん活発になり、当たり前になってきています。引き続き、ispace そして HAKUTO-R の活動にご注目ください。

- 史上初の月面探査プログラム「HAKUTO-R」-

袴田武史
Founder & CEO

子供の頃に観たスターウォーズに魅了され、宇宙開発を志す。
ジョージア工科大学で修士号(航空宇宙工学)を取得。
大学院時代は次世代航空宇宙システムの概念設計に携わる。
その当時、Ansari XPRIZE により民間有人宇宙飛行が成功し、
民間での新しい宇宙開発時代の到来を感じる。
民間での宇宙開発では、経営者が必須になると考え、
大学院卒業後、外資系経営コンサルティングファーム勤務。
プロジェクトリーダーとして幅広い業種のクライアントに
コスト戦略および実行を中心にコンサルティングサービスを提供。
2010年より Google Lunar XPRIZE に参加する
日本チーム「HAKUTO」を率いた。

『宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八 』

「宇宙に命はあるのか」はNASAジェット推進研究所勤務の小野雅裕さんが独自の視点で語る、宇宙探査の最前線のノンフィクションです。人類すべてを未来へと運ぶ「イマジネーション」という名の船をお届けします。
胸躍るエキサイティングな書き下ろしです。

『宇宙メルマガ THE VOYAGE』

NASAジェット推進研究所勤務の小野雅裕さん読者コミュニティが立ち上げた『宇宙メルマガTHE VOYAGE』が創刊1周年を迎えました。
毎号、小野さんをはじめ各方面で研究開発に従事される方々、宇宙ビジネス関係者などにご寄稿頂き、コアな宇宙ファンも唸らせる内容をお届けしています!

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想像してみよう。遠くの世界のことを。
次回の投稿まで、お楽しみに。

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