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娘がうっかりバレエを始めてとっとと留学してしまったのだが

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バレエに疎い親のもとで、娘がうっかりバレエを習い始め、中学卒業したらとっとと留学してしまったので、どうしてこうなったかを振り返ろうと思う。
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#海外留学

15歳、娘の旅立ち

15歳の娘が、とうとう旅立ってしまった。 バレエ留学のために。 経由地のスイス、チューリッヒ空港からLINEがあった。 心配していた飛行機の乗り継ぎも、無事にできたようだ。 だがしかし――。 「英語が全然通じない!何を言ってるのかもわからない!」 いくらドイツ語圏といっても、まだ乗り継ぎ地の空港である。 英語は通じるはずと思っていたが、 「『ウォーター』ですら伝わらなかった」 これには本人もかなり打ちのめされた様子だった。 娘は4歳のとき、アルファベットを書きた

オーデション前夜の履歴書ハード問題

夜中3:57。 翌日のオーデション会場近くに宿泊している娘からLINEが飛んできた。 娘: 「明日のオーディション、履歴書のコピー持ってこいって書いてあったのに、今日再確認したら『ハードコピー』って書いてある! 急にハードコピーって何なの!? 硬い紙!?えーんどーしよう!」 母、焦る。 え、いやいやいやいや、「ハードコピー」って、そういう意味!? ペラペラの普通紙じゃダメってこと? 履歴書って普通A4の紙じゃん? 厚紙?いやでも厚紙って、書類感なくなるよね? 母: 「

【バレエ留学】ヘルスポリシー

すらっとした背の高さ、細くて頭も小さく、腰の位置が高い。手足が長くて足の甲も出ている。 見た目は完璧でも、書類選考で落とされる場合がある。 娘が留学後初めて挑戦したのが、ローザンヌ国際バレエコンクールへの申し込みだった。このコンクールでは、独自の「ヘルスポリシー」という基準がある。 コンクールに参加するには、申し込み時に健康診断を受け、医師のサイン入りの証明書を提出しなければならない。 一般的な健康診断に加え、日常の食生活や体重管理に関する意識調査のような質問項目も含まれ

【バレエ留学】どこにいくか〜留学先

娘が留学をしたいと言い出した当初、親としては「バレエで留学ができたとしても、その先バレリーナになれるかは別の問題」と考えていた。 バレエを仕事にせずに他の道に進む場合も考えて、英語を身につけられる語学留学としての側面もあったほうがいい。そう思って、英語圏への留学がいいのでは、と勝手に考えていた。 バレエの留学先として、クラシックバレエの本場といえばロシアが真っ先に浮かぶ。ほかにも、オペラ座バレエ学校のあるフランス、ロイヤルバレエ団のあるイギリス、モナコ、ウィーン、ドイツなど

【バレエ留学】若いうちの恥はかいてなんぼじゃ

とにかく留学へ向けて動きたいと考え、コンクールでスカラシップや入学許可を足がかりにするのは諦め、教室を通さずに個人で直接ヨーロッパの学校に応募することに決めた。 年明けにはそのまま高等部に内部進学するかどうかを決めなければならない。だから、できれば年内にどこかしら結果を出したい。 焦りはあった。 しかし、この時点での娘は、規模の大きなコンクールに一度も出たことがない。実力も何も未知数だ。 「もしかして箸にも棒にもかからないレベルだったらどうしよう…」 「こんなレベルで応募

【バレエ留学】結果発表〜

各学校に応募し始めて1ヶ月くらいすると、結果がぽつぽつと届き始めた。 一番最初に連絡をくれた学校からのメールを開くと、 「年齢は若いですが、基礎がしっかりしており、ポテンシャルがある。」 というコメント付きで 合格! 娘はガッツポーズ! これで、仮に残り全部不合格だったとしても、 とりあえずは9月からドイツには行けることとなった。 幸先よい〜〜 とりあえず合格おめでとう。 娘はすぐに中学校に「高等部には進学せず留学します」と伝えた。 この時12月、なんとか間に合った。

【ドイツバレエ留学】カカリツケってなに?

