聖教新聞 2024/06/04 名字の言 平尾誠二氏と山中伸弥氏の友情
初夏に花を咲かせるヤマボウシ。花言葉は「友情」である。元ラグビー日本代表監督の平尾誠二氏とノーベル賞受賞者の山中伸弥氏が、家族ぐるみで育んだ友情のドラマは有名だ▼がんを発症した平尾氏のため、山中氏は専門家に話を聞き、必死に治療法を模索した。入院先にも頻繁に通い、海外にいても「いつでも連絡をください」と。平尾氏の夫人が「お忙しいのに申し訳ありません」と告げると、山中氏の返事は必ず「それは言わないでください。一緒に闘えて幸せです」だった(『友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」』講談社)▼ある壮年は幼少期に難聴に。以来、言葉を発するのが難しかったが、数年前、地区の友の熱意で教学部任用試験の受験を決意した▼仏法用語を一つ覚えるのも大変で、勉強を教える友に迷惑をかけていると思うように。そんな時、友は「あなたの頑張りに寄り添えることがうれしい」と手話で伝えた。皆で励まし、結果は合格。壮年は積極的に言葉を発するようになり、地区に歓喜の花が咲く▼「友の喜び友の歎き一つなり」(新1267・全934)。これが創価の世界だ。苦楽を分かち合い、共に歩む。その中で育む友情こそ、どんな人生の嵐にも負けない力となる。(江)