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「今日も、素晴らしい日になった!」

バイト中に元バンドメンバー、現友達からLINEが来てることに気づく。

「今日暇?カラオケ行こ」

お客さんの目を盗んで、「バイト終わったら連絡する」と返信。

カラオケ行こで、何となくの意図が分かるくらい付き合いが長い友達。

夕飯を食べてから集合することになったけど、会ったら話したいことがたくさんあることを思い出して、カラオケより先に少し飲みに行くことにした。

地下の個室居酒屋は学校の身体検査の時の仕切りみたいな、部屋、というかスペース?で変な感じ。

一通り最近の話をして、カラオケに向かう。
カラオケ行こうと誘われたけど、彼女は歌わない。

バンドを組んでいた時も頑なにコーラスをやってくれなかったくらい、歌いたくないらしい。

ただ私の歌を気に入ってくれているみたいで、一緒にカラオケに行くと、私がマイク、彼女がデンモクを担当する。どういうカラオケ?

だいぶ前に、彼女が失恋した時、今日みたいに少し飲んでからカラオケに行った。デンモクを持つなり、ヤユヨの曲を全部入れて、マイクを渡してきた。「はい、歌って。」

2時間弱1人カラオケ状態を見守られた。途中盛り上がって、マイクには通さなかったけどヤユヨの曲を口ずさむ彼女は少し泣きながら笑っていた。

こんなことを改めて書くと恥ずかしいって怒られそうだけど(本人からクレームが入ったら消す)私はあの夜のことを忘れないし、最高だったと思っている。

多分、夏で、外はまだ蒸し暑かった。

今日終電に間に合うようにカラオケを精算していると、レジの横に既に開封されてアツアツになったカイロがたくさん並んでいた。

誰ももらわなかったら、この熱は誰のためのものにもならずに冷めていくんだろうなあ、と思ったけど、私はもらわなかった。欲しいものにはタイミングがある。そのときはあんまり要らなかった。

カラオケで歌ったヤユヨのStand By Meという曲。最大のエールソングだと思う。

ラストのサビで、「今日も、素晴らしい日になった!」という歌詞がある。

歌いながら、少し泣いてしまった。言い切る形で満足した毎日を送りたい、し友達には素晴らしい毎日を送ってほしい。

今月の半ばに彼女はカナダに行ってしまうし、ヤユヨは月末に解散する。

独りじゃなにもできないから、私と彼女はこれからも友達だし、私と彼女はこれからもヤユヨを聴くんだと思う。

最寄り駅から家まで歩いている間、やっぱりちょっと寒くて手が冷えてきた。カイロ、貰っとけばよかった。

ドアに手をかけて心の中で思う。

「今日も、素晴らしい日になった!」

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