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「理解」ということ~戸籍変更後初帰省〜

こんばんは〜

僕の成長過程はまだ2歳までしか綴ってませんが、今回は、戸籍変更後の初帰省をしたということで、その時のことを書いていこうと思います。

というのも、僕の父方のばあちゃんには
・僕が性同一性障害であること
・僕が性別適合手術を受け戸籍を男にしたこと
すべて伝えていませんでした。

もちろん、両親や他の親族はそのことを知ってます。
しかし、ばあちゃんにはそれを伝えることができずここまできました。

なぜばあちゃんに伝えていなかったかというと、、、

僕のばあちゃんは、昔気質な人で「男は男らしく、女は女らしく」という考え方を持っていると思っていたからです。

僕の父は男兄弟なので、僕はばあちゃん以降初めて前田家に生まれた女の子でした。
そういうこともあるのか、僕は小さい時から「良いお嫁さんになれるように」と、お茶くみ、お料理、お裁縫など、ばあちゃんに色々教えてもらってました。

東京に出てきてからも、電話で「はよ良か男見つけて結婚せなんたい」と言われたり笑

極めつけは、この見た目になっても僕のことをずーっと「お姉ちゃん」と呼びます笑

そんなばあちゃんに僕が「男として生きていく」と伝えたら、、、
ばあちゃんはすごくショックを受けるのではないか、そう思ってずっと性同一性障害であることを伝えられずにいたのです。

だからこれまで帰省する時は、ヒゲを剃って、実家では「僕」という一人称を使わない、という超微々たる施策をこうじてやりきっていました笑

如何せんこの見た目にこの声ですから、「ばあちゃんはホントに今でも、和奈を女の子だと思ってるのだろうか?」という疑念は家族全員が抱いているという、、、笑

やっぱり「お姉ちゃん」と言われるし笑

ただ、今回の帰省で僕はちゃんとすべてを伝えよう、そう思っていたのです。

父はずっと「別にばあちゃんには言わんでいいよ」って言ってたので、帰省する2日前くらいに、その事を父に伝えました。
今回ヒゲも剃らずに帰るから、ばあちゃんに先に男になったことを電話で言っとこうと思うんだけど、どうかな?」と。

すると、父からの返答。
ばあちゃんはもう知っとるばい

ななななんと!なんで?どうやって?いつ?

父「ドラマとかテレビでLGBTとかトランスジェンダーの人達が出る度に、俺が徐々に徐々にアンタのこと臭わせながら刷り込みよったもん

ななななんと!凄腕親父!

父「そしたらね、それば見ながらばあちゃんが『和奈のごたるね(和奈みたいね)』て、他人事じゃなかごつなってこらしたもん

ほうほうほう

父「そんで極めつけはね、、、

なになになに?

父「〇〇さんていう近所のおばちゃんが、アンタがさんま御殿に出たのば見てから、家に突撃してきて『和奈ちゃんは、かくかくしかじかで男になったて、さんま御殿で言いよらしたね!?』って、ばあちゃんに手術したとかも含めて全部言わしたもん笑

なーにーーーー!
田舎のばあちゃん特有のデリカシーゼロ突撃!

父「父さんもそれ聞きよってから、うわぁ全部言わしたばってん、ばあちゃんはなんて言わすかなぁ、て思って見よったったい。そしたら、ばあちゃんなんて言ったと思う??」

なんだろ、、、ショックで固まったままとか??

父「なぁーん!ばあちゃんは『今はテレビでそんなことまで言わないかんとね〜』て言わしたもん

「今はテレビでそんなことまでいわないかんとね〜」!?
え、性別適合手術を受けて男になったことよりも、それをテレビで言ったことに対する衝撃??

父「そうそう」

ばあちゃん、一段階先のリアクションじゃね!?

