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太陽の空より vol.1 河村聡人

THE VOYAGEの読者の皆さん、はじめまして、河村聡人(あきと)と申します。 先日、とある飲み会で編集長の梅崎さんにそそのかされまして、連載を始めることになりました。

僕の専門は太陽・太陽圏物理学です。また現在は人工衛星による地球観測データの解析にも従事しています。
編集長からカジュアルにと言われてますので、自分の体験や思い出を交えながら、宇宙についてお話していければと思います。

連載のスタートとしてこれから数回は、タイトルである「太陽の空」について考えていきましょう。
この「太陽の空」という言葉は約10年前、ある芸術家の方との対談の準備をしている中で思いついたものです。
僕個人が勝手に言っているものです。

「空」
1. 頭上はるかに高く広がる空間。天。天空。「東の―が白む」「鳥のように―を飛び回りたい」「―高く舞 い上がる」
2. 晴雨などの、天空のようす。天候。空模様。「今にも降り出しそうな―」

(デジタル大辞泉より)

僕らの身体的な感覚で言えば、空の始まりは自分のすぐ上で、その果てははるか遠く星々の世界ということにな ります。
ですが、その空は僕らから遠のくにつれて様子が変わります。
雲が浮かび飛行機が飛ぶ大気から、国際宇宙ステーションや人工衛星が飛び交う宇宙(専門的には熱圏という地球の大気の中なのですが)、月や太陽 や惑星、近傍の星々、天の川銀河、銀河の集まり(銀河団)、、、
最遠には宇宙背景放射と。

一方で、火星探査機が送ってきた写真を見て、僕らは火星の空はオレンジだとか、火星の夕日は青色だとか言います。
先ほどの僕らの身体的な感覚で言えば、そこも地球の空の範疇のはずなのですが、火星の空と主格を切り替えています。
火星の地から見上げるという視点の移動をしているからです。

では、地球の空と火星の空の境目はどこなのでしょうか?
次回への宿題にしたいと思います。

河村聡人(かわむら あきと)
アラバマ州立大学ハンツビル校卒(学士・修士)、京都大学大学院退学。太陽・太陽圏物理学が本来の専門。最近は地球観測も。天文教育普及研究会2023年度若手奨励賞受賞。卯年の虎党。

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