9月からはドイツへ。 さみしさよりも意気揚々としていた、能天気な親子だった私たち。 しかし、心配事もあった。 そう、当はコロナ禍真っ只中。 ワクワクしている場合ではなかった。 得体の知れない疫病に、オリンピックまで延期されるという異例の状況。 ドイツは日本からの入国制限があり、なかなか先行きが見えない状態が続いていた。 そんな中、2021年6月に、ドイツが日本に対する入国制限を解除した。 「やった!夏休み明けに予定通り行けそうだ!」 希望が見えた瞬間だった。 (※陰

【ドイツバレエ留学】とうとう出発してしまった

そんなこんなでとうとう出発してしまった娘、 ようやく、最初に投稿した記事に追いついた私(遅い) 改めて思う。娘は本当に頑張ってた。 バレエだけはひたむきで、毎日毎日レッスンに通い、早起きも成績キープもすべてバレエのため。 このままだと中卒になりかねない状況でも、迷わずバレエ留学を選んだ。 経済的にも体形にも才能にもいまいち恵まれてはいないが、 バレエのためにコツコツ練習することと、効率よく他のやるべきことをこなす才はあったようだった。 母親の私も、わからない世界なりにま

【ドイツバレエ留学】 考えるな、慣れろ

「とりあえず生活しよう」 最初はただそれだけを目標に。 朝起きる、学校に行く、ご飯を食べる。 まずはこれができるように生きる。 それだけを望んだ。笑 言葉がわかろうがわかるまいが、友達ができなかろうが、とにかく学校までたどり着く。 先生が言ってることがわからなくてもレッスンを受ける場所にたどり着く。 売ってるものが分からなくても、とりあえずパンと水を買えるように。 最初の1週間は、これだけができるようになればいいよね。 これさえできれば、なんとか1ヶ月は生きられるだろう

【ドイツバレエ留学】学校開始。1日のタイムスケジュール

ドイツ入国の2日後から、娘の学校生活が始まった。 日本との時差は7時間。 時差ボケもあって、最初のうちは朝4時起き夜9時寝。 さすがに「早寝早起きにも程があるだろ!」と驚いた。 「昨日の夜は7時半くらいに寝落ちした。今、目が覚めて歯磨いて…」 こんな連絡が来たのが日本時間のAM11時。ドイツでは朝4時だった。 うーん、さすがに早すぎる。 1~2週間もすると、朝は5時起きで安定したようだ。 家を出るのが8時頃だったので、朝はかなり余裕がある。 週1回の通信高校のオンラインレ

【ドイツバレエ留学】 食事のこと2

水 水は最初はミネラルウォーターを買うようにしていたようだ。 近所のスーパーでは500mlのミネラルウォーターが€0.19(当時のレートで約130円)で買えるなど、意外と安かった。 ただ、ドイツで売っているペットボトルの水は、硬水や炭酸入りが多い。 そのため、お米を炊く時用に軟水も必要になり、娘はVolvicを常備することにした。ただし、Volvicは€1.20ほどと少し高め。 自炊をするなら、やはり浄水器が欲しいところ。 そういえばドイツは日本でもおなじみのBRITAの

【ドイツバレエ留学】親フィルター越しのコンクール

道中ドタバタだった初のコンクール出場。 日本でハラハラすることしかできなかった親としては、 「もう本番に間に合ったらそれでヨシ!」くらいの心持ちになった。 出られるだけでラッキー。 あとは野となれ山となれだ。 だが、本人はそうではなかったようだ。 やはり時間を割いて自分のために教えてくださった先生に、良い報告をしたいだろう。 本番、母の私は夜中に日本でひとりで配信を見ていた。 (本当は夫も一緒に起きていたかもしれないんだけど、いたかどうか全く思い出せない。) 娘が本番で思

¥300

【ドイツバレエ留学】覚悟の転校〜さよならドイツ

あと1年でディプロマを手にするはずだったが、娘はドイツの今の学校をやめ、新しいA校に転校することを決めた。 素晴らしい先生方と知り合い、仲の良い友人もできた。 2年も頑張ってきて信頼関係を築いた環境を離れるのは、相当の覚悟が必要だった。それだけに、娘も悩んでいたが、新しい場所での挑戦を決断した。 なんとしても結果を出して「転校は正しい選択だった」と胸を張れるようにするしかない。娘も覚悟を決めたようだった。 とはいえ、ドイツに2年も滞在していたのに、英語が思うように話せなかっ

【バレエ留学】新たなステージへ、さよーならまたいつか!

新しい学校では、予定通り日本人以外の子と相部屋になった。 授業中、質問がある時は日本人の子ではなく、外国人の子に聞くこと。 自分から勇気を出して話しかけること。 そんな自分へのノルマを課して、積極的にコミュニケーションを図るように努力していた。 人間関係が一新されるのは、照れという最大の壁を越えるキャラ変には絶好の機会だったようだ。 さらに、帰宅後にはオンライン英会話のレッスンを受け始めた。 通信高校を卒業してから半年、帰宅後の時間を再び勉強に充てることにしたのだ。 安価で