父「だけん、もうそれは分かっとったとだろうね〜。父さんもちょくちょく臭わせとったけん。だけん、ヒゲも生えとるの見とるし、わざわざ何か言わんでも、そのまま帰ってきてよかよ。」

マジかー!
僕が唯一、性別適合手術をするにあたって心配していた、心の詰まりがこんなにも簡単にスっと取れたんです。

ばあちゃんは強い。

本当にそう思いました。

そして、僕に何を言うことも無く、僕の心配を拭おうとしてくれてた父さん。
もちろん、本人もばあちゃんのことは気になってたとは思うんですが、それをストレートにではなく、ばあちゃんのペースに合わせておこなってくれた。

だから、今回の帰省、当初思っていたよりも気楽に帰ることが出来ました。
ヒゲ面で笑


いざ帰省!

実家に着いて、玄関を開け「ただいま〜!」

するとばあちゃんが奥から飛び出してきて「おかえり〜!」
ヒゲ面の僕の顔を両手で挟みながら「お姉ちゃん、よう帰ってきたね〜」と。

僕は帰省すると必ず最初に仏壇に参るんですが、その時ばあちゃんが横に来てその姿を見守るんです。

今回、その際にばあちゃんが僕に言ったこと
お姉ちゃん、頑張ったね〜。ばあちゃんにとってお姉ちゃんは、どぎゃんなってもずーっとお姉ちゃんだけんね。」

この言葉がどれだけ僕を救ってくれたか。
男は男らしく、女は女らしく。ばあちゃんはこういう考え方だと決めつけていた自分は、完全にばあちゃんを見誤ってました。

そうじゃない。
ばあちゃんは常に、愛する孫娘が自分の人生で苦労しないように、上手く生きれるようにと思って僕に色んなことを教えてくれていた。

僕が男であろうが女であろうが関係なかったんです。

だからばあちゃんは僕に「頑張ったね」それ以上のことは言いませんでした、聞きませんでした。
ばあちゃんも自分の中で色々考えたことでしょう。
でも、これは僕が悩んで考えて答えを出した末の性別適合手術、戸籍変更という事実を、すべて肯定してくれた言葉だと思います。

だから僕も「ばあちゃん、ありがとね」と一言だけ笑顔で返しました。

深くは語らずとも、僕はそこに強い「理解」と「愛」を感じたのでした。


ばあちゃんが僕のことを「お姉ちゃん」と呼ぶことについて笑

写真:ばあちゃんに抱かれる弟と、父に抱かれる僕


僕は、両親にとって「娘」です。

弟にとって「姉」です。

そして、ばあちゃんとっては「孫娘」、そして「お姉ちゃん」。

これは紛れもない事実。
男になろうがどうなろうが、僕のスタンスとして前田家の長女であることに変わりはありません。

だから、ばあちゃんから「お姉ちゃん」と呼ばれることに何の不快感もない。
むしろ、それを否定してしまうことがばあちゃんを傷つけると思っています。

大切なのは「呼び方」ではありません。
その人と僕の関係性。
その人にとって、僕が僕であること。
僕にとって、その人がその人であること。
心のつながりです。

僕の両親は、誰かに僕の話をする時「ウチの子が」「ウチの上の子が」と言ってくれます。
弟は「兄が」、叔母は「甥っ子が」、そして母方のじいちゃんは「かずにい」笑

家族みんなが、それぞれに自分の気持ちと僕の立ち位置、聞く側の他人との折り合いを付けながら、僕のことを表現してくれる。
愛を感じながら、本当に感謝しかありません。

この人は男だから
この人は女だから
ではなく
この人はこの人だから

多くを語ることなく、態度で、会話でそれを示してくれる人が、僕の周りには家族をはじめたくさんいます。

それこそが心からの「理解」だと僕は思います。

もちろん、周りの人にめちゃくちゃ恵まれたのは間違いありません。
ただ、当事者の方に伝えたいこと。

自分を表現するのは自分自身、自分のことを伝えるのは自分自身、どう理解してもらうかも自分自身です。

恵まれた環境は「作ることも出来る」んです。
悩む、苦しむことはたくさんあると思いますが、どうか前向きにポジティブに過ごしてほしいと思います。


今回の帰省で改めて、深く自分自身と家族のことを考えられました。

日々心の成長です。

僕の心に詰まっていた、ばあちゃんへのカミングアウト(直接はしてないけど笑)も出来たので、家族が元気なうちに、帰省できる時はたくさん顔を見せに帰ろうと思います。

親愛なる家族!いつまでも元気で!

それでは、また!

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